東京高等裁判所 平成元年(行コ)149号 判決 1990年10月30日
東京都板橋区板橋一丁目四七番一一―二〇五号
控訴人
有限会社日本ディスク・スペース
右代表者代表取締役
永瀬憲治
右訴訟代理人弁護士
竹中英信
東京都立川市高松町二丁目二六番一二号
被控訴人
立川税務署長 市川誠
静岡県浜松市砂山町二一六番地六
被控訴人
浜松東税務署長 倉田外茂男
群馬県伊勢崎市鹿島町五六二番地の一
被控訴人
伊勢崎税務署長 野島透
右三名指定代理人
齋藤隆
新井宏
被控訴人立川税務署長指定代理人
岡崎良則
小野寺慎悟
竜崎康博
被控訴人浜松東税務署長指定代理人
高瀬富吉
被控訴人伊勢崎税務署長指定代理人
真塩栄道
松田哲夫
右当事者間の物品税決定処分等取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
[申立]
(控訴人)
「原判決を取り消す。被控訴人立川税務署長が昭和六〇年三月二六日にした控訴人の昭和五六年六月分、同年七月分、同年九月分、同年一〇月分及び同年一二月分の各物品税の決定並びに無申告加算税賦課決定を取り消す。被控訴人浜松東税務署長被承継人浜松税務署長が昭和六〇年三月二六日にした控訴人の昭和五六年一一月分、同年一二月分及び昭和五七年一〇月分の各物品税の決定並びに無申告加算税の賦課決定を取り消す。被控訴人伊勢崎税務署長が昭和六〇年三月二六日にした控訴人の昭和五七年二月ないし同年一一月分、昭和五八年一月分、同年四月ないし同年一二月分及び昭和五九年一月ないし同年五月分の各物品税の決定並びに無申告加算税賦課決定を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求める。
(被控訴人ら)
主文第一項と同旨の判決を求める。
[主張]
原判決事実摘示のとおりである(但し、原判決四枚目裏八行目、九行目、同八枚目表末行、同裏一行目、同一四枚目表五行目及び六行目の各「ないし」の次に「同年」を加え、同一一枚目表六行目の「電源スイッチと」から八行目の「からなる」までを「電源スイッチを兼ね、鍵盤演奏ができるコンダクター機能と一定の音がキーを押した指を離しても鳴り続けるメロディ調子笛機能とを選択するために使われる」と、同一五枚目裏六行目の「音名のどの高さになるかは」を「音名にしてどの高さの音に当たるかは」とそれぞれ改める。)。
[証拠]
原審及び当審記録中の各証拠目録記載のとおりである。
理由
一 当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり訂正するほか、原判決がその理由として説示するところと同一であるから、これを引用する。
1 原判決三三枚目裏一行目の「乙第二号証」の次に「(甲第六二号証の五の三と同一)」を、同三四枚目裏三行目の「成立に争いのない」の次に「甲第六二号証の五の四、」を、同三五枚目裏一〇行目の「乙第四号証」の次に「(甲第六二号証の五の六と同一)」を、末行の「乙第二〇号証」の次に「(甲第六二号証の三の一三と同一)」を、同三八枚目表一行目の「三九」、二行目の「四二」、三行目の「四一」の各次に「号証」を、同三九枚目表二行目の「乙第五号証」の次に「(甲第六二号証の五の七と同一)」を、三行目の「乙第九号証」の前に「甲第六二号証の三の一五」を、同裏二行目の「経験等から、」の次に「西洋音楽が七音音階構成であるのに対して、邦楽等は五音音階構成であることに着目し、」を、同四一枚目表五行目の「並びに」の次に「原本の存在及び成立に争いのない乙第一三号証、」を、同四二枚目表四行目の「一〇」の次に「号証」をそれぞれ加え、同三六枚目表四行目の「宛」を「ずつ」と、同四一枚目表末行の「その前奏や伴奏をすること」を「、通常用いられる尺八に代えて前奏ないし伴奏楽器として用いられること」とそれぞれ改める。
2 同四一枚目裏三行目の「用途であるが」を「用途とされているが」と改め、六行目の「であること」の次に「、本件物品の用途として右のように研修指導が強調されているのは、正式の演奏に際しては、詩吟の場合には肉声のみで伴奏を伴わないのが普通であり、その他の邦楽の場合にも伝統的な楽器によって演奏又は伴奏が行われるのが普通であって、本件物品は練習時の補助的手段又は伝統楽器の代替品として用いられることが多いことによるにすぎず、本件物品そのものは、むしろ詩吟ないし邦楽用の音階に従って一定の音の高さ及び大きさをもって一定の旋律を有する楽曲を演奏できることをその特徴とするものであること」を加え、末行の「の使用法に関しては」から同四二枚目表二行目の末行までを「に関しては、その各種の使用方法について具体的に記述されており、単に普及宣伝のために誇大に記述したにすぎないものとは到底解し難いから、右主張には左袒することはできない。」と改める。
3 同四二枚目裏四行目の「一般社会通念」の前に「器具の概念に関する」を、五行目の「形成」の前に「普遍的、客観的に」を、七行目の「当該物品」の前に「その製作の目的を含めて」をそれぞれ加え、五行目の「客観的な」を削り、六行目の「どうかは」を「どうかについても」と、八行目の「判定」を「判断」と、同四三枚目表八行目の「朗吟すること自体が」から同裏四行目から五行目にかけての「これは」までを「朗吟することが全体としては音楽に当たらないという前提に立つとしても、それが音楽的側面を有することは否定できないのであり、詩吟コンダクター及び邦楽コンダクターは、その構造及び機能上、詩吟そのもの又はその伴奏に用いられる一定の方法による音の組合せを演奏することができ、かつ、そのような用途を有するものであることころ、この演奏は、一定の旋律とリズムを有し、聴覚を通じて美的感興をそそる作用を有するものであるから、」と改める。
4 同四五枚目表六行目の「本件物品が」の次に「邦楽の音律の構成である五音音階に適合するように作られており、」を、七行目の「演奏に」の次に「より適したものとして」を、八行目の「乙第一〇号証の三」の次に「において詩吟用コンダクターの音質が『電子楽器でありながら詩吟にふさわしい音質を取り入れたもの』と評価されていること」をそれぞれ加え、同裏二行目の「その構造」から四行目の「であるから」までを「音楽の演奏をすることをその本質的な機能とし、主としてこのような機能を介して研修の用に供されるものであることは前示のとおりであり、研修のための器具としての特有の機能をそれ自体の重要な特性として備えているとはいえないのであるから」と改め、同四六枚目表六行目の「課さない」の次に「。」を、同四七枚目表四行目及び五行目の各「ないし」の次に「同年」をそれぞれ加え、同四八枚目表二行目の「本件物件」を「本件物品」と改める。
二 よって、本訴各請求を棄却した原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 丹野達 裁判官 加茂紀久男 裁判官 新城雅夫)