東京高等裁判所 平成12年(ラ)1580号 決定
主文
本件抗告を却下する。
原審判主文第2項に「後見人」とあるのを「成年後見人」と訂正する。
理由
第1本件抗告の趣旨及び理由
別紙1及び2記載のとおり。
第2当裁判所の判断
1 原審判は、事件本人が民法7条に定める「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況に在る」ものと認めて後見を開始したうえ、弁護士渥見雅子を成年後見人に選任したものであるところ、上記抗告の理由によると、抗告人は、上記後見開始について不服はなく、ただ、後見人の事務のうち事件本人の介護に関する部分について、抗告人においてこれを行うのが相当であるとして、原審判中の上記成年後見人選任にかかる部分のみを取り消したうえ、本件を千葉家庭裁判所に差し戻すとの裁判を求めるというものである。
しかし、本件成年後見人の選任は後見開始に付随してされた審判というべきものであり、成年後見人選任に関する審判に対して不服申立てを認める旨の規定がないこと(家事審判法規則27条2項は、後見開始の審判を申し立てた者について、同申立てを却下する審判に対して抗告することができる旨を規定するにとどまる。)からすれば、成年後見人選任の審判に対しては独立して不服申立てをすることができないと解される。なお、本件抗告の理由によれば、抗告人は、成年後見人を2名とし、前記弁護士を財産管理担当に、抗告人を介護担当に選任することを求めているが、これについては、成年後見制度の新設に伴う改正後の民法によって、家庭裁判所に対し成年後見人の追加的選任に関する申立てをすることが可能となった(民法843条3項)のであるから、その審判手続において、複数の成年後見人選任の要否並びに選任する場合における相互の事務ないし権限の各内容、範囲及び相互の関係等を具体的に審理したうえで判断されるべき事項であり(民法859条の2第1項参照)、これらの点について抗告の対象とすることは許されない。
したがって、いずれにしても、本件について抗告人には抗告権がないものと解すべきである。
2 以上によれば、抗告人の本件抗告は不適法であるから却下することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 奥山興悦 裁判官 山崎まさよ 裁判官 沼田寛)