東京家庭裁判所 昭和28年(家イ)2235号 審判 1953年8月29日
国籍
アメリカ
住所
東京都○○○区○○ビルデイング内
申立人
ウイリアム・ピカツト(仮名)
国籍
アメリカ
住所
アメリカ合衆国カリフオルニア州○○
相手方
メアリー・ピカツト(仮名)
(代理人
エドワード・コーン(仮名))
右当事者間の離婚等事件について、当裁判所は申立書及び当事者双方の陳述に基いて、日本国法例と夫の本国法である米合衆国カリフオルニヤ州の離婚に関する法律並びに日本国家事審判法を適用して次の通り審判する。
主文
一、申立人と相手方は本日離婚する。
一、申立人と相手方との間に出生した未成年者マクガルトの親権者及監護者を相手方と定める。
一、相手方は前項の未成年を申立人が適当に訪問することを許容するものとする。
一、申立人は前項の未成年者に対し相当額の扶養料を支私う義務を有するものとする。
一、事件費用は各自弁とする。
(家事審判官 近藤綸二)
申立の趣旨
申立人が相手方と離婚の調停を求める。
事件の実情
1 申立人は一九四八年六月○○日カリフオルニアで結婚しました。
2 申立人は相手方とカリフオルニアで三年二カ月間同棲しました。一九五二年四月○○日申立人は日本に来ました。日本に来る前私は○○○○空軍基地にいました。その時妻も一緒でした。
3 申立人と相手方の間にマクガルトの一子があります。
4 然かるに相手方である妻は私達が米国にいる間から家政を放任して省みず、洗濯や掃除をせず、食事の用意をしませんでした。他の男といちやつき、それ等男の名を聞かされたことも度々でした。
5 私(申立人)は一九五二年四月○○日日本に来ましたが妻(相手方)は米国に留まつて日本に来ませんでした。
6 妻は私が手紙を出しても返事は余りよこしません。よこすときには甚だ失敬にも男と外出したことなど書いてあります。
7 最近の手紙によりますとミシガン・トムソンという男と婚約したというようなことが書いてあります。妻は未だ私の正式の妻でありながら他の男と婚約したといい、その男から腕時計を貰つたとか、その男がその自動車を妻に使用させた模様などを書いています。
8 以上のような状況で夫として妻に離婚を求めなければならなくなりました。