東京簡易裁判所 平成10年(ハ)25467号 判決 1998年10月28日
原告
佐藤美智男
被告
最上建設株式会社
右代表者代表取締役
小林将美
主文
一 原告の請求を棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一請求
平成八年一二月一〇日に東京簡易裁判所で成立した原告と被告との間の同裁判所平成八年ハ第三〇六四九号解雇予告手当請求事件についての和解が無効であることを確認する。
第二請求原因の要旨
一 平成八年一二月一〇日、東京簡易裁判所で原告と被告との間に同裁判所平成八年ハ第三〇六四九号解雇予告手当請求事件(基本事件という)につき「被告は原告に対し、本件解決金として五〇〇〇円の支払義務のあることを認め、本日、被告は右金員を支払い、原告はこれを受領した。原告は、その余の請求を放棄する。」という要旨の和解が成立した。
二 しかし、右和解は、労働基準法二〇条と被告の就業規則一〇条を適用しておらず、事実の認定を誤ったもので失当であり、また、和解金の額も五〇〇〇円では納得できない。
よって、右和解の無効であることの確認を求める。
第三当裁判所の判断
一 当事者間に成立した和解が無効とされるためには、その内容が強行法や公序良俗に違反するとか当事者が争い、互譲により決定した事項以外の事項について錯誤があった場合に限られるところ、原告はこの点について何ら主張しない。また、証拠によれば、基本事件においては原告と被告との間で解雇か否かの点で争いがあったが、その上で原告の主張する和解が成立したことが認められる。
二 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない。
(裁判官 熊谷弘)