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東京地方裁判所 昭和63年(特わ)2728号 判決 1989年5月18日

本店所在地

東京都大田区大森中二丁目一六番七号

森忠商事

株式会社

(右代表者代表取締役 小田宏雄)

本籍

三重県一志郡一志町大字井生一四一五番地

住居

横浜市磯子区磯子台一八番二六号

会社役員

小田宏雄

昭和一三年二月一〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人森忠商事株式会社を罰金四〇〇〇万円に、被告人小田宏雄を懲役一年六月に処する。

被告人小田宏雄に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人森忠商事株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都大田区大森中二丁目一六番七号に本店を置き、食料品の卸売業等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人小田宏雄(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を総括しているものであるが、被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、換金用景品を現金で仕入れしたのに買掛したように装い架空買掛金を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五八年四月一日から昭和五九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億五〇四〇万〇四六〇円あった(別紙1修正貸借対照表参照)にもかかわらず、昭和五九年五月二九日、東京都大田区中央七丁目四番一八号所在の所轄大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億六九一八万一七一〇円であり、これに対する法人税額が六九六一万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第三一七号の二)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億四五七二万九九〇〇円と右申告税額との差額七六一一万円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和五九年四月一日から昭和六〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億七一一一万二四五六円あった(別紙3修正貸借対照表参照)にもかかわらず、昭和六〇年五月二七日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億八七四三万五〇五〇円であり、これに対する法人税額が七九七〇万六九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第三一七号の三)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億五九二三万七三〇〇円と右申告税額との差額七九五三万〇四〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ

第三  昭和六〇年四月一日から昭和六一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億五二九六万九一三九円あった(別紙5修正貸借対照表参照)にもかかわらず、昭和六一年五月二八日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億八六九二万五一二三円であり、これに対する法人税額が七九一五万二〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成元年押第三一七号の四)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億〇七七四万八一〇〇円と右申告税額との差額二八五九万六一〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  第一回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する供述調書八通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  田中重成、漆野津多子の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の長期貸付金、前渡金、買掛金、交際費限度超過額、代表者勘定、未納事業税の調査書

一  大蔵事務官作成の証明書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一、第三の事実につき

一  収税官吏作成の敷金の調査書

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の補正買掛金の調査書

一  押収してある昭和五八年度分法人税確定申告書一袋(平成元年押第三一七号の一)、昭和五九年度分法人税確定申告書一袋(同号の二)

判示第二、第三の事実につき

一  収税官吏作成の有価証券、過払源泉税、代表者借入金の調査書

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の森忠産業株式会社勘定の調査書

一  押収してある昭和六〇年度分法人税確定申告書一袋(平成元年押第三一七号の三)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の預け金の調査書

一  押収してある昭和六一年度分法人税確定申告書一袋(平成元年押第三一七号の四)

(法令の適用)

罰条 被告会社

法人税法一六四条一項、一五九条一項、情状により一五九条二項

被告人

法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人につき懲役刑選択

併合加重 被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)

執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社罰金五〇〇〇万円 被告人懲役一年六月)

(裁判官 柴田秀樹)

別紙1

修正貸借対照表

昭和59年3月31日現在

森忠商事株式会社

<省略>

別紙2

脱税額計算書

自昭和58年4月1日

至昭和59年3月31日

森忠商事株式会社

<省略>

別紙3

修正貸借対照表

昭和60年3月31日現在

森忠商事株式会社

<省略>

別紙4

脱税額計算書

自昭和59年4月1日

至昭和60年3月31日

森忠商事株式会社

<省略>

別紙5

修正貸借対照表

昭和61年3月31日現在

森忠商事株式会社

<省略>

別紙6

脱税額計算書

自昭和60年4月1日

至昭和61年3月31日

森忠商事株式会社

<省略>

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