東京高等裁判所 平成11年(ネ)3452号 判決 1999年11月17日
控訴人(原審原告)
【A】
被控訴人(原審被告)
株式会社リコー
右代表者代表取締役
【B】
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一 控訴人の求めた判決
1 原判決を取り消す。
2 本件を東京地方裁判所に差し戻す。
第二 事案の概要
一 本件事案の概要は、二のとおり、当審における控訴人の主張の要点を付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」(原判決二頁四行目から三頁九行目まで)のとおりと認められるから、これを引用する。但し、原判決二頁六行目の「い、」を「いい、」に改める。
二 平成一一年七月一日付控訴理由書、同月八日付「脱漏カッコ補足申立書」と題する書面及び同月一九日付準備書面に記載された原判決の判示に対する控訴人の主張の要点
原判決は、控訴人が、商品名「リコーPPC九〇〇及びB・Aチェンジャー」、「リコーPPC九〇〇及びセンタースリッター」及び「リコピーPL五〇〇〇オート」の各製品について、原判決別紙目録(一)ないし(三)のとおり特定したうえ、それらが本件考案の技術的範囲に属するとして本訴を提起したものと認められるから、本訴は原判決別表記載の各事件と実質的に同一の訴訟であると判断した。
そこで、控訴人は、イ号製品の特定(原判決別紙目録(一))、ロ号製品の特定(同目録(二))、ハ号製品の特定(同目録(三))につき、本判決別紙「目録の訂正」のとおりに改める。
控訴人は、本件訴えにおいて、複写機構のみならず複写機関係の商品名も除いたものである右訂正後の被控訴人製品が、本件考案の技術的範囲に属することを主張するものであり、ことごとく敗訴の判決を受けた原判決別表記載の各訴えにおいて対象となった、被控訴人製品(複写機関係の商品名である「リコーPPC九〇〇及びB・Aチェンジャー」、「リコーPPC九〇〇及びセンタースリッター」及び「リコピーPL五〇〇〇オート」の複写機構)が本件考案の技術的範囲に属すると主張するものではない。
したがって、本件訴えは、ことごとく敗訴の判決を受けた各訴えと実質的に同一の訴えを蒸し返すものではないから、民事訴訟において要請される信義則に反し、あるいは訴権の濫用に当たるものとはいえず、本案判決がなされるべきである。
第三 当裁判所の判断
一 原判決が、「事実及び理由」欄の「第三 当裁判所の判断」一項(原判決三頁末行から五頁二行目まで)で、顕著な事実として認定した事実関係は、前示控訴理由書、脱漏カッコ補足申立書及び平成一一年七月一九日付準備書面の記載に照らしても、控訴人の争わないところと認められる。
しかして、右事実と、本件訴えにおける控訴人の主張とを併せ考えれば、当裁判所も、本件訴えが不適法であって、その不備を補正することができないと判断するものであり、その理由は、当審における控訴人の主張に対する判断を次のとおり付加するほかは、原判決五頁三行目の「原告は、」から六頁一行目までと同一であるから、これを引用する。
控訴人は、本件訴えにおいて、複写機構のみならず複写機関係の商品名も除いたものである前示訂正後の被控訴人製品が、本件考案の技術的範囲に属することを主張するものであるから、本件訴えは、ことごとく敗訴の判決を受けた原判決別表記載の各訴えと実質的に同一の訴えを蒸し返すものではないと主張するが、右主張を考慮しても、本件訴えは、要するに、「リコーPPC九〇〇及びB・Aチェンジャー」、「リコーPPC九〇〇及びセンタースリッター」並びに「リコピーPL五〇〇〇オート」の商品名で現実に製造販売された各製品について、それぞれの構成の一部を前示訂正後の原判決目録(一)ないし(三)のとおりと特定したうえで、それらが本件考案の技術的範囲に属すると主張し、損害賠償又は不当利得返還の請求をするものであると認められるから、本件訴えが、原判決別表記載の各事件と実質的に同一の訴訟であることには変わりがない。
二 よって、本件訴えを却下した原判決は正当であり、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法二九七条、一四〇条に則ってこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法六一条、六七条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)
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