大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所八王子支部 平成13年(ワ)443号 判決 2004年5月27日

原告

被告

八王子市

代表者市長

黒須隆一

主文

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第3 当裁判所の判断

1  認定事実

争いのない事実等、〔証拠略〕、原告本人、証人Aのほか、文中指摘のもの。ただし後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(1)  本件授業以前の経緯

ア  平成11年(以下、特に断りなく日付を示す場合は平成11年の日付をいうものとする。)2月10日、a中学校において、職員会議が開催され、席上、教員によって組織された儀式的行事委員会から、卒業式の運営に関する案が提案された。A校長は、卒業式の開式のことばの後に、君が代の奏楽をすること、日の丸旗を校旗と並べてスタンドに設置することを述べた。これに対し、原告は、反対意見を述べたところ、司会者は、「この件に関しては、別に会議の時間をとる。」と述べ、後日、継続して議論することとなった。

イ  原告は、2月15日午後、A校長及びB教頭に対し、本件資料プリント(〔証拠略〕)を手渡した。本件資料プリントには、学校教育における日の丸・君が代の変遷や、近隣諸国が日の丸をどう見ているかについて各種資料が掲載されているほか、「日の丸・君が代で国際化というけれど」「日の丸・君が代を通して狙うほんとうのところ」「a中職員が積み上げてきたものを壊さないために」「法と命令に従うという校長のことばだが……」との標題のもとに、原告が学校教育において日の丸旗の掲揚等を行うことに反対している理由や、校長が原告と一緒に行動することを期待する内容が記載されていた。

原告は、A校長に渡した本件資料プリントをめくり、7枚目の本件プリント部分を開き、教員に関わる部分を除いて、君が代・日の丸について授業でとりあげることを述べ、A校長に対して意見を求めた。これに対し、A校長は、良識に沿った話をして欲しいとの発言をした。

ウ  この点、原告は、上記の会話において、A校長に対し、本件プリント部分を一部変更したものを生徒に配布すること、A校長が職員会議において国旗掲揚・国歌演奏を実施すると述べていることを生徒に話すことを言明し、A校長から、そのことについて了解を得たと主張し、それに沿う原告本人の供述部分がある。

しかしながら、原告の上記供述部分についてはこれを裏付けるに足りる客観的な証拠はなく、また、A校長が示された本件資料プリントには、日の丸旗・君が代に関する学校教育の変遷等に関する資料が多数添付されていることや、後記(3)イ認定のとおり、A校長は、その後改めて原告が本件授業で使用した本件教材プリントの提出を原告に対して求めていることに照らすと、A校長が、イの会話当時、原告が行おうとしていた本件授業の具体的内容を十分に了解し、その上で本件授業を行うことを了承していたとは断定し難い。そして、このことと、この点に関する証人Aの供述を併せると、A校長が原告の授業内容を事前に了承していたとする原告の主張事実を認めることはできない。

(2)  本件授業の内容等

ア  本件教材プリントの上半分には、地下鉄サリン事件の実行犯の一人である被告人Cの裁判に関する新聞記事が複写されており、記事には、「かつて『指示待ち』今、教祖を『告発』」との見出しが付されている。

また、当該記事は、同人について、「自分で考えて行動しようとせず、周りや上からの指示に黙々と従うことで身の安全を保とうとして、結局自分を失ってしまう現代日本の人間像」の典型であると指摘し、同人の証言として、「『やりたくないという気持ちはありました。しかし、指示された以上はやるしかない、と思いました』『正しいとか、間違っているかと考えるのではなく、上からの指示は自分で判断するべきでない、無条件に従うべきもの、という思考が徹底していたのです』『なぜとは考えなかった。なぜかを考えるより、指示があれば、それを遂行するのがすべてであり、その理由や背景は知るべきではなく、また知る必要もないという考えがありました』」、「『指示を実行することで頭がいっぱい、真っ白の状態』で『被害者のことなど考える余裕がない』」とした部分を引用したうえ、「なぜ私たちの社会は、このような『指示待ち人間』を育ててきたのだろう」、「程度の差はあれ同じような人物を、戦後の私たちの社会はせっせと拡大再生産しては来たのではなかったか。」、「自ら考えることまで放棄してしまっていたのである。」と述べている。

イ  本件教材プリントの下半分には、下記のとおり、原告の手書の文章が記載されている。

(ア) 「C被告のことばをあなたはどう捉えますか。『卒業・入学式に『日の丸』を掲揚せよ、『君が代』を斉唱させよ』と、教委から指導された全国の校長のことばと同じに聞こえませんか。思考は同じ、だと思いませんか。」

(イ) 「確かに、『日の丸・君が代』だけで即、殺人には繋がらないでしょう。でもオウム信者だって初めから殺人を目的にしていたわけではないかもしれませんし、また麻原が目的としていたとしても他は知らされていなかっただろうと思います。マインドコントロールが完了してから、本当の目的が明かされたのではないでしょうか。」

(ウ) 「恐いのは、『指示』や『指導』『命令』をする・される関係が成立すると(これがマインドコントロール)、どんなに罪悪なことだって抵抗せずに、やがてすすんで実行してしまうことです。平時は絶対してはいけないと思うことでも、命令服従の関係が成立すると、やってしまうのが人間なのです。オウムに限らず、歴史をみれば、どの時代、どこの場所にも共通して見られることです。日本の侵略戦争でもしかり。」

(エ) 「現在だってそうです。厚生省・製薬会社ぐるみのエイズ隠し、大蔵省、金融、証券会社の不正などなど、命令服従の体質が起こしたことでしょう。」

(オ) さて、『日の丸・君が代』の歴史や意味、また揚げたり歌ったりすることの『意義』を校長先生から説明もされぬまま、あなたたち子どもが見させられたり、歌わされたりすることを、あなたは、どう思いますか。卒業式の主人公はあなたがたです。」

ウ  本件授業において、原告は、本件教材プリントを生徒に配布した上、「生きていく上で私が一番大切にしていること、そしてみんなにもこれからの生活の中で考えていって欲しいことを今日は話したい。」と前置きをしてから、本件教材プリントの新聞記事を読み、「あなたたちは良いことか悪いことかを考えずに、この記事のように、指示や命令に従ってしまった体験はなかっただろうか。」と問いかけた。また、原告は、生徒に対し、「私は学校や社会の中で判断を迫られることがあり、そのときはいいことか悪いことかをひとつひとつ考える。これは大変なことであり、時には勇気や決意が必要となることもあるが、私は自分の頭でよく考えておかしいと思ったことはやらず、正しいと思えば一人でも行動しなければと思っている。」などと話し、プリントの手書部分を読み上げた。さらに、原告は「これは思想・信条の問題であって、どちらが良いとか悪いとかいう問題ではなく、考えずに指示に従う姿勢についていいことかどうかを考えよう。」と話した。

また、原告は、生徒から、卒業式に校長が日の丸を掲げるかどうかについて問われたことから、「校長先生は職員会議で、『日の丸を舞台に三脚で置く。君が代は奏楽で流す。』と言っています。」と伝えた。

エ  2月16日、本件授業を受けた女子生徒3名が昼休みに校長室に来て、A校長に対して「校長先生はどうして卒業式に君が代の演奏と日の丸の旗を設置するのかその理由を聞きたい」と尋ねた。これに対して、A校長は、学習指導要領に基づいて行う旨の話をした。

(3)  市教委による訓告に至る経緯

ア  2月18日開催のa中学校職員会議において、卒業式の運営に関する案についての話し合いがされた。儀式的行事委員会が提出した原案は、日の丸旗はいかなる場所にもいかなる時間にも掲揚せず、また、君が代の演奏を行わない旨の内容であり、これが採決に付されたところ、原案に賛成する者22名、反対する者2名であった。

イ  2月19日、市教委から、原告が授業中に配布した『日の丸・君が代』に反対する書面について問い合わせがあったことから、B教頭は、A校長の指示を受けて、原告から本件教材プリント(〔証拠略〕)の交付を受けた。B教頭は、原告に対し、「いつ授業をしたのか。どのクラスに配ったのか。」、「学習指導要領にないのだから、止めるように伝えてくれと校長先生から言われた。」と述べた。これに対し、原告は、「予め校長に話し、何も言われなかったのだから今になってこのように言われても納得できない。もうすべてのクラスで授業を終えました。」と述べた。

ウ  2月20日、A校長は、原告に対し、本件教材プリントを使用した授業はやめるように口頭で指示した。これに対し、原告は、「すでに3年生の全組で授業を終えた。」、「本件教材プリントは事前に校長の判断を仰いだが、校長からの指摘はなく承認されたものである。」と話した。

エ  3月6日、A校長は、PTA運営委員会において、原告が授業で本件教材プリントを使用したことが市教委で問題とされていることを報告した。

オ  3月8日、高木順一八王子市議会議員(以下「高木議員」という。)は、八王子市議会予算特別委員会において、原告の行った授業の内容に批判的な質問をした(〔証拠略〕)。

カ  3月10日付け読売新聞は、本件授業に関し、「『全国の校長、上へただ報従』『日の丸・君が代問題』『中学教諭が批判の授業』『オウム信者になぞらえて』」といった見出しを付した記事及び「教諭自身が生徒をマインドコントロールしようとしたことにならないか。」との教育評論家の意見を掲載し(〔証拠略〕)、同月11日付け産経新聞は、本件に関し、「校長はオウム信者と同じ」などの見出しを付した記事を掲載した(〔証拠略〕)。

キ  市教委学校教育部付主幹のD(以下「D主幹」という。)は、3月12日及び15日に、原告に対する事情聴取を行った。

ク  A校長は、卒業式前日の3月18日、3年生の学年集会において、「三脚で日の丸を、奏楽で君が代を実施する。」と生徒に伝えた。その後、卒業式の実行委員の生徒たちが校長室を訪ね、A校長に対して、日の丸旗掲揚と君が代演奏に反対する意見を述べ、話し合いは午後8時ころまで続いた(〔証拠略〕)。

ケ  3月19日の卒業式当日、A校長の指示により、卒業生が入場する前に君が代の演奏が流され、卒業生が入場する時点で校庭のポールに日の丸旗が掲げられた(〔証拠略〕)。

コ  A校長は、3月31日付けで、本件授業に関する経過や自身の見解を記載した報告書(〔証拠略〕)を市教委宛に提出した。市教委は、4月から6月にかけて、都教委に対し、原告に対する懲戒処分を求めたが、都教委は、7月ころ、懲戒処分には至らない旨の判断をした。都教委は、その判断の理由の一つとして、D主幹に対し、A校長による原告に対する適切な職務命令がなかったため、その職務命令違反の点を問えないためである旨告げた(証人D)。

サ  本件訓告後、D主幹は、朝日新聞の取材に対して、「卒業式などの国旗掲揚・国歌斉唱は学習指導要領に明記されている。考えましょう、と生徒に呼びかけるのは指導要領に異を唱えることで、受け入れられない。」と答えた(〔証拠略〕)。

2  検討

(1)  地方公務員法33条は、「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」と規定しているところ、市町村の教育委員会は、市町村立学校の教職員のうちいわゆる県費負担職員に同条に該当する行為があった場合、地方教育行政の組織及び運営に関する法律37条、43条1項に基づき、その服務監督権限を行使して文書による訓告を行うことができると解される。そして、本件訓告が、前記法条に基づいてされたことは、前記認定のところから明らかである。

もっとも、教育基本法10条1項が、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体対し直接に責任を負って行われるべきものである。」と規定していることに照らし、市町村の教育委員会に認められる上記の服務監督権限の行使に関する裁量は、教育に対する不当な支配とはならない範囲において認められる趣旨のものと解すべきである。

(2)  本件授業に先だって行われたa中学校の職員会議においては、学習指導要領に則り、卒業式では日の丸旗を掲揚し君が代を演奏しようとしていた校長と、それに反対する者との意見が対立し、本件授業の当時にはその運営について決着がついていない段階であったこと、原告は卒業式における日の丸旗掲揚・君が代演奏には反対する意見を有しており、校長に対して翻意を求めていたこと、そのような状況のもと、原告は、本件授業において、本件教材プリントを使用して、教育委員会から日の丸旗の掲揚と君が代の斉唱を指導されている全国の校長は、地下鉄サリン事件という重大な犯罪行為を実行したオウム真理教の信者と同じ思考をしており、指示・指導・命令をする・される関係のもとでどんな罪悪なことでも抵抗をせずにすすんで実行してしまうこととなる旨の論評を行い、そのことを記載したプリントを生徒に配布したこと、さらに、原告は、当該プリントの配布に加えて、A校長が職員会議において卒業式では国旗掲揚と国歌演奏を行う旨発言していることを述べたこと、以上の事実は前記1で認定したとおりである。また、前記第2の1(5)で認定したとおり、本件訓告は、原告が上記のプリントを生徒に配布し、職員会議の内容を示し、校長の学校運営方針を批判するに等しい授業を行った点を訓告の理由としている。

(3)  ところで、原告は、教育委員会が個々の教師の個々の授業内容に直接介入してその当否を判断し、授業内容を理由として処分をすることは、それ自体、教育基本法10条1項が禁止する「不当な支配」に該当する旨主張する。また、原告は、本件授業の目的は、生徒たちに、自分の頭で考えて行動する人間になって欲しい旨を伝えることにあり、それを禁止する措置は、自主的精神の育成を期することを定めた教育基本法1条に反するほか、教諭の教育の自主性を尊重する旨を定めた学校教育法28条6項、40条にも反する旨主張する。

そこで検討するに、教育基本法は、教育に対する不当な支配を排する趣旨の規定(10条1項)に続けて、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するのに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」と規定し(同条2項)、教育に対する教育行政の関与を認めていることに照らすと、同法10条1項は、教育行政機関が教育の方法に対して何らかの制約を課することを全面的に禁止する趣旨ではなく、教育の目的を遂行するために必要かつ合理的と認められる措置であれば、それを許容する趣旨であると解されるところであり(最高裁昭和43年(あ)第1614号・昭和51年5月21日大法廷判決・刑集第30巻5号615頁参照)、このことは、自主的精神の育成について定めた同法1条や、教諭が教育をつかさどることを定めた学校教育法28条6項、40条についても同様であると解される。したがって、教育行政機関が教師の授業の方法に是正すべき部分があるとして服務監督上の措置をとることも、上記の趣旨に反しない限りにおいて許されるというべきである。

しかるところ、前記1(1)(2)で認定したところによれば、原告は、卒業式における日の丸旗掲揚と君が代演奏に強く反対する意見を有し、その思想信条において対立する立場にある全国の校長について、重大な犯罪を犯した宗教的組織の一員と同じようにマインドコントロールされた状態下にある者であるといわんばかりの内容の教材を作成し、これを中等教育課程に就学中の生徒に配布したものであるところ、校長らを犯罪者に比肩するこのような本件授業の方法が、原告の目指した自主性の尊重という教育の目的を達成するのに通常必要となる手段であると評価することは到底困難である。そして、原告が、上記のような教育手段を採用したことに関して教育行政から事後的に訓告という措置を受けたとしても、他の教育手段によって原告の目指す教育を行うことは何ら妨げられるものではない。また、本件授業に対して市教委がした本件訓告は、地方公務員法に基づく懲戒とは異なり、被訓告者である原告に対して直ちに法的な不利益をもたらさない指導監督上の措置であることが明らかである。

これらの事情を併せ考慮すると、市教委が上記のような原告の授業方法に是正すべき点があるとして服務監督上の措置として本件訓告を行うことは、不相当なものとは言い難く、本件訓告は教育基本法10条1項の趣旨に反するということはできないし、また、本件訓告により原告指摘の他の規定の趣旨が損なわれたということもできない。

よって、原告の上記主張は採用できず、本件訓告は、教育に対する不当な支配を排除することを規定した教育基本法10条1項や、原告指摘の他の規定の存在を考慮したとしても、市教委に認められた服務監督権限の行使に関する裁量を逸脱するものと解することはできないというべきである。

(4)  また、原告は、学校行事に関する職員会議の内容を生徒に告げることは何ら違法ではない旨主張する。

しかしながら、原告は、全国の校長の思考のあり方を批判する内容を有する本件教材プリントに基づく指導と同一の機会において、A校長の職員会議における発言を取り上げたことは前記1(2)認定のとおりであるから、市教委が、本件授業内容を構成する一要素としてこの点を考慮したとしても、市教委が服務監督権限に関する裁量権を行使するに当たって考慮すべきでない事項を考慮して本件訓告をしたとまでは言い難い。そうすると、本件訓告は、市教委に認められた裁量を逸脱したものとして違法であるということはできない。

(5)  さらに、原告は、A校長から、本件授業の内容及び職員会議の内容を生徒に示すことについて、事前に了承を得ていたのに、後になって市教委が本件訓告をすることは、原告に対する不意打ちであり、手続の適正を欠く旨主張する。

しかしながら、A校長においては、原告が行う予定であった本件授業の具体的内容を十分に了解していたと認めることができないことは、前記1(1)ウで判断したとおりである。もっとも、原告は、A校長に対して、予め本件資料プリントを交付し、授業で卒業式における日の丸・君が代の問題を取り上げることについて言及していたのであるから、A校長には、原告が行う授業内容について何らかの指導を行う契機があったということはできる。

しかしながら、前記認定の事実関係のもとでは、A校長が事前の指導をしなかったという不作為が、後になされた市教委による本件訓告について手続的な違法をもたらす程度のものであるとまで解することはできないことは、前記(3)で説示したところから明らかであって、原告の主張は採用できない。

(6)  また、原告は、本件訓告は一部の政治勢力と結託して原告を教育現場から排除しようとする目的に基づいてなされたものであり、市教委は裁量権を逸脱濫用したものであると主張する。

しかしながら、前記(3)で説示したとおり、本件訓告は、教育基本法10条1項に定める不当な支配に該当しないと解すべきことに加え、原告に対してされた本件訓告は、地方公務員法上の懲戒ではなく、服務監督上の措置にとどまっており、その不利益は原告所論のように大きなものではなく、原告を教育現場から排除するような内容のものでもないことや、校長らを犯罪者に比肩する内容の本件授業に対する服務監督上の措置として均衡を失するものとは言い難いことを考慮すれば、本件訓告は原告主張のような目的に基づいてなされたものと断じることはできず、市教委に認められた服務監督権限の行使に関する裁量を逸脱し又はこれを濫用したものと判断することはできない。

したがって、本件訓告が違法であるとする原告の主張は採用できない。

3  結論

以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の本訴請求は理由がないから、これを棄却する。

(裁判長裁判官 園部秀穗 裁判官 谷口豊 山田直之)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例