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東京高等裁判所 平成10年(ネ)2225号 判決 1998年10月08日

控訴人(原告) X1

控訴人(原告) X2

右両名訴訟代理人弁護士 片岡剛

被控訴人(被告) 株式会社三和銀行

右代表者代表取締役 A

右訴訟代理人弁護士 香月裕爾

同 小野孝明

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の控訴人らに対する東京地方裁判所平成九年(ヲ)第二一一三号売却のための保全処分命令申立事件の決定に基づく強制執行を許さない。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文同旨

第二当事者の主張

当事者双方の主張は、原判決三頁六行目の「ついての」の次に「平成九年七月二八日付けの」を加えるほかは原判決事実摘示第二のとおりであるから、これを引用する。

理由

一  請求原因1及び抗弁1ないし4の事実は当事者間に争いがない。

右争いのない事実及び乙二号証によると、控訴人らは、本件決定について東京高等裁判所に対して、本件賃貸借契約及び本件転貸借契約に基づく控訴人らの本件建物の占有が民事執行法五五条所定の「不動産の価格を著しく減少する行為」には当たらないという趣旨の不服理由でもって執行抗告をしたが(同庁平成九年(ラ)第一七九一号執行抗告事件)、同裁判所は、平成一〇年一月三〇日、控訴人らの本件建物占有行為は本件建物の価格を著しく減少する行為に該当すると判断して同執行抗告を棄却したこと、その結果、そのころ本件決定は確定したことが認められる。

本件決定は、被控訴人の控訴人らに対する民事執行法二二条三号所定の「抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあっては、確定したものに限る。)」に該当する債務名義であるところ、同債務名義に対する請求異議訴訟においては、右裁判の成立(確定)した時以後に生じた事由に限り異議理由になり得るものと解すべきである。控訴人らの本件異議事由は、本件賃貸借契約及び本件転貸借契約に基づく控訴人らの本件建物の占有が本件建物の価格を著しく減少する行為には該当しないというものであり、右執行抗告理由と同趣旨の主張を繰返すものであって、本件債務名義に表示された請求権について実体的障害事由があることをいうものではあるが本件決定の確定後に生じた事由でないことは明かである。したがって、控訴人らの主張する事由は、本件請求異議訴訟の異議事由として主張自体失当であるといわざるを得ない。

(仮に、本件債務名義に関しては、その異議事由につき時期的制限がなく、決定要件の原初的不存在等も異議事由として主張し得ると解するとしても、当裁判所は、本件における控訴人らの行為は、民事執行法五五条所定の「不動産の価格を著しく減少する行為」に当たると判断する。その理由は、原判決理由の二の2記載のとおりであるから、これを引用する。)

二  以上によれば、控訴人らの本訴請求異議は理由がないから棄却すべきである。

よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鬼頭季郎 裁判官 池田亮一 廣田民生)

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