東京高等裁判所 平成12年(う)1105号 判決
被告人 Y
〔抄 録〕
論旨は、要するに、原審甲二号証の「測定記録写真」の写真中、「速度km/h93」と印字された部分には証拠能力がないのに、同部分を含めて右写真を証拠として採用した原審の訴訟手続には、判決に影響を及ぼすべき違法がある、というのである。
そこで検討すると、原審が、検察官から甲二号証として請求のあった「測定記録写真・速度違反認知カード」について、「測定記録写真」と題する書面中の写真部分(以下「本件写真」という)を含め、甲二号証全部を証拠として採用したこと、本件写真の画像は、自動車を前方からその運転者(被告人)とともに撮影したものであり、その右側上部に、所論指摘の事項のほか、番号、日付、時刻等の事項が印字されていることが、記録上明らかである。原審証人A、同Bの各証言等によれば、警察官が本件捜査に使用した自動速度取締機(オービスIII)は、道路に設置した二本のセンサーの間を車両が通過するのに要した時間からその車両の速度計算を行い、予め設定した速度(制限速度以上の一定の数値)を超過した車両について写真撮影をし、フィルム番号、日時、場所、制限速度、計測速度がそのフィルム上に同時に記録されるというものであること、右自動速度取締機により被告人の本件犯行を捕捉して撮影、記録した結果が本件写真の画像及び印字部分であり、所論指摘の「速度km/h93」は被告人運転車両の計測速度を指すものであることが認められる。そうすると、本件写真の画像はもとより、右「速度km/h93」等の印字部分も、専ら機械的に記録、表出され、人の供述が介在する余地のない非供述証拠であると認められるから、原審が右印字部分を含め本件写真を証拠として採用したことは何ら違法でない。(なお、甲二号証のその余の部分は、伝聞証拠であって、弁護人が不同意の意見を述べていたのであるから、原審がこれを刑訴法三二一条以下の伝聞例外の規定によらずに採用したことは違法であるといわざるを得ないが、右部分を除いた原審取調べの各証拠により、本件犯罪事実を認めるに十分であるから、右の違法は判決に影響を及ぼすものとはいえない。)
(金山薫 飯田喜信 芦澤政治)