大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和62年(ワ)1087号 判決

請求原因事実は、すべて当事者間に争いがなく、右争いのない事実によれば、被告は、広く認識されている原告の営業表示と類似する被告の営業表示を使用して、原告の営業上の施設又は活動と混同を生ぜしめ、これにより、原告は、その営業上の利益を害されるおそれがあるものというべきである。

そうすると、原告の本訴請求は、理由があるから、これを認容する。

〔編註〕 本件における請求原因は左のとおりである。

1 原告は、東京都中央区銀座に本店を有し、就職情報関連事業を中心に営業活動を行つている会社であるところ、昭和三五年三月三一日、東京都内において「大学新聞広告社」の商号をもつて大学新聞専門の広告代理業を創始し、その後、同年一〇月に「株式会社大学広告」、昭和三八年四月に「株式会社日本リクルートメントセンター」、同年八月に「株式会社日本リクルートセンター」、昭和五九年四月一日に「株式会社リクルート」とそれぞれ商号を変更して現在に至つている。その間、原告は、昭和三七年に大学生向け企業案内集「リクルートブツク」を創刊したが、これは、就職情報誌の先駆けとして飛躍的に発行部数を伸ばし、創刊時には二万七〇〇〇部であつたのが、昭和五〇年には三五〇万一四〇〇部、昭和六〇年には五九五万六六〇〇部と増加し、読者層も全国の大学生、専門学校生及び高校生に及んでいる。また、原告は、勤労者向け就職専門情報誌「週刊就職情報」、「とらばーゆ」及び「ベルーフ」等を全国的に販売し、昭和六一年度の原告グループの総売上高三三九四億円、総従業員数八三〇三名、現在の資本金二二億三〇〇〇万円にみられるとおり、情報就職産業の最大手として、全国的な事業展開を図るまでに至つた。かくして、原告の商号及び「リクルート」という表示は、昭和四〇年代後半頃には、原告の営業を表示するものとして、全国の大都市を中心とした各学校、企業、学生、勤労者等に広く認識され、全国的に周知性を獲得した。

2 被告は、昭和五六年一月七日横浜地方法務局厚木支局において「株式会社リクルートサービス」の商号をもつて設立登記がされた会社であつて、同商号及び「リクルートサービス」の表示を使用して、「週刊求人情報」なる新聞折込紙を神奈川県下及び東京都下において発行するなど、原告の営業と同種の広告代理業を営んでいる。ところで、被告の商号は、原告の商号に「サービス」の語、原告の表示「リクルート」に「株式会社」及び「サービス」の語をそれぞれ付加したものであり、また、被告の表示「リクルートサービス」は、原告の表示「リクルート」に「サービス」の語を付加したものであるところ、右の「株式会社」及び「サービス」という語は、需要者又は取引者に対する自他営業の識別力を有しないから、被告の商号及び表示は、原告の商号及び表示とその主要部分において全く同一であつて、原告の商号及び表示に類似している。

3 被告は、右のような被告の商号及び表示を使用して、原告の事業と同種の就職情報紙の発行を行つているため、被告の発行紙に対する苦情が原告に寄せられたり、被告が原告の関連会社と思われていたという事例が多数報告されるなど、需要者又は取引者において被告の営業を原告の営業と誤認混同するに至つており、その結果、原告は、種々の営業上の利益を害されるおそれがある。

4 よつて、原告は、被告に対し、不正競争防止法一条一項二号の規定に基づき、「リクルート」なる表示の使用の差止め及び被告商号登記の抹消登記手続を求める。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!