大判例

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東京高等裁判所 平成元年(ネ)1325号 判決

遺言により相続分の指定がされている場合において、当該遺言の解釈に疑義があるときは、もとより家庭裁判所がその権限に属する遺産分割等の審判の前提として遺言の趣旨を解釈し、これに基づいて具体的相続分を認定することとなるのであるが、このことは、右相続分の指定が具体的な権利ないし法律関係を形成する効果を有することを否定するものではない。すなわち、相続が開始すれば、遺産は原則として法定又は指定の相続分の割合に応じて相続人の共有となり、個々の特定の不動産についてみれば、その相続分は特定されたものであるから、不動産登記法四一条により右割合を持分とする移転登記が可能となる。したがって、遺産を構成する個々の不動産についての指定相続分による持分権の帰属は、具体的法律関係として、民事訴訟における確認の対象としての適格を有するものと解すべきである。

これを本件についてみるに、控訴人の請求の趣旨は必ずしもその表現において適切とはいい難いが、控訴人に対しその相続分を全部とする旨の指定があったことを理由として、本件物件について控訴人が所有権を有することの確認を求める趣旨と解することができ、相続人中の一人につきその相続分を全部とする旨の指定をすることもなし得ないものではないから、本件訴えは適法なものということができる。

(丹野 加茂 河合)

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