大判例

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東京高等裁判所 平成元年(う)798号 判決

所論は,要するに,平成元年3月13日付追起訴状については,原判決言い渡しまでその第1葉と第2葉との間に検察官の契印がなく,刑訴規則58条2項に違反していたもので,被告人に送達された前記追起訴状の謄本が起訴当時の原本と同一内容のものであったとは断定できず,前記追起訴状の謄本の送達が刑訴法271条に従って適法になされたものとはいえないので,前記追起訴状による公訴については同法339条1項1号により公訴棄却の裁判をすべきであったのに,有罪の判決をした原判決は不法に公訴を受理したもので,同法378条2号前段によりこれを破棄すべきである,というのである。

…中略…

しかし,契印は,1個の文書が数葉からなっている場合にその各葉間の連結とその順序を証するために行われるもので,仮に前記契印が欠けていても,各葉が1綴りになっていて,その文書の形式,内容から連続したものとしての一体性が認められる限り,各葉に契印がなくとも1個の文書としての効力に影響はないものというべきであり,これを3月13日付追起訴状についてみると,前記追起訴状は,2葉の紙片がホチキスで綴られ,1葉の表面には,追起訴状という標題のもとに,「左記被告事件につき公訴を提起する。」と記載されたうえ,日付,検察庁名,検察官の署名押印,宛て先裁判所名が記載され,次に「一被告人」という見出しのもとに,被告人の本籍,住居,職業,氏名,生年月日の記載があり,1葉の裏面には「二公訴事実」の見出しのもとに,「贈賄したものである。」という言葉で締めくくられた贈賄の事実が記載され,最後の行に「三罪名及び罰条」という見出しが記載され,2葉の表面に,「贈賄刑法198条」と記載されているもので,前記の綴り方,文面の内容,形式からすれば検察官作成の起訴状としての一体性が認められるので,1葉と2葉間に契印がなくとも有効な起訴状であるといわなければならない。そして,記録によると,3月13日付追起訴状の謄本は同日被告人に交付送達されたことが認められるところ,前記追起訴状の原本はワープロにより作成されており,同時に提出された謄本も同様に作成された同一内容のものと推認されるので,前記追起訴状謄本送達は,被告人に起訴状の内容を知らせ,公判前に十分に防御の準備をさせるという刑訴法271条1項の趣旨に欠けるものではなかったものと認められる。したがって,前記追起訴状謄本の送達は有効であるというべきで,その公訴の効力は失われるものではなく,原判決には不法に公訴を受理した違法はない。

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