大判例

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東京家庭裁判所 昭和39年(少)17084号・昭39年(少)14599号

主文

少年を東京保護観察所の保護観察に付する。

理由

(犯罪事実及び適条)

少年はA子(昭和二三・一・一九生)と共謀の上

一、昭和三九年二月○○日午後六時四〇分頃、東京都中央区銀座○の○三○堂店舗において、店員監視の隙にネックレス一個、イヤリング一個(時価合計一、二〇〇円相当)を窃取し、

二、同日午後六時頃、同区同町○の○文○堂において、店員監視の際にクッキー菓子一袋(時価一〇〇円相当)を窃取したものである。

上示各事実 刑法二三五条六〇条

(虞犯事実及び虞犯性)

少年は現住居において、小・中学校を卒業後、昭和三八年四月○○○学園女子高等学校に進学したが、不良交友、無断外泊が多くなり、両親はこれを矯正すべく、同年九月頃、横浜市の△△学園に転校させ、横浜の姉T江の許から通学させていた。しかし、その後も素行が改まらず、犯罪性のある者と交際し、昭和三九年二月に前記犯罪によつて築地署に検挙されるに至つた。それで両親の許に引き取られたのであるが、同年三月○日に家出し、同月△日姉T江に発見されて両親の許に連れ戻されるまで、深夜喫茶店等を泊り歩いていたもので、あまつさえ、両親に対し「また家出する」などと暴言を吐き、その正当な監督に服さない性癖を示し、その性格に照し将来罪を犯す危険があつたものである。それに、当時鑑別所の検診の結果によると、少年が長期治療を要する梅毒及び淋菌性腟炎を患つていたため、昭和三九年三月三一日医療少年院に送致されたのであるが、その後少年院においてこの病気の治療を受け、且つ、矯正教育を授けられた結果、淋菌のないことが判り、梅毒も一応治療し、非行性格も改善好転の兆を現わし、かたがた両親も保護責任を痛感して深い愛情をもつて周到に善導する旨の熱意を示すに至つたので、抗告審においては、これら原決定後の事情も綜合判断した結果、昭和三九年七月一四日前記医療少年院送致決定を著しい不当処分として取消し、事件を差戻したのである。それで改めて観護措置を執り、再度の鑑別検診を求めた結果による未だ潜伏性梅毒がみられたので、昭和三九年八月三日試験観察に付し、爾来今日まで在宅のまま東京慈恵会医科大学附属病院において駆梅治療を受けさせて来た。ところで、この少年の梅毒は、その後の長期治療の結果からみて、先天性のものと診断され、現在でも血清反応は陰化していないが、治療経過からみて治療したものとみなされるに至つている。他方、少年はこの間家事の手伝いをしたり、洋裁学校にも通い、一応安定を示している。そこで、少年の将来の犯罪に陥る危険性について考えてみなければならないのであるが、少年の現在の安定は上述の保護過程実施の一応の成果であつて、それが固定しているとは解し難く、却つて当審判廷における情況では、少年はその生活目標があいまいであつて、虚勢的であるし、保護者にも、何かそつとしておくというところがあるのであつて、教育についての充分な確信があるとはみられない。更に、これに、少年の前記各非行及び社会調査による過去の性行並びに鑑別結果にみられる少年の性格変調等を併せて考察すると、少年には未だ将来の犯罪への危険性が多分に残されているものと解されるものである。

それで、今後暫く専門的な観察指導を受ける必要があるものと認められ、少年法第二四条一項一号を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 海野賢三郎)

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