大判例

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東京高等裁判所 平成11年(う)633号 判決

被告人 中尾道芳

〔抄 録〕

そこで、所論が、妨害行為の存在を構成要件事実と考えていない原判決につき、監禁罪の解釈を誤っていると論難していることについてみると、所論は、監禁罪の成立につき、睡眠に陥れるだけでは監禁罪は成立せず、薬物により睡眠していたとしても、行動の自由の可能性があるから、このような場合に監禁罪が成立するためには、行動の自由を奪うような積極的な作為、不作為(施錠、見張り等)が必要であり、原判決は法解釈を誤っている、というのであるが、刑法二二〇条の監禁罪における監禁とは、人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にしてその行動の自由を奪うことをいい、脱出を不可能又は著しく困難にする方法は、有形的・物理的な方法だけでなく、無形的・心理的な方法でもよいのであるから、要するに、監禁とは、方法を問わず、人を一定の場所の外に出られないようにすることであると解され、この点は所論も同じ考えと思われる。

そうすると、甘言を用いて被害者らを被告人の居室に連れ込み、同室において、被害者らに睡眠薬をやせる薬と偽り服用させて深い眠りに陥らせた被告人の行為は、まさに、眠らせることにより人の行動の自由を奪い、眠った場所から外に出られないようにするものであることは明らかであって、これが監禁罪に該当することはいうまでもないことである。所論は、睡眠の原因に関与しない者が、睡眠に陥っている人を監禁するためには、部屋に施錠等をすることが必要であるということから、これを睡眠の原因を自ら作り出した者にもあてはめ、眠らせただけでは足りず、その後の行動の自由を奪うような行為をすることが必要であると主張しているが、これが、同一に論じられないのはいうまでもなく、所論は到底採用できない。

(高橋省吾 青木正良 本間榮一)

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