東京高等裁判所 平成10年(ネ)209号・平9年(ネ)578号 判決
本件賃料等改定特約が合意された平成二年一月の時点において、控訴人と被控訴人との間においては、土地や地代・家賃は今後も値上がりするとの予測のもとに、増額に際し紛争等を避けるため右合意がされたものであり、そのほかに定率自動改定特約を設けるべき特段の事情は見当たらない(このことは、本件賃貸借契約書七条三項に前記のような調整規定が置かれたことからも裏付けられる。)ものであって、その後に地価や賃料の下落傾向が継続することになるものとは予測しえなかったものと解され、そうだとすれば、右のような事情のもとでは、本件賃料等改定特約に基づき、被控訴人主張のように、約定の三年後である平成六年三月二九日において、本件賃料及び共益費が自動的に九パーセント増額されたものとすることは、前記バブル経済崩壊後の経済事情の変動の程度や同種ビルの賃料水準との比較において不合理な結果になるものというべきであるから、本件賃料等改定特約は、事情変更の原則により、右時点における賃料の改定にあたっては適用されないものといわざるをえない。
(矢崎秀一 西田美昭 筏津順子)