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東京地方裁判所 昭和62年(ワ)17965号 判決 1990年6月14日

原告 森田京子

右訴訟代理人弁護士 清水徹

被告 鈴田鈴江

右訴訟代理人弁護士 島田正雄

同 鳴尾節夫

同 弓仲忠昭

主文

一  被告は原告に対し、金一万九五〇〇円及びこれに対する昭和五五年五月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを一〇分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告に対し、金五〇〇万円及びこれに対する昭和五五年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(本案前の答弁)

1 原告の訴えを却下する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

(本案の答弁)

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  美容契約

原告は、昭和五五年二月一八日、被告の経営する美容院「ビューティー千代田」を訪れてパーマをかけることを依頼し、美容師である被告との間で美容契約を締結した。

2  被告の債務不履行

(一) 美容師は美容契約に基づき顧客の髪にパーマをかけるに際し、コールドパーマ液が顧客の顔面等にかからないよう注意し、かかった場合には直ちに水で洗い流すなどの措置を講じて顧客に皮膚障害の生ずることのないよう配慮すべき義務を負っているものというべきである。

(二) 被告は、見習い従業員である訴外荒井里美を履行補助者として原告のパーマ作業に当たらせたが、右荒井が原告にパーマをかける際、コールドパーマ液が原告の両頬と首筋にふりかかったので原告はその旨荒井に告げたが、同人は原告の左頬をハンカチで拭っただけで、それを洗い流すことなくそのままソラリウムにより赤外線を原告の頭部に照射し、その結果、原告の両頬と首筋に接触性皮膚炎をひきおこした(以下「本件事故」という。)。右は、原告の髪にパーマをかけるに際し原告に皮膚障害を生ずることのないよう配慮する義務に違反したものとして債務の不完全履行に当たる。

3  損害の発生及び因果関係

(一) 原告は赤外線照射中から顔面にヒリヒリとした痛みを感じ、翌日になっても首筋や両頬が赤く腫れて痛むので東邦大学医学部付属病院で診察を受けたところ、パーマ液による接触性皮膚炎と診断された。

そのため同病院に通院して治療を続け、その後更に日本医科大学付属病院、国立埼玉病院、慶応大学付属病院に通って治療を受けたが、両頬と首筋の炎症は治まらず、昭和五九年ころまで顔面が紅いという症状が続き、現在でも、昼間外出すると両頬や頸部にびりびりと痛みを感じる。更に、昭和五五年八月ころから左右両頬に色素沈着が生じており、後遺障害として今日に至るまで消えていない。

アルカリ性の有害な薬品であるコールドパーマ液が皮膚に接触し、更に赤外線熱により増幅されれば一次的接触性皮膚炎(コールドパーマ皮膚炎)を惹起することは通常認められるところであり、前記各症状はいずれも被告の債務不履行から直接的に発生した損害である。

(二) 原告は、右炎症の治療のため、医師の指示に基づきステロイド剤を顔面に塗布していたが、昭和五五年五月一三日にその塗布を止めたところ、五月一七日ころから八月ころまで禁断症状として酒さ様皮膚炎が生じた。接触皮膚炎に対してステロイド剤を使用するというのは正当な治療法であり、したがって、ステロイド剤使用に通常伴う副作用の一つである酒さ様皮膚炎も、被告の債務不履行と相当因果関係の認められる損害である。

(三) ステロイド剤連続使用の副作用とともに、治らないことに対するいらいら、焦り及び被告の誠意がみられないことに対する怒りなどによるストレスの結果、自律神経失調症、不眠症になったり、胃の調子が悪くなったほか、二次性高血圧症、乳腺症、便秘症、間接リュウマチ、尿路感染症のような内科症状が生じており、これらはすべて本件債務不履行と相当因果関係の認められる損害である。

4  損害額

(一) 原告は、本件事故による治療のためかなりの回数通院を続け、医療費、交通費、その他の経費として現在までに五二万円余の費用を支出しており、今後も相当の治療関係費の支出が必要とみられる。

(二) 原告は顔面に消えることのない色素沈着を生じて深いショックを受け、また、日光に当たると沈着した色素が濃く浮き出るため極力外出を避けるなど生活上の利便、幸福感がかなり奪われており、原告の受けたこれらの精神的苦痛を慰謝するに足る金額は五〇〇万円を下らない。

5  よって、原告は被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償請求として五〇〇万円及びこれに対する昭和五五年二月一九日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  被告の本案前の主張

原告は、原被告間に美容契約が締結されたことを前提として本件訴訟を提起しているが、契約は原告と有限会社千代田美粧院との間に締結されたものであるから、被告には当事者適格がなく、本訴は却下されるべきである。

三  被告の本案前の主張に対する原告の反論

美容院「ビューティー千代田」が形式上有限会社千代田美粧院という会社組織として存在するとしても、店舗には「鈴田鈴江の店」と表示されており、顧客である原告が会社組織であることを認識しているはずはなく、あくまで原告は「ビューティー千代田」の実質的経営者である被告との間で美容契約を締結したものである。

四  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実のうち、原告が昭和五五年二月一八日美容院「ビューティー千代田」を訪れ、パーマを依頼したこと、被告が同美容院の美容師であることは認め、その余は否認する。

2  同2(一)の事実のうち、一般論として、美容契約に付随して原告主張のような内容の義務が存在することは認め、同(二)の事実のうち、被告が荒井里美を履行補助者として原告のパーマ作業に当たらせたことは認め、その余は否認ないし争う。コールドパーマ液が原告の両頬及び首筋にかかったという事実は存在しない。被告の美容院においては、パーマ作業に際し、頭髪と顔面及び首筋の間にタオルを巻いたうえ手でガードしながら順次パーマ液をロットにつけていくのであるから、液が頬にかかったということはありえない。

3  同3(一)の事実のうち、コールドパーマ液が有害な薬品であり、それが皮膚に接触すれば皮膚炎を生じることは認め、原告が東邦大学医学部付属病院等に通院して治療を続けたことは不知、その余は否認ないし争う。

同3(二)、(三)は否認ないし争う。原告は、本件事故が発生するかなり以前から、両頬を始め顔面に染毛剤皮膚炎、症後色素沈着、肝斑などの症状を有し、東邦大学医学部付属病院において治療を受けてきていた。そしてその間、副腎皮質ホルモン剤の連続使用、中断を繰り返しており、そのため、原告の両頬部には従前から原告主張と同様の紅斑、色素沈着等の症状が存在したのである。他方、仮にパーマ液が原告の両頬などにかかっていたとしても、それによる皮膚炎は通常数週間で消滅するものであるから、原告が主張するその後の様々な症状と本件事故との間には因果関係が存在しない。

4  同4(一)の事実のうち、原告が五二万円余を支出したことは不知、その余は否認する。同4(二)は否認ないし争う。

5  同5は争う。

5 抗弁(消滅時効)

1  仮に、原告主張のように、被告に債務不履行責任があったとしても、本件美容契約は商行為であり、それによって生じた債務の不履行に基づく損害賠償債権は、商法五二二条により期間五年の消滅時効にかかる。

2  右消滅時効の起算点は、原告が主張するところの損害賠償請求権が発生した昭和五五年二月一八日である。

3  被告は右時効を援用する。

六  抗弁に対する認否

抗弁1は争う。美容行為は事実行為であって商行為ではない。抗弁2は争う。消滅時効の起算点は原告の被害症状がある程度固定した時点に求められるべきものであるところ、原告は事故発生以来今日に至るまで日々新たに発生する被害に対して通院治療を続けてきており、いまだ時効期間は開始していないというべきである。

七  再抗弁(時効の利益の放棄)

昭和六一年に墨田簡易裁判所において本件事故に関し調停が行われた際、被告は、因果関係及び責任がはっきりすれば損害を賠償すると述べており、時効の利益を放棄したものである。

八  再抗弁に対する認否

否認する。

第三証拠《省略》

理由

一  被告の本案前の主張について

本来、当事者適格については、原告の主張事実に基づいて判断されるべきところ、本件訴えは、原告が被告との間で美容契約を締結したとして被告の債務不履行責任を追及するものであるから、そもそも当事者適格の問題は生ずる余地がないものというべきである(したがって、被告の本案前の主張は失当である。)が、本件美容契約の当事者が誰かについては請求原因1で問題となるので、便宜ここで判断する。

《証拠省略》によると、昭和五五年二月一八日当時、美容院「ビューティー千代田」は有限会社千代田美粧院という商号の会社組織であったことが認められる。しかし、他方、《証拠省略》によると、原告は右美容院が被告個人が経営する美容院であると認識していたこと、右美容院が会社組織であることを外部から伺わせるような表示がなされていたとは考え難く、かえって「鈴田鈴江の店」など、被告個人の経営する美容院であるかのような表示が出ていたことが推認され、当時原告ら一般の顧客は「ビューティー千代田」が法人であることを認識することは困難であったこと、外部からみて右美容院の中で中心的な役割を担っているのは被告であると解されること、本件事故後の交渉も被告個人が主として行っていることが認められ、以上の事実を総合すれば、当事者双方の合理的意思解釈として、本件美容契約は右美容院の実質的経営主体である被告個人と原告との間で締結されたものと解するのが相当である。

二  請求原因について

1  美容契約の締結について

請求原因1の事実のうち、昭和五五年二月一八日、原告が美容院「ビューティー千代田」を訪れてパーマを依頼したことは当事者間に争いがなく、前記一で認定した事実によれば、右同日、原被告間でパーマをかけることを内容とする美容契約が締結されたことが認められる。

2  被告の債務不履行について

請求原因2(一)の事実のうち、一般論として、美容師には原告主張のような注意義務があること及び同(二)の事実のうち、被告が荒井里美を履行補助者として原告のパーマ作業に当たらせたことは当事者間に争いがない。

《証拠省略》によると、荒井里美がコールドパーマ第一液を原告の髪にかけている際、原告が「かかったわよ。」と言ってハンカチで頬を拭いたこと、その後ソラリウムをかけている途中から原告が「痛い。」と言い出したこと、原告は翌日東邦大学医学部付属病院を訪れ、石原医師の診察を受け、コールドパーマ皮膚炎との診断を受けていること、その際両頬と首筋に紅斑が存在したこと、昭和五五年三月二九日に日本医科大学付属病院で診察を受けた時点でも、既往に接触性皮膚炎が存在したのではないかと思量される症状がみられたことが認められ、これらの事実を総合すれば、パーマ作業中原告の頬と首筋にコールドパーマ液がかかったことを推認することができる。もっとも被告は、被告の美容院においては、パーマ作業に際し、頭髪と顔面及び首筋の間にタオルを巻いたうえ手でガードしながら順次パーマ液をロットにつけていくのであるから、液が頬にかかったということはありえないと主張するが、パーマ液が頬や首筋に飛ぶ可能性を完全に否定しきることはできないうえ、《証拠省略》によると年間数件はパーマ液による事故の例がみられることが認められることに照らし、前記認定を覆すことはできない。また、右各証拠によれば、荒井里美は原告にかかったパーマ液を洗い流す等の措置を講ずることなく赤外線を照射したことが認められる。

以上認定の事実によれば、被告は原告との間の美容契約履行に際し、原告が皮膚障害を生ずることのないよう配慮すべき注意義務に違反したものとして債務不履行の責任を負うものというべきである。

3  損害の発生及び因果関係について

(一)  《証拠省略》によると、原告にパーマをかける際に使用されたパーマ液はややアルカリであって、それが皮膚に接触した場合すぐに洗い流さなければ一次刺激性皮膚炎を生じうるものであること、その症状は発赤、紅斑、腫脹、ピリピリとした疼痛掻痒などであることが認められ、《証拠省略》によると、原告は赤外線照射中から顔面にヒリヒリとした痛みを感じたこと、翌日になっても首筋、両頬が紅く腫れて痛んだため東邦大学医学部付属病院で診察を受けたところコールドパーマ液による皮膚炎と診断されたことが認められ、これらの事実を総合すれば、少なくとも昭和五五年二月一九日の時点では原告の両頬と首筋にコールドパーマ液による一次刺激性接触皮膚炎が生じており、そのことと先に認定した被告の債務不履行との間には直接の因果関係が存在するものと認められる。

他方、《証拠省略》によると、同年三月二九日に原告を診察した時点ではパーマ液による一次刺激性接触皮膚炎よりはむしろステロイド皮膚炎の症状が強くみられたこと、同年五月二九日に原告を診察した時点ではステロイド剤の副作用があるステロイド皮膚炎(酒さ様皮膚炎)と診断されたこと、パーマ第一液による接触皮膚炎の場合、再度の接触がなければ皮膚症状は数週間で治るのが通常であることが認められ、これらの事実からすれば、仮に原告主張のように昭和五九年ころまで顔面が紅いという症状が続いており、現在でも紫外線に当たると両頬や首筋に痛みを感じるという事実が存在したとしても、それらの症状と被告の債務不履行との間には直接の因果関係が認められないものといわなければならい。

原告の両頬に色素沈着が生じている事実は《証拠省略》により認められる。しかしながら、この色素沈着が接触性皮膚炎の後遺症であることを認めるに足りる証拠はない。かえって、《証拠省略》によれば、接触性皮膚炎の後遺症だとすれば数か月で消失するものであることが認められ、他方、《証拠省略》によれば原告は本件事故以前から肝斑の治療を受けていたことが認められ、これらの事実に照らして考えると原告の両頬の色素沈着と本件事故との間には因果関係を認めることはできない。

(二)  《証拠省略》によると、原告と本件事故による接触性皮膚炎の治療のためステロイド剤を顔面に塗布していたが昭和五五年五月一三日にその塗布を止めたこと、同月二九日には原告の顔面に酒さ様皮膚炎の症状が現れていたこと、ステロイド剤は皮膚炎に有効であるが副作用も生じやすく、中止して一、二週間すると禁断症状が出てくることが認められ、これらの事実からすれば、原告の顔面に生じた酒さ様皮膚炎はステロイド剤の副作用であると推認される。しかし、他方、《証拠省略》によると、パーマ液による一次刺激性接触皮膚炎は通常数週間で治るものであること、原告は昭和五三年から染毛剤によるかぶれのため東邦大学医学部付属病院で治療を受けており、本件事故当時も通院中であったこと、その治療のため、昭和五四年六月一日から同年一二月二一日までの間六回にわたって一〇ないし二〇グラムのプロパデルクリーム(ステロイド剤の一種)を処方されて顔面に使用していたこと、本件事故後もそれ以前とほぼ同程度の量のプロパデルクリームが処方されているにすぎず、格別従前と異なった治療は施されていないこと、一次刺激性接触皮膚炎の場合通常一、二週間で症状がとれるので副作用が生じるほど長期間プロパデルクリームを使用する必要はないこと、本件事故による炎症の治療としては頬だけでなく首筋にもプロパデルクリームを塗布していたが、副作用は顔面だけで首筋には生じていないことが認められ、これらの事実に照らして考えると、原告の顔面に生じたステロイド剤の副作用症状である酒さ様皮膚炎は、仮に本件パーマ液による接触皮膚炎が存在しなくてもステロイド剤の副作用として生じたものと推測され、本件事故の治療としてステロイド剤を使用したことにより症状が悪化したことを認めるに足りる証拠もないから、被告の債務不履行による本件事故とステロイド剤の副作用との間には因果関係が存しないものというべきである。

《証拠判断省略》

(三)  したがって、ステロイド剤連続使用に伴う副作用については、被告の債務不履行との因果関係が認められないから、仮に原告主張のような自律神経失調症や内科的症状が存在し、それがステロイド剤の副作用であるとしても、これらを被告の責めに帰すべき損害と解することはできず、他に原告主張の諸症状と被告の債務不履行との間の因果関係を認めるに足りる証拠はない。

4  損害額について

(一)  以上認定の事実によれば、原告が支出した治療関係費のうち、被告の本件債務不履行と相当因果関係の認められる一次刺激性接触皮膚炎に対する治療費のみが本件事故により原告の被った損害額として認められることになる。そして、前記認定のとおり、パーマ第一液による接触皮膚炎は通常数週間で治るものであり、昭和五五年三月二九日の時点で原告の症状は接触皮膚炎より酒さ様皮膚炎の症状の方が強く出ており、同年五月二九日の時点では既に接触皮膚炎ではなく酒さ様皮膚炎であると認められることからすると、本件事故から同年四月分までの治療費をもって原告の被った損害額と認めるのが相当であるところ、《証拠省略》によると、右期間中の医療費及び交通費の合計額は一万九五〇〇円であることが認められる。雑費については、その支出をもって被告の負担に帰すべき原告の損害と認めるに足りる証拠がない。

(二)  原告は、顔面に消えることのない色素沈着を生じたこと、現在に至るまで日光を避ける生活を強いられていることによる精神的苦痛を主張するが、前記認定によれば、パーマ第一液による接触皮膚炎は既に消失しており、その後の症状と被告の債務不履行との間には因果関係を認めることができないから、右精神的苦痛をもって被告の債務不履行による損害と認めることはできず、他に金銭によって慰謝すべき原告の精神的苦痛は認められない。

三  抗弁(消滅時効)について

被告は、本件美容契約の債務不履行に基づく損害賠償請求債権が商行為によって生じた債権であるから期間五年の消滅時効にかかると主張する。そこで、本件美容行為が商行為に当たるかについて検討するに、前記認定によれば、契約当事者は被告個人であって会社ではないから、これを付属的商行為と解することはできない。更に、美容院の業務行為自体が場屋取引として営業的商行為に当たるかについては、場屋取引とは客をして一定の設備を利用させることを目的とする取引を意味するものと解されるところ、美容院においては客に設備を利用させるという関係にあるものではないから、これを場屋取引に含めて解することはできず、他に美容院における業務行為につき商行為性を認めるべき根拠は存在しない。

したがって、その余の点について判断するまでもなく、抗弁は理由がない。

四  結論

以上によれば、原告の本訴請求は、被告の債務不履行に基づく損害賠償請求として、一万九五〇〇円及びこれに対する昭和五五年五月一日(《証拠省略》により、原告は遅くとも同年四月中には被告に対する損害賠償を求めたものと認められる。)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文を適用し、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 荒井勉)

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