東京高等裁判所 平成元年(ネ)3273号 判決 1990年11月20日
控訴人
小澤敏彦
被控訴人
町井昭八郎
右訴訟代理人弁護士
村越進
同
武田昌邦
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
(申立)
控訴人は、「原判決を取り消す。(主位的請求)被控訴人は、控訴人に対し、昭和六三年四月二一日から原判決別紙物件目録記載の建物の明渡済みまで一か月四二万円の割合による金員を支払え(当審において減縮)。(予備的請求)被控訴人は、控訴人に対し、昭和六三年一二月七日から右建物の明渡済みまで一か月四二万円の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決及び仮執行の宣言を求め、被控訴人代理人は、主文第一項と同旨の判決を求めた。
(主張)
次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決二枚目表一〇行目から末行にかけての「本件建物」を「原判決別紙物件目録記載の建物(以下『本件建物』という。)」と、同四枚目表九行目の「町田」を「町井」とそれぞれ改め、同裏五行目の「被控訴人から」を、七行目の前の「を求める訴訟」をそれぞれ削り、同行の後の「訴訟」を「訴え」と、同五枚目表七行目の「被告」から「不当訴訟」までを「右訴えの提起は不当」と、一〇行目の「組み」を「組んだまま」と、同裏一行目の「外部」を「外壁」と、同六枚目表二行目の「不当訴訟」を「不当な訴え提起及び仮処分申請」と、後の「訴訟」を「訴え」と、四行目の「前記訴訟」を「右訴えの提起及び仮処分の申請」と、七行目の冒頭から同行の後の「訴訟」までを「右寄託金及び工事代金返還の訴えの提起」と、同行の「外部」を「外壁」と、末行の「前記」から同裏二行目の「対する」までを「控訴人の右損害賠償請求に対する被控訴人の抗争は不当であり、これら」と、七行目の「終了後」から八行目の「一一日」までを「終了の後の日である昭和六三年四月二一日」とそれぞれ改める。
二 同七枚目表一行目を「1 請求原因1の事実は、(四)の礼金の定めを除いて認める。」と、二行目の後の「2」を「同2」と、同裏三行目から四行目にかけての、八行目の各「訴訟」を「訴え」と、同八枚目表一行目の「組み」を「組んだまま」と、三行目の「除去」を「撤去」と、七行目から八行目にかけての「不当訴訟、不法行為である」を「不当な訴え提起であり、不法行為に該当する」と、九行目の「訴訟」を「の訴え」と、同裏六行目の「訴訟」を「訴え」と、同行から七行目にかけての「不当訴訟、不法行為である」を「不当な訴え提起及び仮処分申請であり、いずれも不法行為に該当する」とそれぞれ改める。
三 同一一枚目裏二行目から六行目までを削り、七行目の「4」を「2」と、九行目の「右2、3の債務不履行を理由として」を「被控訴人が昭和五七年四月一〇日の期間満了後の契約更新に際し、約定更新料を支払わなかったこと及び昭和五五年一月二六日以降の賃料の支払をしないことを理由として」と、末行の「5」を「3」と、同一二枚目表二行目の「6」を「4」と、四行目の「7」を「5」とそれぞれ改め、同行の「の翌日」を削る。
四 同一二枚目表八行目の後の「1」を「請求原因1」と、末行の「3」を「2」と、同行の「4ないし6」を「同2ないし4」とそれぞれ改め、一〇行目を削り、同裏六行目、八行目の各「弁済」の前に「更新料として」を加える。
五 同一三枚目表八行目の冒頭に「1」を、末行の次に行を改めて次のとおりそれぞれ加える。
「2 本件賃貸借は、昭和五五年一月二六日の契約解除により終了しており、被控訴人がそれを無視し、賃料を供託しているとして本件賃貸借の存続を主張することは公序良俗に反し権利の濫用に当たる。」
六 同一三枚目裏二行目の「事実中」を「1のうち」と、六行目の「ほぼ同じく」を「同様の」とそれぞれ改め、同一四枚目表八行目の「他方、」を、同行の「契約」をそれぞれ削り、同裏六行目、一〇行目、同一五枚目表六行目、一〇行目の各「訴」を「訴え」とそれぞれ改め、同一四枚目裏一行目の「同公証人から」の次に「同年二月六日」を、七行目から八行目にかけての「第一〇〇一号」の次に、同一五枚目表一行目の「第一〇二八号」の次に「、」をそれぞれ加え、同一五枚目裏七行目の「発布」を「発付」と、同一六枚目表末行の「契約の昭和五五年一月二六日の」を「につき昭和五五年一月二六日にした」とそれぞれ改める。
七 同一六枚目裏一〇行目の「1の事実中、」を「再々抗弁1のうち」と、同一七枚目表一行目の後の「2」を「同2」と、二行目の「3の事実中、」を「同3のうち」と、四行目の「4の事実中、」を「同4のうち」と、六行目の「発布」を「発付」と、七行目の後の「5」を「同5」とそれぞれ改める。
(証拠関係)<省略>
理由
一当裁判所も、控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決が理由において説示するとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一八枚目表四行目の「争いがない」を「争いがなく、礼金についての説示は原判決理由第一、二、5のとおりである」と、一〇行目の「乙第一」から同裏二行目の「並びに」までを「弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したと認められるから真正に成立したと推定される乙第一号証、第三号証(第三五号証は同じもの)、第七号証、第三四号証、第五〇号証、第六五、六六号証及び」と、三行目の「ほぼ同じく」を「同様に」と、五行目、九行目の各「明渡訴訟」を「明渡しを求める訴え」と、同一九枚目表六行目から七行目にかけての括弧の部分を「(乙第三号証、第七号証)」と、九行目の「乙第三」から同裏九行目の末尾までを「乙第三号証(第三五号証)、第七号証、成立に争いのない甲第二三号証の二、原本の存在及び成立に争いのない乙第一二、一三号証、第五六、五七号証、官署作成部分の成立については争いがなく、弁論の全趣旨により原本の存在及びその余の部分の成立が認められる乙第二二ないし第三〇号証、第四八号証、弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したと認められるから真正な公文書と推定される乙第五八、五九号証、第六一号証、弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、右乙第五八号証により成立の認められる乙第一四号証の一、二、第一五ないし第二〇号証、第二一号証の一、二」とそれぞれ改め、同二〇枚目表六行目の「被告は」の次に「、振込み先の通知依頼をした同年一月二八日付の内容証明郵便を差し出した上、」を加える。
2 同二〇枚目裏五行目の「乙第三」から八行目の「第三三号証」までを「甲第二三号証の二、乙第三号証(第三五号証)、第七号証、第五八、五九号証、成立に争いのない甲第三三号証、原本の存在及び成立に争いのない乙第四号証(第四三号証は同じもの)、第三三号証」と、同二一枚目裏八行目の「乙第四」から同二二枚目表五行目の「認められる。)」までを「甲第二三号証の二、第三三号証、乙第四号証(第四三号証は同じもの)、第七号証、第五六号証、第五八、五九号証、本件建物の写真の写しであることにつき争いがない乙第三一、三二号証(弁論の全趣旨により、第三一号証は昭和五四年八月ころ、第三二号証は昭和五六年二月ころ撮影されたことが認められる。)、前掲乙第五七、五八号証により原本の存在及び成立の認められる乙第四一号証、右乙第五八号証により昭和五七年四月ころ撮影した本件建物の写真の写しであることが認められる乙第五五号証」とそれぞれ改める。
3 同二三枚目裏一〇行目の「第四」から末行の「第五九号証」までを「第四号証(第四三号証)、第七号証、第五六号証、第五八、五九号証」と、同二四枚目表四行目の「本件全証拠」から七行目の末尾までを「前示2に認定した本件賃貸借契約締結の経緯によれば、水道工事の申請を訴外会社の代表者である町井愛子名義でしたからといって控訴人との信頼関係を破壊するものというに足りない。」と、九行目の「各訴訟」を「訴え」と、同裏六行目の「訴訟」を「訴え」と、八行目の「乙第四」から九行目の「第三三号証と」までを「甲第二三号証の二、第三三号証、乙第四号証(第四三号証)、第七号証、第五八、五九号証」と、一〇行目の「甲第三八号証」を「第三八号証」と、同二五枚目裏九行目の「当たる」から一〇行目の「当たる」までを「当たり、信頼関係を破壊するものである」と、同二六枚目表三行目の「乙第四」から一〇行目の「認められる。)」までを「甲第二三号証の二、乙第四号証(第四三号証)、第七号証、第五八、五九号証、弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正に成立したと推定される乙第四四、四五号証、官署作成部分については成立に争いがなく、前掲乙第五八号証により原本の存在及びその余の部分の成立が認められる乙第四九号証の一、前掲乙第五八号証により昭和五四年七月ころの本件建物の写真の写しであることが認められる乙第五四号証」と、同裏五行目の「提訴」を「なものである」と、一〇行目の「訴訟」を「訴え」と、同二七枚目裏一行目の「第四五号証」を「四五号証」とそれぞれ改める。
4 同二八枚目表二行目の「事実」から五行目の末尾までを「点を除き当事者間に争いがなく、」と改め、六行目の「そして」からを五行目の末尾に続け、同裏一行目の「しかし、」を「抗弁1及び2のうち被控訴人がその主張どおり昭和五五年二月分以降の賃料及び更新料名目の金員を弁済供託したことは当事者間に争いがなく、」とそれぞれ改める。
5 同二九枚目表三行目から同三四枚目表一〇行目までを次のとおり改める。
「1 控訴人は、被控訴人のした前示弁済供託が控訴人の得た供託金取戻請求権に対する債権差押・転付命令に基づく取戻しにより弁済の効力を喪失したと主張するが、前示のとおり賃料及び更新料債務者である被控訴人において賃料及び更新料債務の弁済に充当すべきことを指定して有効な弁済供託をしている以上、賃料債権者である控訴人が別個の債権に基づき供託金取戻請求権に対し強制執行をすることによって自ら供託金の取戻しを行い、これにより右債権の満足を得て弁済供託の効果を覆すことは、弁済充当の規定に反し許されないというべきである。控訴人の右主張はそれ自体失当である。
2 控訴人の公序良俗違反及び権利濫用の主張は、前示主位的請求において判示したとおり、控訴人のした本件賃貸借契約解除は効力がないというべきであるから、その前提を欠き失当である。」
二以上の次第で、控訴人の請求は、その余について判断するまでもなく理由がなく、これを棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官丹野達 裁判官加茂紀久男 裁判官新城雅夫)