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東京高等裁判所 平成10年(ラ)2649号 決定 1999年1月25日

抗告人

甲野一郎

主文

原決定を取り消す。

株式会社丸一総業に対する売却を不許可とする。

理由

一  抗告の趣旨及び理由

抗告の趣旨は、「原決定を取り消し、株式会社丸一総業に対する売却を不許可とする。」との裁判を求めるものであり、その理由は、別紙「執行抗告理由書」に記載のとおりである。

二  当裁判所の判断

執行抗告理由書の冒頭に、「平成一〇年(ソラ)第八〇号不動産競売開始決定取消し請求「執行異議申立」棄却決定に対する執行抗告受理事件について、執行抗告人は次のとおり執行抗告理由を陳述する。」との記載があるため、抗告人は、売却許可決定に対する不服を申し立て、その理由を主張しているのか、執行異議棄却決定に対する不服を申し立て、その理由を主張しているのか必ずしも明らかではないが、執行抗告理由書の全趣旨からすると、後者と解される。

ところで、本件記録によれば、執行裁判所は、平成一〇年二月四日、売却方法を期間入札とし、その期間を同年五月六日から同月一三日午後五時まで、開札期日を同月二〇日午前一〇時とし、売却許可決定期日を追って指定とすることを内容とする売却実施命令を発令したこと、株式会社丸一総業は、右期間入札に応礼したところ、右期間入札に応じた入札者は株式会社丸一総業一名にすぎなかったこと、執行裁判所は、追って指定とされた売却許可決定期日を定めることなく、平成一〇年八月三日、株式会社丸一総業に対する売却許可決定を言い渡したことが各認められる。

そうすると、売却許可決定期日の指定がないのに言い渡された本件売却許可決定は、無効といわざるを得ず、本件は、民事執行法七四条二項に定める「売却許可決定の手続に重大な誤りがある」場合に該当するといわざるをえない。

三  よって、本件抗告は、その理由があるから、原決定を取り消した上、株式会社丸一総業に対する売却を不許可とし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官髙木新二郎 裁判官末永進 裁判官藤山雅行)

別紙執行抗告理由書<省略>

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