東京地方裁判所八王子支部 平成8年(ワ)763号 判決 1997年3月14日
原告
山口義郎
外三一二六名
右訴訟代理人弁護士
森川金寿
高橋修
太田雍也
榎本信行
佐藤和利
森田太三
木下泉
勝部浜子
奥田克彦
森川文人
四位直毅
岩崎修
盛岡暉道
池末彰郎
川口厳
須合勝博
高木敦子
中川重徳
松島宇乃
三村伸之
三坂彰彦
大山美智子
関島保雄
吉田栄士
岸本努
窪田之喜
尾林芳匡
松浦信平
飯塚和夫
齊藤展夫
齊藤園生
吉田健一
山本哲子
土橋実
外二三二名
被告
アメリカ合衆国
(United States of America)
右代表者司法長官
ジャネット・レノ
(THE ATTORNEY GENERAL)
(JANETRENO)
主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 被告は、別紙第三原告目録記載の原告らに対し、在日米軍横田飛行場において毎日午後九時から翌日午前七時までの間、航空機の離発着をしてはならない。
二 被告は、国と連帯して、別紙第一原告目録記載の原告らに対し、それぞれ金八〇万円、同第二原告目録記載の原告らに対し、それぞれ金六〇万円及び右各金員に対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 被告は、国と連帯して、別紙第一原告目録記載の原告ら及び同第二原告目録記載の原告らに対し、訴状送達の日の翌日から右第一項記載の行為がなくなり、かつ、その余の時間帯において右原告らの居住地に六〇ホンを超える一切の航空機騒音が到達しなくなるまでの間、毎月末日限り、それぞれ一か月金二万二〇〇〇円の割合による金員及び右各金員に対する当該月の翌月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 判断
一 被告が外国であることは公知の事実である。
二 以下、職権をもって検討する。
1 わが国の裁判権は、国際法上の原則によれば、外国を被告とする訴訟に関し当該外国に及ばず(大審院昭和三年一二月二八日決定・大審院民事判例集七巻一二号一一二八頁参照)、但し、当該外国が自発的にわが国の裁判権に服する意思を明示して応訴した場合、又は、わが国内に存在する不動産を直接の目的とする権利関係に関する訴訟である場合には、例外として、当該外国に及ぶこととなる。
2 この点を本件訴えについてみると、本件訴えが不動産を直接の目的とする権利関係に関する訴訟であるとはいえないから、被告が自発的にわが国の裁判権に服する意思を有するか否かを確かめることを要するところ(ちなみに、その確認手続は、平成六年一二月一四日最高裁判所民二第四二五号事務総長通達「外国を相手方とする民事事件に関する応訴意思の有無等の照会について」に基づく。)、一件記録によれば、被告は右意思を有しないことが認められる。
三 したがって、わが国の裁判権は、本権に関し、被告に及ばないという外ない。
第三 結論
よって、本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官豊永格 裁判官尾立美子 裁判官松田典浩)