東京高等裁判所 平成11年(行コ)44号 判決 1999年7月28日
控訴人(原告)
坂口安治
右訴訟代理人弁護士
金井清吉
同
菅沼友子
被控訴人(被告)
川口税務署長 森晟
被控訴人(被告)
国
右代表者法務大臣
陣内孝雄
右被控訴人ら指定代理人
戸谷博子
同
井上良太
同
筒井清治
同
浦野勉
主文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人国は、控訴人に対し、一〇〇〇万円及びこれに対する平成八年七月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人川口税務署長が控訴人に対してした原判決添付別紙処分目録一及び二記載の各処分を取り消す。
4 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二事案の概要
本件事案の概要は、原判決一〇頁七行目の「知らない状況にあったが、」を「知らなかったが、夜間、二時間以上にわたり、依頼した税理士を意図的に排除された状況において、」と、同八行目の「総て」を「すべて」と、同一四頁三行目の「きたす」を「来す」とそれぞれ訂正し、同一六頁一行目の「七年間」の前に「季節による売上げの変動や」を加え、同二一頁四行目の「職員」を「被控訴人所部係官」と訂正するほか、原判決事実及び理由の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
第三当裁判所の判断
一 当裁判所も、本件全資料を検討した結果、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、以下のとおり加除訂正するほか、原判決事実及び理由の「第三 争点に対する判断」説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決三八頁一一行目の「齋藤」を「齊藤」と、同三九頁一一行目の「逃げ回った」を「逃げ回り」とそれぞれ訂正し、同四〇頁三行目の「原告は、」を削除し、同四九頁七行目の「齊藤係官」から同一一行目の「を訪れた。」までを「齊藤係官は、控訴人に対し、今日予定されていた控訴人宅の臨場調査を取り止める旨を電話で連絡したが、その際、取引先への照会の実施を示唆し、年内に本件調査を終了することは困難であるとの見通しを示した。控訴人は、齊藤係官に対し、年内に本件調査を終わらせるよう希望したところ、齊藤係官から、一両日中に控訴人宅を訪ねるのは困難であるが、控訴人が望むならこれから控訴人宅に行ってもよいと言われ、『それじゃあ来てもらおうか。』と申し述べた。そこで、齊藤係官と藤澤係官は、同日午後七時二〇分ころ、控訴人宅を訪れたが、控訴人は、夜間の臨場調査であることについて特に異議を述べず、福田税理士に電話をかけて相談することもなく、本件調査に応じる姿勢を示した。」と訂正し、同五〇頁一行目の「そこで、」から同四行目の「次いで、」までを削除する。
2 原判決五五頁五行目の「齋藤」を「齊藤」と、同六行目の「被告所部係官の来訪をしてし欲しいとの連絡を受け」を「被控訴人所部係官に直ちに来訪して欲しいと言われ」と、同五七頁四行目の「また、」から同六行目の「理由がない。」までを「なお、控訴人は、被控訴人所部係官が、夜間、二時間以上にわたり、依頼した税理士の立会いを意図的に排除した状況において、控訴人に対して修正申告をするようしょうようするのは強要にほかならないと主張する。しかし、被控訴人所部係官が控訴人宅を訪れたのは午後七時二〇分ころであり、それほど遅い時間帯ではなく、控訴人がその説得に応じる旨を述べたのは午後八時四〇分ころであり、説得を受けた時間はおおむね一時間二〇分程度であった。また、控訴人は、福田税理士に電話をかけて連絡を取り、本件調査への対応について指示を受け、同税理士の立会いのない本件調査を拒絶することも可能であったが、そのような対応をしていないことは前記認定事実のとおりである。右の事実に照らしても、被控訴人所部係官が控訴人に対し本件各修正申告を強要したと認めることはできず、他に控訴人が強要されたことを認めるに足る証拠もない。」とそれぞれ訂正する。
3 原判決五八頁一〇行目の「先立つ」の次の「、」を削除し、同六〇頁一行目の「認められ、加えて、」を「いうべきである。特に、控訴人は、」と、同四行目から五行目の「に関する説明を承諾したうえで、」を「は、把握していた自己の所得の実額の範囲内であると判断し、やむを得ないものと受け止め、」とそれぞれ訂正する。
4 原判決六一頁二行目の「平成四年分の」の次に「所得税の確定申告書の」を加える。
5 原判決六二頁一一行目の「焼却した」から「認められ、」までを「焼却したなどと述べて提出しなかったこと等が認められる。」と訂正する。
二 よって、同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからいずれも棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六七条一項、六一条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成一一年六月二一日)
(裁判長裁判官 塩崎勤 裁判官 小林正 裁判官 萩原秀紀)