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東京簡易裁判所 平成17年(少コ)1426号 判決 2005年6月16日

主文

1  被告は,原告に対し,7万円を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  この判決は,仮に執行することができる。

事実及び理由

1  請求

主文と同旨

2  請求原因の要旨

原告は,平成16年12月15日に○○オークションで被告からA社製のブレスレット(以下「本件商品」という。)を代金7万円で買い受けた(当事者間に争いがない。)が,鑑定により偽物であることが判明したので,本件売買契約は錯誤により無効であるから,被告に支払済みの売買代金7万円の返還を求める。

3  被告の主張の要旨

被告は,オークションに本件商品を出品した時に,「中古の委託品で証明書等はありませんので詳細は解りません。真贋について不安な方は入札をお控えください。写真で判断してください。入札のキャンセル,落札後のクレーム,返品はお受けしませんので,ご確認の上,入札してください。」と画面で説明し(当事者間に争いがない。),原告はすべて同意して落札したのであるから,本件売買契約は有効である。

4  理由

(1)  原告本人,甲1及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。

○○オークションでは偽物等コピー商品の販売は禁止されており,被告が出品した本件商品は,○○オークション検索の「A社製」で選出できるようになっており,画面上にはA社製のロゴマークの上に本件商品が乗せてあり,A社製の刻印がしっかり映った角度で実際に存在する商品に極めて似ている物であった。また,画面上には,A社製のコピー商品として販売されている平均価格は1万円から3万円までの間で,本物でもプレミア価格が付いている商品以外は10万円前後であると説明され,本件商品の取引価格は7万円であった。そのために,原告は,画像で本物であると信じて本件商品を買い受け,平成17年2月3日にA社の正規代理店であるB社で本件商品の鑑定をしてもらったところ,偽物であることが判明した。

(2)  以上の認定事実及び当事者間に争いのない事実によれば,本件商品が本物であるか偽物であるかについて原告の動機にとどまらず本件売買契約の内容となっており,原告は本件商品を本物であると信じて買い受けたのであり,その代金額は売買契約における重要部分であるから,原告の買受けの意思表示に要素の錯誤があったと認めるのが相当である。

よって,原告の請求は理由がある。

(裁判官 横田康祐)

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