東京高等裁判所 平成元年(行コ)127号 判決 1991年2月06日
東京都港区浜松町一丁目三番八号
控訴人
辻商事株式会社
右代表者代表取締役
辻絹子
右訴訟代理人弁護士
小川信明
同
友野喜一
同
鯉沼聡
同
名村泰三
東京都港区芝五丁目八番一号
被控訴人
芝税務署長 長原雄介
右指定代理人
田口紀子
同
小此木勤
同
遠藤家弘
同
羽柴宗一
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し昭和五九年一二月二六日付でした昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度の法人税の更正処分のうち、所得金額四四万八四五八円を超える部分、課税保留金額一億八一一三万二〇〇〇円及び納付すべき税額一三万四四〇〇円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定をいずれも取り消す。
3 訴訟表は、第一、第二審とも、被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文第一項と同旨。
第二当事者の主張及び証拠関係
当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決三丁裏八行目の「その」を「訴訟人の」と改め、同四丁表一行目の「以下、」の次に「右建物を『本件建物』といい、を加える。
二 同一三丁表三行目の「前記四で主張したとおり、新たに」を右1で主張したとおりに」と改める。
三 同一三丁表末行の「本件」の次に「原、当審」を加える。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないから、これを棄却するものと判断する。そして、その理由は、次のとおり訂正、付加又は削除するほかは、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決一五丁表一行目の「五」を「六」と、同丁裏五行目の「課されている」を「設定されている」とそれぞれ改める。
2 同一七丁表一行目の「(四)」の次に「その一方で、」を、同三行目の「登記原因を」の次に「同日付」を、同一〇行目から同末行にかけての「収受していた」の次に「(但し、亀井総業と控訴人との間における、右期日を区切りとする右費用、賃料等についての精算は、後記の和解が成立するに至までなされていなかった。)」をそれぞれ加える。
3 同一八丁裏五行目の「の証言」を「、同辻政治の各証言の」と、同一九丁表一行目の「記載部分があるが、これらは、」を「記載部分がある。しかし、このうち、控訴人による本件の売却の目的が辻木工の再建を図ることにあり、このため、控訴人においては、税務処理上は辻木工が原告を吸収合併した後に本件売買契約を締結したことにしたいという希望を有していたとの供述部分ないし記載部分については、これを信用することができるが、本件売買契約を辻木工が原告を吸収合併した後に締結することが同契約の絶対条件となっていたものであって、亀井総業との間にもその旨の合意が成立していたとの供述部分ないし記載部分及び昭和五八年七月一九日の契約は原告と亀井総業との間の単なる借り契約にすぎなかったとの供述部分ないし記載部分は、」とそれぞれ改める。
4 同一九丁表四行目の「かえって、」を「すなわち、」と、同丁裏八行目の「願い事」を「願い書」とそれぞれ改め、同二〇丁表二行目の「至らなかったこと、」の次に「しかし、辻木工においては、資金を緊急に必要としていたこともあって、亀井総業との間で、控訴人が辻木工に吸収合併されることを契約締結の条件とする旨の合意が成立しないまま、同年八月九日に前記2(二)記載のとおりの本件売買契約の各履行行為がなされたこと、」を加える。
5 同二〇丁表一〇行目の「前記1の」を「前記2の」と改め、同二〇丁裏一行目の「ことを」の次に「希求して、これを、」を同一行目の「要請したことはあるが、」の次に「それに止まり、当時辻木工の資金繰りが窮迫していたことから、結局は亀井総業との間で明確な合意が成立するに至らないまま、」をそれぞれ加え、同一行目の「右の」から同二行目の「との間に、」までを削り、同三行目の「進めていた」を「進めた」と改める。
6 同二〇丁裏末行の「亀井総業」の次に「、亀井総業」を加え、同二一丁裏一行目の「前記1の」を「前記」と改める。
7 同二一丁裏三行目の「3」を「4」と、同九行目の「4」を「5」と、同二二丁表末行の「5」を「6」とそれぞれ改め、同二二丁表三行目の「との間において、」の次に「裁判上の和解により事後的に、」を、同一〇行目の末尾に続けて「なお、国税通則法二三条二項一号には、一定の要件のもとに、申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決又は和解により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したときは、更正の請求をすることができる旨を定めている。しかし、本件のように、客観的事実と明らかに異なる内容の事実を確認する和解がなされたときにまで同条項の規定を適用するのは、不当な租税回避を認める結果を招き、相当でないから、同条項の存在は右判断の妨げとなるものではない。」をそれぞれ加える。
二 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥村長生 裁判官 前島勝三 裁判官 富田善範)