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東京高等裁判所 平成12年(ネ)4475号 判決 2000年12月26日

控訴人(原告)

株式会社アールシーコア

代表者代表取締役

訴訟代理人弁護士

安田有三

補佐人弁理士

竹内裕

被控訴人(被告)

有限会社日亜建設(旧商号有限会社ビッグフット)

代表者代表取締役

被控訴人(被告)

クリエイティブ株式会社

代表者代表取締役

主文

一  原判決中、差止め請求を棄却した部分を取り消す。

二  被控訴人らは、別紙被告標章目録記載(1)及び(2)の標章を使用して建築工事及び宅地造成工事をしてはならない。

三  訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一控訴人の求めた裁判

控訴人は、原判決中差止請求を棄却した部分の取消しと、主文第二項同旨の差止めを命ずる判決を求めた。

第二請求の原因

一  控訴人は、別紙商標権目録記載の商標権(以下、同目録(一)記載の商標権を「本件商標権(一)」、(二)記載の商標権を「本件商標権(二)」といい、これらを併せて「本件商標権」という。また、登録商標をそれぞれ「本件商標(一)」、「本件商標(二)」といい、これらを併せて「本件商標」という。)を有している。

二  被控訴人らは、共同で別紙被告標章目録記載(1)及び(2)の標章(以下、同目録記載(1)の標章を「被告標章(1)」、同目録記載(2)の標章を「被告標章(2)」といい、これらを併せて「被告標章」という。)を使用して、広島市の近傍において別荘地を開発する宅地造成工事を行い、別荘地を分譲するとともに、ログハウスを建築して販売した。

三  被告標章(2)の中で出所識別力を有する要部は「ビッグフット」であるから、被告標章は、いずれも本件商標と同一又は類似している。

四  被控訴人らが行ったログハウスの建築工事は、本件商標の指定役務である建築一式工事に該当し、宅地造成工事も、建築一式工事に類似する役務である。

五  したがって、被控訴人らが前記建築工事及び宅地造成工事に際して被告標章を使用した行為は、いずれも本件商標権を侵害する行為又は侵害するものとみなされる。

六  よって、控訴人は被控訴人らに対し、本件商標権に基づき、被告標章を使用して建築工事及び宅地造成工事をすることの差止めを求める。

第三当裁判所の判断

一  証拠(甲第一、第二号証の各一、二)によると、控訴人が本件商標権を有することが認められる。

二  証拠(甲第八号証の一、二)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人らは平成一一年五月ころ、【広島県佐伯郡<以下略>】ほかにおいて、木を伐採し、道路に簡易舗装をして別荘地を整備したこと、被控訴人らは同年九月ころ、右別荘地の分譲に関する広告に、「自然と共に暮らす住まい。ログハウスで実現する快適リゾートライフ。」などの宣伝文言の下にログハウスを写真で紹介しながら、被告標章(2)を付して、その広告を頒布したことが認められる。

三  右事実によれば、被控訴人らは被告標章(2)及びその部分を構成し被告標章(2)の要部と認められる「ビッグフット」の片仮名から成る被告標章(1)を、本件商標の指定役務である建築一式工事に該当し又は類似する役務である建築工事及び宅地造成工事において使用するおそれがあるものと認めることができる。そして、請求の原因三で控訴人が主張するように、被告標章はいずれも本件商標と少なくとも類似するものであるから、控訴人の請求は理由がある。

第四結論

よって、本件控訴は理由があり、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 橋本英史)

<以下省略>

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