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東京高等裁判所 平成11年(行コ)157号 判決 2000年2月29日

控訴人

セメダイン株式会社

右代表者代表取締役

本郷美宏

右訴訟代理人弁護士

清水謙

被控訴人

中央労働委員会

右代表者会長

花見忠

右指定代理人

菅野和夫

吉住文雄

西野幸雄

山下陽

被控訴人補助参加人

CSUフォーラム

右代表者議長

小林邦夫

右訴訟代理人弁護士

徳住堅治

山内一浩

君和田伸仁

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用(参加費用を含む。)は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が,中労委平成8年不再第25号事件について,平成10年3月4日付けでした命令を取り消す。

3  訴訟費用は,参加費用を含め第一,二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人及び補助参加人

控訴棄却

第二事案の概要

事案の概要は,次のとおり付加,訂正するほかは,原判決「事実及び理由」第二に記載のとおりであるから,これを引用する。

1  原判決5頁9行目の「いう」を「規定する」に改め,同末行の「立証してもいない」の次に「「(後記(二)(2)参照)」を,同6頁2行目の末尾に「なお,同条1項は,使用者側の法的利益をも保護している規定であり,使用者は資格審査の瑕疵を理由に当該命令の取消を求めることができると解すべきである。」を各加える。

2  原判決7頁8行目の「補助参加人」の前に「後記のように平成11年3月31日に控訴人を定年退職した」を加え,同10行目の「関与しているから」を「関与していたから」に改める。

3  原判決11頁4行目の「基本要求」の前に「不当労働行為の回避に努める等の」を,同7行目の「基本要求」の前に「前記」を,同12頁2行目の「労働組合法」の次に「5条1項」を各加え,同4行目の「便宜」から同行目の「ないし」までを「利益保護のためではなく」に改める。

4  当審における付加主張

(控訴人)

補助参加人は,従前から5名の組合員の氏名しか公表しておらず,その中,控訴人の在籍者は議長の小林と,副議長の山村であったところ,山村は平成11年3月31日付けで定年により控訴人を退職した。補助参加人は,企業内組合ということであるから,「労働組合」として有効に存在するためには,最低でも2名の公表された控訴人の在籍組合員が存在することが必須の要件であるところ,現在,補助参加人の公表された右在籍組合員は小林1名のみであり,平成11年4月以降,補助参加人は,労働組合法上の「労働組合」ではなくなり,「救済の利益」(訴えの利益)が消滅したものである。したがって,補助参加人の本件救済申立は却下されるべきであり,原判決は取り消されるべきである。

(被控訴人及び補助参加人)

山村が,控訴人主張の日時に定年退職したことは認める。

不当労働行為救済命令取消訴訟は当該処分の当否を判断することが目的であるから,違法判断の基準時はその処分時すなわち当該命令の交付時と解するのが相当であり,控訴人の主張は失当である。

補助参加人の平成10年6月4日に改正された組合規約の2条は,「この組合はセメダイン株式会社の管理職,管理職資格者およびその退職者で組織する。ただし,使用者の利益を代表する者は含めないものとする。」と規定しているところ,補助参加人には十数名の組合員が所属しており,その役員構成は,議長小林,副議長山村,事務局長橋本,相談役風間であるが,議長,副議長,事務局長の役員構成については,控訴人にも通知済みである。したがって,補助参加人は団体性を有しており,控訴人の右主張は理由がない。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり付加,訂正するほかは,原判決「事実及び理由」第三に記載のとおりであるから。(ママ)これを引用する。

1  原判決13頁4行目の「労働組合法5条」の次に「1項」を加え,同6行目の「促進」を「促進助長し,組合の自主性,民主性を確保」に改め,同7行目の「5条」の次に「1項」を加える。

2  原判決15頁9行目の「管理職の定年退職者」を「管理職定年者」に,同16頁5行目の「同時期ころ」を「この際」に各改める。

3  原判決17頁2行目の「称し」の次に「(後記のとおり,後日,名称を「CSUフォーラム」と変更した。)」を加え,同9行目の「8条」を「7条」に,同20頁4行目の「右の」を「前記」に各改める。

4  原判決21頁2行目の「組合」から同3行目の「通告書」までを「CSU経営改革フォーラム《規約案》(<証拠略>)及び「労働組合結成通告」と題する書面(<証拠略>)」に改め,同行目の「規約」の次に「(案)」を加え,同4行目の「結成通告書」を「結成通告と題する書面」に改める。

5  原判決22頁3行目の「文書」の次に「(<証拠略>)」を,同5行目の「文書」の次に「(<証拠略>)」を,同23頁2行目の「定期昇給」の前に「本人給の」を,同24頁4行目の「その後も」の次に「右目的の趣旨に沿った」を各加える。

6  原判決25頁2行目の「これ」から同3行目の「用いていること」までを「「労働者の代表者」という文言を用いて,労働者の団結の形態を問わない旨明らかにしていること」に改め,同26頁7行目の「労働組合であっても,」の次に「使用者と対等関係に立ち,自主的に結成され統一的な団体であれば,」を加える。

7  原判決27頁末行の「もっとも,」の次に「労働組合に利益代表者が参加することにより,」を,同29頁初行の「内容は,」の次に「具体性を欠き」を各加える。

8  原判決29頁6行目の「<証拠略>」の次に「<証拠略>」を,同37頁10行目の「山村は,」の次に「平成11年3月31日付けで定年退職(当事者間に争いがない。)するまで」を各加え,同38頁初行の「行っている」を「行っていた」に改める。

9  原判決38頁2行目の「以上の認定事実によれば」を「ところで」に,同4行目の「として」を「といえるためには,人事に関して直接の権限を有していることが必要であるところ,以上の認定事実によれば,控訴人において」に,同40頁初行の「他の」から同2行目の「次長)」までを「次長」に各改め,同4行目の「利益代表者」の前に「同号所定の」を加え,同行目の「示す」を「うかがわせる」に改める。

10  原判決40頁末行の「認められるところ,」の次に「控訴人は,団体交渉の相手方である補助参加人の組合員に控訴人の従業者がいることを了知していることは前記認定のとおりであり,また,」を加える。

11  控訴人の当審における付加主張について

控訴人は,控訴人に対し公表されている控訴人在籍者の補助参加人の組合員2名の中の山村が平成11年3月31日付けで控訴人を定年退職したため,企業内組合である補助参加人は労働組合法上の「労働組合」としては存続しなくなり,「救済の利益」(訴えの利益)が消滅し,本件救済申立は却下されるべきであった趣旨の主張をするので判断する。山村が控訴人主張の日時に定年退職したことは当事者間に争いがないが,補助参加人は,控訴人の管理職,管理職資格者及びその退職者で組織され,現在十数名の組合員が所属しており,その役員構成は,議長小林,副議長山村,事務局長橋本,相談役風間であるが,右役員の氏名は控訴人に明らかにされており(<証拠略>,弁論の全趣旨),公表されている控訴人在籍組合員が小林1名になったとしても,補助参加人が労働組合として団体性を有し存続していることは明らかであり,訴えの利益が消滅した旨の控訴人の主張は,その前提において失当であり,採用できない。その他本件命令を求める「救済の利益」が失われたことを認めるに足りる証拠はない。

二  以上の次第であるから,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法67条1項,61条を適用して,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 筧康生 裁判官 滿田忠彦 裁判官 鶴岡稔彦)

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