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東京地方裁判所八王子支部 昭和40年(モ)66号 決定 1965年3月05日

申立人 筋野康一

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人の負担とする。

理由

本件異議申立の趣旨は、「東京地方裁判所八王子支部別紙記載事件の確定判決につき申立人に対する執行文付与を拒絶した同庁、裁判所書記官平川保寿の拒絶処分を取消し執行文の付与を命ずる旨の決定を求める。」というにあり、その理由の要旨は、「申立人は右判決における勝訴者月窓寺の借地人である。月窓寺は昭和二八年(ワ)第二六一号賃借権存在確認請求事件における被告として村上寛之助ほか二名から土地賃借権存在の確認請求を受け、申立人は該土地の真実の賃借権に基づき該訴訟に補助参加し、村上ほか二名の請求は棄却せられた。右事件に併合して月窓寺を原告とし村上ほか四名を被告とする同年(ワ)第三一六号建物収去土地明渡請求事件が併合審理され、いずれも月窓寺の勝訴となつて判決は確定した。しかるに月窓寺は右建物収退去土地明渡の確定判決につき執行文の付与申請をしようとしないので、申立人は月窓寺に対する借地権に基づき月窓寺の執行文付与申請権を代位行使するものである。」というにある。

思うに、確定判決につき執行文付与申請を勝訴当事者以外の第三者にゆるすことは、強制執行手続における法的安定を害し、特段の訴訟法規定のない限りゆるされないものと解すべきである。たとえ勝訴当事者に対する実体法上の債権者であつて且つ上叙のように併合審理された別件の補助参加人であつても、第三者として執行文付与申請を代位行使しようとする者である以上、民事訴訟法の規制するところに従い手続の法的安定の要請に服すべきところ、同法にはかかる代位に関する規定がないのであるから、これに対して民法第四二三条を形式的に適用するときは、訴訟法の要請に反し、従つてまた同法条を適用すべき実質的範囲をも逸脱することになる。よつて、申立人の本件申立は却下すべく、主文のとおり決定する。

(裁判官 立岡安正)

(別紙)

目録

(一) 昭和二八年(ワ)第二六一号賃借権存在確認請求事件

原告 村上寛之助 ほか二名

被告 月窓寺

被告補助参加人 筋野康一

(二) 昭和二八年(ワ)第三一六号建物収去土地明渡請求事件

原告(反訴被告)月窓寺

被告 村上寛之助 ほか三名

被告(反訴原告)呉香枝

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