東京地方裁判所 昭和62年(ワ)9322号 判決 1994年4月18日
原告
神谷商事株式会社
右代表者代表取締役
佐藤一男
右訴訟代理人弁護士
佐藤博史
高橋一郎
被告
総評全国一般東京ユニオン
右代表者執行委員長
高井晃
被告
総評全国一般東京ユニオン神谷商事支部
右代表者支部長
横山英秋
右両名訴訟代理人弁護士
内田雅敏
竹岡八重子
主文
被告らは原告に対し、各自一二一万七一七〇円及びこれに対する昭和六二年八月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用はこれを五分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求<省略>
第二事案の概要<省略>
第三争点に対する判断
一本件ビラ貼付行為の違法性について
1 本件ビラ貼付行為について
(一) 本件ビラ貼付行為の目的
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
被告組合は、本件和解協定を締結した動機の一つに原告が本件東口会館ビルにおいて自ら新たに営業を開始することが従業員の雇用確保につながるということにあったので、その後も原告が本件和解協定に沿って本件東口会館ビル七ないし九階のうちのワンフロアーにおいて営業を開始することを期待していた。ところが、原告は、その後本件和解協定の趣旨に沿い右営業を開始するために業種についての調査・検討を重ねたが、いずれも採算の採れる業種を選定することができないまま月日が経過し、このようなことから、右ワンフロアーをこのまま空室にしておくことは採算上できないし、本件和解協定締結時に比し従業員の雇用の安定も図られているという事情の変更があるものと判断し、そこで、被告組合に対し、昭和五九年四月二七日、同年五月三一日までに被告組合から具体的な提案がなくかつ、原告としても新業種開発について目処が立たない場合には本件和解協定のうち右ワンフロアーで原告が営業をするとの条項部分を解約せざるを得ない旨申し入れた。これに対し、被告組合は原告に対し、団体交渉の開催を申し入れたが、団体交渉のルール(被告組合は、団体交渉の場にテープレコーダーの持込みを従前どおり許すべきであると主張したのに対し、原告は、これを認めないと主張したこと等)をめぐって紛争となり、団体交渉を事実上開催することができない状況であった。このようなことから、被告組合は、同年五月二五日、東京都地方労働委員会に不当労働行為救済命令を申立て、本件和解協定の右部分解約の申入れを撤回し、本件和解協定を誠実に履行するとともに、被告組合との団体交渉に応じるよう求めたが、原告は、同年六月六日付をもって本件和解協定部分解約をなした。これに対し、被告組合は、本件和解協定部分解約は八階部分にもテナントを入居させ、組合員を排除する原告の組合敵視政策の現れと判断し、同年七月一二日、原告に対し、闘争宣言を発し、翌一三日、ストライキ通告をなし、これに対し、原告は被告組合に対し、ストライキ中は本件東口会館ビルに立ち入ることとビラの貼付とを禁ずるとともに、ビラを貼付したら直ちに剥離するよう警告したが、同月一四日午後六時から被告組合書記次長千葉芳行(但し、同人は同年九月から書記長に就任した。以下「千葉書記長」という。)及びこの支援者らが本件東口会館ビル正面玄関等に本件ビラ貼付行為を開始した。
なお、原告と被告組合とは、右不当労働行為救済命令申立て事件の調査・審問の過程で解決に向けての話合いの機会を持ったが、同年九月二一日、決裂となった。
(二) 本件ビラ貼付行為期間
被告らの本件ビラ貼付行為期間は、前述したとおり、昭和五九年七月一四日から同年一二月一〇日までであった。
(三) 本件ビラ貼付場所
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
被告組合は、本件ビラ貼付行為の目的である本件東口会館ビル八階にテナントが入居することを阻止するためには、テナントとして入居するのを希望するため同ビルを訪れるすべての人が見易い場所にビラを貼付することに重点を置く方針のもとに、千葉書記長が中心となって支部組合員及び支援者らが同ビル正面玄関、一階エレベーターホール、二階通路部分にビラ貼付行為をなし、この外に、テナントとして入居することを希望する者が事務所にも訪れるものと判断し、この入り口にもビラの貼付をなした。
右ビラ貼付行為の重点的対象となった正面玄関、一階エレベーターホール及び二階通路部分は、本件ビラ貼付行為期間中略連日に亘り貼付行為がなされ、これに対し原告の管理職員が剥離行為に及ぶと再度直ちに同一場所に貼付行為をなすというように、同一場所に一日数回に亘り貼付行為を繰り返すということもあり、また、被告組合は、右剥離行為に対抗するため貼付場所を他の階段、エレベーター内、八階事務所入口、従業員控室、ボーリングスコアーテーブル、フロントカウンター等にまでも拡大させた。
(四) 本件ビラ貼付方法
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
被告組合は、本件ビラ貼付行為開始に先立ち、この貼付方法として剥離し易く原状回復を容易とするためにセロテープを使用することの意思統一をしてセロテープでビラの四隅を止めて貼付していたが、原告の管理職員がビラを貼付後剥離したため、壁面等の被貼付施設面に剥離しにくくするためにセロテープ、ガムテープを密着して貼付するとか、被告らが特別に制作したシール(裏面全面接着剤付)を使用する等して貼付したり、このシールを判読できない小片にして貼付したりした。
(五) 本件ビラ貼付枚数
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
本件ビラ貼付行為が開始された昭和五九年七月一四日のビラ貼付枚数は三〇〇枚に達し、その後も略連日のように一日数百枚のビラ貼付行為がなされ、同月だけでも六三二〇枚に達し、同年八月には略一万八四〇〇枚、同年九月には、略一万二〇〇〇枚、同年一〇月には、略五万四四〇〇枚、同年一一月には、略六万二二〇〇枚、同年一二月には、本件ビラ貼付行為最終日である一〇日までの間に略六三六〇枚、以上本件ビラ貼付行為期間中のビラ貼付枚数は総合略計一七万一七〇〇枚に達し、この間の九月二四日と一〇月二三日には各五〇〇〇枚、一〇月二五日には六三五〇枚、同月三一日には六三〇〇枚という膨大な数に達するビラ貼付行為のなされた日もあった。
(六) 本件ビラ貼付ビラの形状・記載内容
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
貼付された本件ビラは、B四、B五判で、文言は印刷と手書によるものとが半々であり、この記載内容は、前述した内容の外、「七、八、九階の職場を返せ」、「団交に応じろ」、「人権無視の超低額回答粉砕」、「吉永総務部長に抗議の声を」、「神谷営業部長は暴言、暴行、脅迫を謝罪せよ」等の組合教宣活動に関するものであったが、中にはこの教宣活動とは関係のない鄙猥なものもあった。
2 原告会社の本件ビラ貼付行為に対する対処方
原告の本件東口会館ビルにおける営業形態は前述したとおりであるが、証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
本件東口会館ビルの使用状況は、原告が三階、四階及び地下一階でボーリング場を、六階でビリヤード場を経営し、その他をテナントに賃貸(但し、二階は駐車場、地下一階、地上三階、四階及び七階については売上げ折半方式)し、八階と九階の一部を原告の事務所としており、本件東口会館ビルに出入りするのは、娯楽を楽しむ人々とテナント会社の従業員及びテナント会社に用件がある人々であり、これらの人々を合わせての一日当たりの利用者は、四〇〇〇ないし五〇〇〇名にも達し、これらの利用者の殆どが一階の正面玄関からエレベーターを利用していた。
原告は、千葉書記長らが本件ビラ貼付行為を開始した直後から管理職員をして同書記長らに対し、ビラ貼付行為を禁ずること、貼付したビラを撤去することの口頭警告を発したが、同書記長らは、この警告を全く無視して被告支部組合員及び支援者らを動員して貼付行為に及んだ。その後も原告は被告組合に対し、同年七月一七日にはビラ貼付行為の即刻の中止と後日の損害賠償の請求の警告を書面でなしたが、千葉書記長らは、これを全く無視して右と同様本件ビラ貼付行為に及んだ。このようなことから原告としては、同月一八日ころ、被告組合のビラ貼付行為に対してはその場で警告すること、ビラ貼付行為の状況を現認し、記録に留めること、ビラ剥離行為は、トラブル発生を防ぐため被告ら組合員のいないときになすことの方針で臨むこととしたものの、千葉書記長らは、なおも本件ビラ貼付行為に及んだため、原告は被告組合に対し、同年八月三日には原告貸与のロッカー内に被告支部組合員がビラ等を保管していることの撤去要求を、同月一一日には被告支部組合員のビラ貼付行為は就業規則違反なので即刻中止することの警告を、同月三〇日には違法なビラ貼付行為をしている責任を追求し、損害賠償を請求すること等の警告を、同月一四日には営業現場及び機器などにビラを貼付することは業務妨害であり、この責任を追求し、損害賠償等を請求することの警告を、同月二九日には正面玄関入口床面に多量のビラを貼付することは出入りの妨害行為であり、この責任を追求すること等の警告を、同年一〇月一五日には違法なビラ貼付行為の責任を追求し、就業規則に準拠し懲戒処分を行うこと等の警告を、いずれも書面でなした。しかし、千葉書記長らは、右警告を全く無視し、前記認定のとおり多数のビラの貼付行為を長期間に亘り繰り返した。
3 当裁判所の判断
以上認定したところによると、被告らは、本件掲示板貸与協定が締結されていたにもかかわらず、ストライキ目的を達成するため、本件東口会館ビルの所有権者であり管理権者である原告の意思に反し、約五か月間という長期間連日に亘り、しかも、総計略一七万一七〇〇枚という膨大な枚数のビラを同ビル正面玄関、一階エレベーターホール及び二階通路部分に重点的に貼付したというのであり、その貼付方法もセロテープによるものが大半であったものの、中にはガムテープによるものもあったというのであるから、被告らの本件ビラ貼付行為は、原告会社の所有権及び管理権を侵害した違法なものであったといわなければならない。
被告らは、本件ビラ貼付行為は自力救済行為であった旨主張するが、被告らが本件ストライキ目的を達するには本件のような違法になるまでのビラ貼付行為に及ぶ以外にも他に執るべき手段があったと考えられるし、緊急の必要性があったことを認めるに足りる証拠もない。
したがって、この点に関する被告らの主張は理由がない。
さらに、被告らは、本件ビラ貼付行為は目的・手段の点において正当な組合活動であった旨主張するが、この主張の理由のないことは前述したところから明らかである。
二損害の有無及び額について
1 被告らの主張に対する判断
(一) 被告らは、本件ビラ貼付行為による損害賠償請求権は存在しない旨の裁判上の和解が成立している旨主張するが、本件全証拠によるもこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって、この点に関する被告らの主張は理由がない。
(二) 被告らは、本訴請求は権利の濫用である旨主張する。
なるほど、本件ビラ貼付行為は、原告が一方的に本件和解協定部分解約をなしたことに端を発し、被告らが求める団体交渉をも本質とは関わりのない事柄で拒否しているという状況下において、原告に本件和解協定を遵守させるという目的のためになされたものであるから、目的において正当であったということができる。しかし、被告らは、右目的を達するため、本件掲示板協定が締結されていたにもかかわらず、また、前述のとおり、原告の警告を全く無視して長期間に亘り膨大な枚数のビラを本件東口会館ビルの広範囲にわたり貼付したというのであるから、これの違法性は看過することができず、また、これによる損害も後記認定のとおり高額に上るのであるから、原告が被告らに対し、本件ビラ貼付行為によって被った損害を求めることは許されるというべきである。
したがって、この点に関する被告らの主張も理由がない。
(三) 被告らは、ビラ貼付撤去費用は原告の負担とするとの労使慣行が成立していた旨主張するが、ビラ貼付撤去費用が原告の負担とするとすることが原告において労使関係を律する規範的な事実として明確に承認されていること、あるいは、従業員が一般的に当然のこととして異議を留めず、当該企業内においてそれが事実上の制度として確立していることを認めるに足りる証拠はない。
したがって、この点に関する被告らの主張も採用しない。
2 損害の有無及び額について
(一) ビラ剥離用道具等の購入について
(1) 壁面塗布用サラダオイル及びローラーについて
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
原告としては、被告らによる本件ビラ貼付行為が開始された直後から順次この剥離をしたが、被告らもこれに対抗して、剥離された後同一場所に何回となくビラ貼付行為を繰り返し、貼付枚数も日毎に増加させ、貼付場所も拡大させた。このような状況下にあって、本件東口会館ビルのテナント及び同会館ビルの利用客からも原告に対しビラ貼付についての苦情が寄せられるようになり、そこで、原告は、ビラの貼付を困難にし、貼付されたビラを剥離し易くするため、本件東口会館ビル正面玄関入り口付近の柱及び壁面にサラダオイルを塗布することを企図し、同年九月ころ、サラダオイルを三五〇八円、ペンキローラー及び受皿を四八二〇円でそれぞれ購入し、同月下旬から同年一〇月下旬までの約一か月間に亘り右柱及び壁面部分に塗布した。もっとも、当初はオイル塗布によりセロテープが密着せず、効果があったものの、同一場所にビラ貼付が繰り返されるうちにオイルの効果が薄れてビラを貼付することが可能となり、また、壁面に顧客が寄り掛かると衣服が汚れる等の問題が発生したことから、中止するようになった。
右に認定したところによると、原告の本件サラダオイル、ペンキローラ及び受皿の購入は、被告らの違法なビラ貼付行為を事前に防止するための一手段としてなしたというのである。
ところで、本件ビラ貼付行為は、原告が一方的に本件和解協定部分解約をなしたことに端を発し、被告らの求める団体交渉をも本質とは関わりのない事柄で拒否していたという状況下において、被告らが原告に対し、本件和解協定を遵守させるという目的をもってなされたことは前述したとおりであり、原告のなした右予防的措置は、被告らの右争議戦術を減殺させるという側面をもった対抗的戦術とも評価することができ、原告において法的措置をも含め他に執るべき手段も考えられたのであるから、右予防的措置をなしたことをもって原告が被告らの違法行為によって被った損害ということはできない。
したがって、この点に関する原告の主張は理由がない。
(2) ビラ剥離用爪等道具について
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
本件ビラ貼付方法については前記認定したとおりであるが、これに対し、原告は、当初ビラを素手で剥離していたが、ビラの貼付枚数が多かったことから剥離者の爪が傷ついたりしたので、プラスチック製の爪、平面清掃用の鉄製「鉄の爪」を一万一八二〇円で購入した。
ところで、被告らは、昭和五九年九月一九日ころから本件東口会館ビルの床面にもビラを貼付するようになり、さらに貼付場所を正面玄関入り口、一階エレベータホールにまで拡大するようになった。このようなことから、原告としては、これらのビラの剥離を「鉄の爪」ですることが困難となり、立ったまま大量に剥離のできる「ケンスコ」と呼ばれる器具とか、水をつけてビラの剥離をすることのできるモップ、クマデを購入して、これらを使用してビラの剥離をした。これらの器具の購入代金は九七五〇円であった。
右に認定したところによると、原告の購入した右ビラ剥離用爪等の道具は、被告らが違法に貼付したビラを除去するための現状回復費用手段であったから、相当な損害ということができる。
(3) 壁面及び床面保護用カーペット及びクロス張り付け工事について
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
被告らは、昭和五九年九月一九日ころから本件東口会館ビルの正面入り口の通路床部分にも多くのビラを貼付するようになり、さらに貼付場所を正面玄関入り口、一階エレベーターホールの床面にまで貼付するようになった。これに対し、原告は、前述したようにモップ、クマデ等で剥離していたが、剥離後のセロテープ、ビラの破片等が残ることから、顧客に対するイメージダウンになりかねないと判断し、ビラの貼付を困難とするため、同年一〇月二五日ころ、正面玄関入り口から一階エレベーターホール床部分全面に毛足のある厚手のパンチカーペットを敷く工事をした。この工事代金として一六万五五四〇円を要した。
また、被告らは、同年八月ころからビラの貼付場所をエレベーター内の内部壁面にまで拡大した。そこで、原告は、この貼付を困難とするため、同年一〇月三〇日、エレベータホール床面に敷いたと同様のパンチカーペットをエレベーター(一・二号機)内部壁面全部に貼り回す工事を実施した。この工事代金として五万六〇〇〇円を要した。
さらに、原告は、同年一〇月三〇日、右工事と同様被告らのビラ貼付を一階エレベーターホールの壁面にも貼付しにくくするため、同壁面に厚手の材質のクロスを張り付ける工事を実施した。この工事代金として七万五〇〇〇円を要した。
右に認定したところによると、原告のなした右床面のパンチカーペット敷設工事及びクロス張り付け工事は、右(1)に述べたサラダオイルと同様の予防的措置であるから、そこで述べたと同様の理由により原告の被った損害ということはできない。
したがって、この点に関する原告の主張は理由がない。
(二) ビラ剥離後の汚損壁面等特別清掃費について
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
原告は、被告らが貼付したビラを前述のように剥離したが、剥離後この殆どの部分にセロテープ片とか残った糊部分に埃等が付着して美感が害されたばかりか、剥離した際に壁面の塗装も同時に剥離してしまったので、これらを原状に回復するために塗装を施す必要があった。そこで、このためには右糊部分等を除去しなければならなかったので、この除去費用として五二万七五〇〇円を要した。
右に認定したところによると、右ビラ剥離後の汚損壁面等の特別清掃費は、被告らのなした違法な本件ビラ貼付行為の現状回復費用であるから、原告の被った損害ということができる。
(三) ビラ貼付による壁面等損傷部分塗装補修工事費について
証拠(<書証番号略>)によると、次の事実を認めることができる。
原告は、右のように除去作業を実施したが、塗装も剥離してしまったため、営業形態が前記認定したとおり、いわゆる娯楽及び建物賃貸業であったため、これらの利用客に不快感を与えないために諸施設を良好な状態で保持しなければならなかったので、塗装の剥離した部分には塗装工事をしなければならず、この工事を実施した。この工事代金として六六万八一〇〇円を要した。
右に認定したところによると、原告のなした右ビラ貼付による壁面等の損傷部分の塗装補修工事は、被告らのなした違法な本件ビラ貼付行為の現状回復費用であるから、原告の被った損害ということができる。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官林豊)