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東京家庭裁判所 昭和42年(少ハ)65号 決定 1967年12月22日

本人 R・M子(昭二二・一二・七生)

主文

本件申請を却下する。

理由

本件申請の要旨は、「本人は、昭和四一年一二月二一日東京家庭裁判所において特別少年院送致の決定をうけて、榛名女子学園に収容され、昭和四二年一二月二〇日期間満了となるものであるが、上級になるにつれて進級の見透しと満齢満期を控えて打算的に考え暴行等の反則事故があり、このまま退院させることは、入院前の非行を繰り返えすことになるので更に矯正教育を続けるため、満期より六ヵ月の収容継続の必要がある。」というものである。

而して右申請書(同年一二月一九日附)は一二月二〇日に発信せられ、同一二月二一日家庭裁判所に到達した。即わち、家庭裁判所において右申請事件を受理したときはすでに収容の満期を過ぎていたものである。

そこで案ずるに、少年院法第一一条にいわゆる収容継続のための少年院長の申請は、法定の収容期間内になされそれが期間内に家庭裁判所に到達しなければ、申請自体が不適法であることは、裁判所においてすでに通説とされているところである(昭和二七年一〇月二三日最高裁判所家庭局長回答、家裁月報四巻一〇号一五三頁、昭和二八年二月一九日同局長回答、判例体系四六巻一六三六頁、高松家裁昭和三五年一月八日決定、家裁月報一二巻二号一六六頁東京家裁昭和三四年七月一三日決定等参照)。

もつとも当該申請が期間を遵守できなかつたことが、自然的な不可抗力等のため少年院長の責に帰することができない場合は、その期間不遵守もしくは遅延が僅少であれば免責され手続違背も治癒されると解されることもあり得るかとも思われる。

しかるに、申請の経路を考えると、何等不可抗力によるやむを得ざる事由によるものでなく、申請書によれば、少年は一一月一日一級の上に進級、一二月一日室長任命、退院を目前にして事故があり、一二月九日懲戒処分謹慎一〇日となり同日一段階降下されたもので、その時直ちに収容継続の必要の有無を判断し、必要ありとすれば速やかに申請手続をとれば、法定の収容期間内に裁判所に到達し得たことは明らかである。しかるに、その措置に出でず満期前日に申請書を作製し満期当日に普通郵便にて発送したものと認められる。仮りに満期前日に申請が必要であると思料するに至るやむを得ない院内事情があつたとしても、速かに期間内に裁判所に申請が到達するような特別の送達方法を講じ得た筈である。

かかる点から考えても、本件申請が期間満了後家庭裁判所に到達したことにつき少年院長の責に帰することのできない事由による場合とは認め難いといわねばならない。

よつて本件申請は収容期間内になされたものでなく不適法であるからこれを却下すべきものと思料し、主文のように決定する。

(裁判官 森田宗一)

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