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東京地方裁判所 昭和60年(ワ)10192号

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別紙当事者目録記載(左記―編注)のとおり

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告らそれぞれに対し、昭和六〇年四月から毎月二一日に金三〇〇〇円(ただし、原告のうち別紙昇格・退職一覧表の請求金額欄に記載のある者に対しては、同表の昇格日付欄又は退職日付欄記載の日のいずれか早い方の日まで、その合計はそれぞれ同表の請求金額欄記載の金員)及び各三〇〇〇円に対する各支払期の翌日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文と同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1(一)  被告は、医薬品の製造販売等を目的とする会社である。

(二)  原告らは、いずれも被告の従業員であって、全科研労働組合(以下「KY労組」という。)の組合員である。

すなわち、原告らは、いずれも科研薬化工株式会社(以下「KY会社」という。)の従業員であったが、KY会社が、昭和五九年一〇月一日(ただし、合併登記の日は、同年一二月三日。)、被告(旧商号科研化学株式会社、以下、KY会社を合併する前の科研化学株式会社を「KC会社」という。)に吸収合併(ただし、実質上は対等合併)されたことにより、被告の従業員となった。

2  KY労組は、昭和五六年一〇月一三日、KY会社との間で、KY会社の従業員について五等級等の資格等級に格付け、等級に応じて一定の資格手当(例えば、五等級は一か月三〇〇〇円)を支払うものとすること等を内容とする労働協約(身分制度から職能資格等級制度へ変更する件に関しての労働協約、以下「旧協約」という。)を締結しており、原告らは、いずれも旧協約に基づいて、五等級に格付けられ、五等級の資格手当として一か月三〇〇〇円を賃金の一部として支払いを受けていた。

なお、被告の従業員に対する賃金の支払日は、毎月二〇日である。

3  しかるに、被告は、昭和六〇年四月分以降の一か月三〇〇〇円の五等級の資格手当を支払わない。

4  その後、原告らのうち別紙昇格・退職一覧表の昇格日欄に記載のある者は、同欄記載の日にS―2級(旧名称六等級)に昇格し、別表の退職日欄に記載のある者は、同欄記載の日に被告を退職した。

5  よって、原告らは、被告に対し、それぞれ昭和六〇年四月から毎月二〇日に各三〇〇〇円(ただし、別紙昇格・退職一覧表の昇格日欄又は退職日欄に記載のある原告らについては、昇格又は退職するまでの月数(別紙昇格・退職一覧表の月数欄記載の月数)分、すなわち別表の請求額欄記載の金額)及び毎月支払われるべき三〇〇〇円に対するその支払期日の翌日である毎月二一日から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因事実は認める。

三  被告の主張

1(一)  被告は、昭和五九年六月六日、KC会社とKY会社の間で異なっていた資格等級制度等を合併後統一するため、KY労組との間で、「等級制度・定特昇制度の一本化について」(以下「新協約」という。)という労働協約を締結した。この労働協約は、以下の(二)ないし(六)の経過からも明らかなとおり、KY労組において、新等級制度のもとでの資格手当、昇格等は人事管理システムの一環として、組合との合意なしに被告がその裁量により決定する旨及び新等級のS―1級の資格手当がないことをはじめとする被告の定めようとしていた資格手当額に合意の上で締結したものであるから、旧協約の資格手当の支給に関する部分は新協約により失効した。

(二)  被告は、昭和五九年一月二五日、KY労組に対し、「等級制度・定特昇制度の一本化について」の提案を行い、被告案の説明を行った。

右の被告案のうち等級制度に関する部分は、J―1級ないしJ―4級、S―1級ないしS―3級及びM―1級ないしM―4級の一一級の資格等級を設け、従業員を各等級に格付けることとし、KY会社の資格等級五等級はS―1級に、六等級がS―2級に対応し、KC会社の一級がJ―1級に、五級係長がS―2級に対応する等のKY会社及びKC会社の資格等級と新しい等級制度の級とを対応させて新等級に移行させ、上位の等級に移る昇格については、新入社後最初の昇格を除き勤務評定の結果に基づいて行うことなどを骨子とするものであった。

また、右提案のうち、定特昇制度の一本化についての部分は、勤務評定の結果に基づいて特別昇給を行うこと、定期昇給については欠勤日数、欠勤件数及び遅刻早退回数に基づいて勤務成績を判定し、これに応じて定期昇給額の一定割合を昇給停止とする定期昇給停止基準を設けること等であった。

(三)  そして、その説明の際、被告は、勤務評定及び勤務成績に基づき昇進、昇格、昇給等を決定、運用するシステムを人事管理システムと呼び、勤務評定の内容、特別昇給の方法、昇給額、昇格及び昇進の基準、役付手当及び資格手当は、人事管理システムの一環として組合との合意を要せず、被告の裁量により決定する旨及び新等級のM―1ないしM―4級、S―2、3級の資格手当額及びS―1級には資格手当を支給しないとの被告の考え方を説明した。

(四)  なお、被告会社には、KC会社の従業員を中心とする科研製薬労働組合(以下「KC労組」という。)も存在するところ、被告は、KC労組に対しては、昭和五八年五月一三日、右と同一内容を提案し、同年六月六日、KC労組と会社提案どおり「等級制度・定特昇制度の一本化について」の労働協約を締結した。

(五)  しかるに、KY労組は、その後の被告との交渉の過程においても、被告の資格手当の決定を人事管理システムの一環として行うこと及びS―1級の資格手当はないことについて何らの異議も述べず、また、昭和五九年五月二一日のKC労組との共同要求中においても、等級制度及び定特昇給制度については、単に「等級制度及び定特昇給制度について改善のため、KC、KY、会社の三者による委員会を作り討議を続ける。」との要求を行うにとどまったままに、新協約を締結した。

(六)  原告は、KY労組が異議を述べなかったのは、被告からS―1級の資格手当をなしとすることの提案がなかったからであると主張するが、KY労組は、被告が新協約案及びその説明中で提示すらしなかった特別昇給額についてはKY労組としての対案を提出していることからも明らかなように、提案がなかったから異議を述べなかったのではなく、同意していたから異議を述べなかったのである。

2  新協約は、右1で見たとおり、KY会社を合併したことによって、新たな資格等級制度を設ける必要があったことによって、旧協約に代わるものとして締結された協約であって、単に旧協約の等級の名称を変更するにとどまるものではなく、人事考課を中心に運用されるという点で旧協約に明らかに反するものであるから、新協約の発効により旧協約は当然に失効した。

四  被告の主張に対する認否

1(一)  被告の主張1(一)は、そのうち被告主張の日に、新協約が締結されたことは、認めその余は否認する。

(二)  同(二)は、認める。

(三)  同(三)は、否認する。

(四)  同(四)は、認める。

(五)  同(五)は、そのうち、KY労組が新協約締結前にはS―1級の資格手当がないことについて何らの異議も述べていないこと昭和五九年五月二一日のKC労組との共同要求中においても、等級制度及び定特昇給制度については、単に「等級制度及び定特昇給制度について改善のため、KC、KY、会社の三者による委員会を作り討議を続ける。」との要求を行ったことは認め、その余は争う。

(六)  同(六)は、そのうち、KY労組が、特別昇給額について対案を提出したことは認め、その余は争う。

被告は、KY労組に対し、新協約締結以前には、S―1級の資格手当をなしとするとの提案を行ったことはない。新協約のS―1級は、旧協約による五等級の名称の変更にすぎないところ、旧協約により五等級には一か月三〇〇〇円の資格手当を支給することが定まっているのであるから、その資格手当廃止の提案がない以上、これに被告が内心どのような考えをもっていようと、KY労組としてはなんら異議を述べる必要を認めなかった。

2  被告の主張2は争う。

新協約は、旧協約の資格等級の呼称を変更するものにすぎない。

新協約における資格等級統一に関する部分は、五等級をS―1級に対応させる等の等級の対応のみであることは明らかであり、新協約によっても資格手当は等級に対応することが前提とされており、資格手当の変更が合意されていない以上、旧協約に基づいてS―1級の資格手当は一か月三〇〇〇円となることは明らかである。

第三証拠(略)

理由

一  請求原因事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、被告の主張について判断する。

1  被告の主張1(一)のうち被告主張の日に、新協約が締結されたこと及び同(二)、同(四)の事実は当事者間に争いがない。

2  当事者間に争いのない請求原因事実及び右事実に(証拠略)並びに弁論の全趣旨を総合すると次の事実を認めることができる。

(一)  KY会社においては、旧協約前には、従業員(臨時雇用者及び嘱託を除く。以下同じ。)を、「見習」、「社員」「係長待遇」、「課長待遇」、「次長待遇」、「部長待遇」の七の身分に分かち、係長待遇から部長待遇の身分の者には所定の責任給を支給するとの身分制度を設けていたが、旧協約によって、これを見習を除き一等級から一〇等級までの一〇等級の資格等級を設け、社員が一等級から四等級に、係長待遇が五、六等級に、課長待遇が七、八等級に、次長待遇及び部長待遇がそれぞれ九等級及び一〇等級に、それぞれ格付けし、五等級以上について所定の資格給を給することと変更された。なお、一ないし四等級が一般職層、五、六等級が指導職層、七等級以上が管理職層とされた。

そして、上位の等級に移る昇格については、四等級以下は学歴と勤続年数により行い(例えば、高校卒業者は、当初一等級とし、以後四年で二等級、さらに四年で三等級、その後二年で四等級に昇格することとされた。)、五等級以上については従来どおり勤務評定によるものとされ(ただし、旧協約の運用上は、六等級までは年功により昇格していた<人証略>中この認定に反する部分は<証拠略>に照らして採用しない。)、五等級以上への昇格は毎年一〇月一日付けで行うこととされた。なお、KY労組の組合員は、六等級以下の者であるが、五等級の資格手当は一か月三〇〇〇円、六等級のそれは一か月五〇〇〇円と旧協約によって定められていた。

(二)  KY会社においては、右資格等級とは別に支店長、部長、部長補佐、次長等の役職が設けられており、各役職にはそれぞれ一定の資格等級に属する従業員中から任命され(ただし、当該資格等級であることによって当然役職に任命されることはない。)、一定の役職にある者に対しては一定の職位手当も資格手当とは別個に支給されていた。

(三)  一方、KC会社においては、従業員は、一ないし五級の一般社員、五、六級の係長及び課長代理(待遇)以上(七級ないし九級)に分けられていたが、例えば部長という役職についていない者も、部長待遇という資格を有する場合は、資格手当ではなく、部長に当たる役職手当が支給されるなど、資格と職位が分化されていなかった。なお、右五級中の支店係長心得以上の従業員に対してはその職位に応じて一定の役職手当が支給されていた。

(四)  KY会社とKC会社の従業員の資格等級制度は右のように異なっていたので、被告においては、KY会社を合併後、給与制度等のKY、KC両会社で異なるその他の事項とならんで資格等級制度を一本化する必要があった。

(五)  そこで、被告は、昭和五九年一月二五日、KY労組に「等級制度・定特昇給の一本化について」の提案を行った。

右提案中の等級制度に関する部分は、J―1級ないしJ―4級(一般職能)、S―1級ないしS―3級(中間指導職能)及びM―1級ないしM―4級(管理職能)の一一級の資格等級を設定し、被告の従業員を各等級に格付け、ライン職(役職)は、該当する資格等級に属する者の中から任命され、スタッフ職(専門職)は、資格等級を認定することで処遇するという等級制度を設け、KY会社の資格等級の一等級がJ―2級に、二、三等級がJ―3級に、四等級がJ―4級に、五等級がS―1級に、六等級がS―2級、七等級以上がM―1級以上にそれぞれに対応する(J―1級及びM―3級に対応する従業員はKY労組の組合員中にはいないとの説明された。)し、新規学校卒業の新入従業員については、中学校卒業者はJ―1級、高校又は短大卒業者はJ―2級に、大学又は大学院修士過程卒業(修了)者はJ―3級に格付け、上位の等級に移る昇格は、新入従業員の第一回の昇格については学歴及び当初の等級に応じて定める一定年限(中学卒業者は三年、高校又は大学卒業者は四年、短大卒業又は大学院修士過程修了者は二年)を経過すれば原則として一級昇格させ、その後の昇格は勤務評定の結果に基づいて行い、昇格の時期は毎年八月一日とする、というものであった。

また右提案は、定期昇給については、右資格等級に応じ、毎年八月一日に、一定額(例えば、S―1級にあっては二八〇〇円)の昇給を行うこととするが勤怠成績が一定基準に達した者については昇給を一部停止すること等が含まれ、勤務評定の結果に基づき資格等級別にAないしEのランクに分けて昇給させる特別昇給制度を設けることをも含んでいた。

なお、右提案によると、KC会社の一級がJ―1級、二級がJ―2級、三級が一J―3級、四級がJ―4級、五級(一般)がS―1級、五級係長がS―2級、六級係長がS―3級、課長代理以上がM―1級以上にそれぞれ対応するとされていた。

また、右提案の際の説明において、係長(工場)、課長代理、課長、次長、副支店長、部長、支店長、工場長及び研究所長という役職にある者に対しては、所定の役職手当が支給される旨(その結果、従前役職手当を受けていたKC労組の支店課長以下の五級(一般)に属する従業員に対する役職手当は廃止されることとなった。)及びS―2級以上資格手当の額の被告の考え方が、協約案とは別に説明された。

(六)  なお、被告は、KC労組に対しては、昭和五八年五月一三日に右と同一の提案を行い、同年六月六日、提案どおりの協約を締結した(ただし、締結された協約文中では、新資格等級の対応は、KC労組の組合員の範囲のKC会社の六級以下とのもののみが定められている。)。

(七)  その後、KY労組は、被告の提案に対し、KY会社の六等級に属した者についてS―3級に対応する者を調整する必要がある、J―4級までは自動昇格とする等の対案を示す等したが、結局、昭和五九年六月六日、被告の提案どおり、新協約を締結した(ただし、締結された協約文中では、新資格等級の対応は、KY労組の組合員の範囲の旧協約による六等級以下とのもののみが定められている。)。

(八)  被告とKY労組は、右同日、合併に伴う給与の一本化についての労働協約をも締結したが、この労働協約によると、従前の本給に一定の調整金を加減した額を新本給とし、右調整金は五年間で逐次解消すること、年令加給を設定することのほか、家族手当、住宅手当の支給額を定め、時間外勤務手当の計算式を定める等するものであるが、資格手当(旧協約にいう資格手当と同一であるのか、別個のものをいうのかは、この労働協約自体からは明らかでない。)についてはこれが時間外勤務手当の算出の基礎の一つとなることのほかは触れられていない。

右合併に伴う給与の一本化についての労働協約による新本給は、KY会社、KC会社のそれぞれの性別学歴別モデル賃金の中間値を基に定めたものであり、年令加給はKC会社にあってKY会社には存しなかった賃金項目であり家族手当、住宅手当の額は、おおむねKY会社又はKC会社の高い方の額(住宅手当の「その他」はKC会社に合わせて廃止)である。

3  ところで、原告らは、新協約による資格等級制度は、旧協約による資格等級制度の等級の名称の変更にすぎないと主張する。

なるほど、右2の認定事実からすると、新協約による資格等級制度と旧協約による資格等級制度は、(1)従業員を三種の職層(職能)に分け、各職層内をさらに三ないし四の等級(級)に分かつ点、(2)資格等級と役職を区別して従業員を処遇する点等の基本的な部分で類似するものではある。しかし、右認定事実から窺える次の(一)ないし(三)の諸点からすると、新協約による資格等級制度は、単なる等級の名称の変更にとどまるものではなく、新たに設けられた制度と解するのが相当である。過去の制度を参考にしながら新しい制度を作る場合には、ある程度の類似点があるのは通常のことであって、それが基本的な部分であればなおさらであるところ、右(1)及び(2)の類似点はいわゆる職能資格等級制度のありふれた特徴にすぎないから、右のような類似点があることも、新協約による資格等級制度が旧協約による資格等級制度とは別個の新しい制度であるとの認定・判断を左右するには足りない。

(一)  KY会社とKC会社の資格等級制度は、相当異なっていたから、合併に伴い、統一する必要があったところ、KY、KC両会社の合併が対等合併であるという趣旨に照らすと、一方の制度で統一するよりも、両者を調整し、新たな制度を設けて統一しようとするのが通常ではないかと考えられること(現に、給与の一本化については、右2(八)認定のとおり、KC、KY両会社制度の一方にのみ合わせるという方法にはよっていない。)。

(二)  新協約による資格等級の数は一一であるのに対し、旧協約による資格等級の数は一〇と同一でなく、新協約で合意されたその間の対応も、S―3級、J―1級に対応する旧協約の等級はないのに対し、J―3級には二等級と三等級が対応するように、その対応が一対一ではないこと。

(三)  旧協約においては、協約上は四等級まで、運用上はKY労組の組合員の範囲内の六等級までの昇格が、年功(勤続年数)によっており、KY労組の組合員の範囲内においては勤務評定との結びつきのほとんどないものであったのに対し、新協約においては、初回昇格以外は、勤務評定によるものとされ、また、勤務評定による特別昇給額も資格等級に応じて定められるなど、勤務評定制度及び特別昇給制度等と密接に結びついたものであること。

4  そうすると、一の会社において、同一の従業員に適用される資格等級制度が二つあるということはないから、新協約に表示された当事者の意思を合理的に解釈すると、新協約による資格等級制度は、旧協約による資格等級制度に代わるもの、すなわち、旧級約による資格等級制度は新協約によって廃止されたものというべきである。

したがって、原告らが昭和六〇年四月一日以降も新協約によってS―1級と読み替えられた旧協約による五等級に属することを前提とする(新制度としてのS―1級に資格手当を支給するという合意がなされたとの主張・立証はない。)本訴請求は、いずれもその余について判断するまでもなく理由がない。

5  なお、被告が昭和六〇年三月分まで、原告らに対し、一か月三〇〇〇円の資格手当を支払っていたことは当事者間に争いがない。

しかし、(証拠略)によると、これは、被告は、昭和五九年六月七日、KY労組に対し、前日に締結した新協約、合併に伴う給与の一本化に関する労働協約、昭和五八年度及び昭和五九年度の賃金引上げについての各労働協約等に基づく各種賃金の精算についての提案を行い、その中で、S―1級に対応する旧資格手当は同年七月をもって支給を停止するとの提案を行ったところ、KY労組がS―1級の資格手当がないことは未協議事項であるとして反発したため、KY労組との協議を行う間、五等級の資格手当として支給していたものであること、これに対応し、KC労組の組合員のうち旧五級(一般)に属する者で、KC会社の役職手当の支給を受けていた者に対しては、KC会社の役付手当(右2(五)、(六)認定のとおり新資格等級制度によって廃止されることとなったもの。)を支給していたことが認められる。

右の事実によると、被告が昭和六〇年三月分まで、原告らに対し、一か月三〇〇〇円の資格手当を支払っていたことは、KY労組との協議を円滑に行うため、政策的見地から暫定的に支払いを続けていたものと理解することもでき、この事実があるからといって、被告が旧協約に基づく資格手当の支払義務が存続していたことを認めていたともいえないから、右4の認定・判断を左右するものではない。

三  以上の次第で、原告らの本訴請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九三条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判官 水上敏)

(別紙)当事者目録

原告 小林久芳

(ほか六九名)

原告ら訴訟代理人弁護士 川島仟太郎

被告 科研製薬株式会社

右代表者代表取締役 脇山好晴

右訴訟代理人弁護士 石川常昌

同 吉益信治

昇格・退職一覧表

<省略>

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