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東京高等裁判所 平成14年(行コ)265号 判決 2003年5月28日

主文

一  原判決中控訴人の敗訴部分を取り消す。

二  被控訴人の請求を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

主文と同旨

第二事案の概要

本件事案の概要は、原判決を次のとおり改めるほか、原判決「事実及び理由」欄中の「第2 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決3頁18行目の次に、行を改め以下のとおり加える。

「(4) 更に、本件条例第10条は、行政文書の一部開示について、次のとおり定めている。

(第1項)

実施機関は、開示請求に係る行政文書の一部に非開示情報が記録されている場合において、非開示情報に係る部分を容易に区分して除くことができ、かつ、区分して除くことにより当該開示請求の趣旨が損なわれることがないと認められるときは、当該非開示情報に係る部分以外の部分を開示しなければならない。

(第2項)

開示請求に係る行政文書に前条第2号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。

(5) 他方、本件条例第11条においては、公益上の理由による裁量的開示について、次のとおり定めている。

実施機関は、開示請求に係る行政文書に非開示情報(第9条第1号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。」

二  同3頁19行目の「(4)」を「(6)」に改める。

三  同5頁20行目から同6頁16行目までを次のとおり改める。

「(控訴人の主張)

(1) 本件小論文の本件条例第9条第2号本文前段該当性及び第10条の適用について

本件小論文には、そのすべてに著作者の住所、氏名、電話番号が記載されており、この記載部分は、本件条例第9条第2号本文前段の「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの」に該当する。

他方、本件条例第10条第2項においては、第9条第2号の情報が記録されている場合であっても、特定の個人を識別することができる記述等の部分を除くことにより、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分を開示すべきことが定められている。

そこで、本件小論文から、著作者の住所、氏名、電話番号の記載を除いた部分について、上記の点を検討するならば、以下のとおりである。

ア 武蔵野市に公募委員として採用された本件小論文の評価点数上位の2名については、既にその氏名が公表されている。そのため、本件小論文について既に開示された審査番号、点数及び順位により上記2名が作成した2論文が特定され、更に各論文に書かれた内容や他から知り得た情報を合わせることによって、各論文作成者を特定することが可能である。また、上記2論文の一つには、後記イのとおりの原判決添付別紙2(2)の記述がある。そのため、上記2論文については、それぞれの作成者を特定することがより可能な状況にある。

更に、公募委員として採用された2名は、同人らの論文が公開されることについて反対する旨の明示の意思表示をしている。

したがって、上記2名の作成した論文については、特定の個人を識別することができるもの及び著作権法第18条第3項第2号の適用を除外すべき事由が存在するものとして、非開示とされるべきである。

イ 本件小論文には、原判決添付別紙2のとおり、応募者の地域活動の経歴又は武蔵野市との関わり等が記述された部分があり、これらの記述部分から特定の個人を識別することができるから、これらの部分は、本件条例第9条第2号本文前段の「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの」に該当する。

そのうち、原判決において開示すべきものとされた同別紙2(2)については、「某学会」について知っている者がいる場合や、「某学会」を調査して得られる情報と他の情報とを合わせることによって、応募者が特定される可能性がある。

同別紙2(3)についても、公文書の開示請求を行った内容や日数により、その個人を特定できる可能性があるほか、同(3)部分を含む論文中には、自ら行った情報開示請求に関し、自らの行動や活動について積極的に述べている部分があり、その面からも応募者個人が識別される可能性がある。

したがって、原判決添付別紙2(1)及び(4)部分のほか、上記(2)及び

(3)部分についても非開示とされるべきである。

ウ 本件小論文のうち、原判決添付別紙2(1)部分を含む論文については、作成者が、市内におけるある公知の団体の会長に就任することにより、多くの人と接点を持ち、多くの情報を耳にした経験をその論旨構成の一内容としている。したがって、上記部分を削除して論文を公開することは、論旨を不明確にするおそれがある上、作成者本人の意に反することが明らかであるから、著作物の同一性保持に関する著作者の人格的利益を害する。

そして、上記の削除を、原判決のように「やむを得ないと認められる改変」(著作権法第20条第2項第4号)に当たるものとすることは、「やむを得ないと認められる改変」を必要最小限度のものに限定すべきであると解されることからみて、妥当でない(なお、原判決が、被控訴人から何ら主張、立証のなかった上記の「やむを得ないと認められる改変」の事実を認めたことは、弁論主義に反するものである。)。

また、本件小論文のうち、原判決添付別紙2(4)部分を含む論文についても、作成者が市議会に陳情した案件の内容が論文の論旨の一部を構成しているため、この記述部分を削除することは、論文の同一性に影響するばかりか、作成者本人の意にも反することは明白であり、著作者の著作物同一性保持権を害するものであって、「やむを得ないと認められる改変」に当たるということはできない。

したがって、本件小論文については、上記(1)及び(4)部分を除いてこれを公にした場合個人の権利利益が侵害されるから、上記部分を除いたその他の部分の開示も許されない。

また、これと同様に、上記(2)及び(3)部分も、いずれも著作者の主張の重要な根拠及び公募委員への応募の動機を示すものであって、これを除いて開示すると、論旨は不明確となり、かつ、著作者の意に反することは明らかであるから、著作者の同一性保持権を侵害し、著作権法第20条第2項第4号の「やむを得ないと認められる改変」に当たるということはできないから、上記部分を除いたその他の部分の開示も許されない。

よって、本件小論文については、上記(1)ないし(4)を含む全体を非開示とすべきである。

エ 著作権法第18条第3項第2号は、地方公共団体に対し提供した未公表の著作物について、地方公共団体の機関がそれを情報公開条例の規定により公衆に提供又は提示する場合には、著作者はそれに同意したものとみなされる旨を定める。

(ア) しかしながら、本件小論文については、控訴人は既に非開示とすることを決定しているため、開示を前提とする上記条項が適用される余地はない。

(イ) 仮に本件について上記条項の適用があるとしても、同条項において著作者が著作物の公開に同意したものとみなされるのは、著作者から別段の意思表示がなされなかった場合に限られ、著作物の開示については、最終的に著作者本人の意思に反してできないものとされている。したがって、著作者の意思が明示されていない場合であっても、その意思を確認したならば明らかに公開に同意しないであろうと認められる状況にあるときは、著作物を公にすることにより著作者の権利利益が害されるおそれがあるものとして、著作物を非開示とすることが許されるというべきである。

本件小論文は、公募委員の採否を決する唯一の資料であり、いわば公募委員選考の試験論文である。武蔵野市においては、以前から各種委員の公募をしばしば行っているが、その際、選考資料として提出された論文は、人事、試験に関わるものであり非開示情報に当たるものとして、かつて一度も公開したことはない。

本件公募をするに当たっても、提出された論文を公開することは、予め応募者に告知していないので、応募者としては従前どおり公開されることがないとの認識の下に応募しているはずである。そのため、本件小論文が公開されることは応募者の予期しないところであり、その意に反することは明らかである。まして、本件小論文についての評点、順位表が公開された上、更に作成者の論文を公開することは、著作権法上の公表に関する人格的利益ばかりでなく、応募者本人の名誉にも関わることであり、本人の思想、信条が批判されることにもなるから、応募者の同意を得ることは困難であると認められる。

したがって、本件小論文については非開示とされるべきである。

(ウ) なお、仮に本件小論文を開示する場合には、それについて改めて応募者の同意の有無を確認する必要があり、不同意者がいる場合には非開示とすべきことになる。

オ 本件小論文のうち4名分は自書によるものである。したがって、それらについては、筆跡から特定個人を識別することができるから、非開示とされるべきである。原判決は、筆跡に基づいて特定個人を識別することは実質的に不可能であると判示するが、応募者の筆跡の特徴を知る者も当然いるはずであるから、開示により個人として特定される可能性は大きい。

カ 本件条例第10条第2項の「個人の権利利益が害されるおそれ」については、被控訴人側に「おそれ」がないことの立証責任があるものと解すべきである。

キ 被控訴人は、公募委員として応募し採用されなかった者のうち2名は論文の開示に同意の意思を示していると主張するが、被控訴人は全論文の公開を求めていることから、上記2名の論文のみを開示しても無意味である。また、前記アのとおり、公募委員に採用され開示に反対の意思を示している2名の論文を除き、採用されなかった応募者の論文だけを開示しても、本件開示請求の趣旨に沿うものではないと考えられる。

したがって、この点からも、本件小論文については全部非開示とする以外にない。」

四  同6頁20行目の「具体的評価」を「計数による具体的評価」に、同21行目の「応募者又はその関係者等から」を「その評価がいかに公正なものであっても、応募者又はその関係者等から」に、それぞれ改める。

五  同7頁6行目の「本件小論文が本件条例9条2号に該当しないこと」を「本件小論文の本件条例第9条第2号本文前段該当性及び第10条の適用について」に改め、同12行目の次に行を改め、以下のとおり加える。「なお、原判決において開示すべきものとされた原判決添付別紙2(2)及び(3)の部分から、控訴人が主張するように、論文の作成者が識別される可能性はない。特に、同(3)については、その開示請求を受けた控訴人が、請求がなされた事実を他に漏洩するのでなければ、請求内容、日数等が明らかになる余地はないはずである。

また、公募委員として採用された2名について、既にその氏名が公表されているとしても、本件小論文の開示によりその2名の論文が識別されることにはならない。

更に、公募委員として採用された2名が論文の公開に反対しているとしても、そのことから論文の公開ができないことになるものではない。特定個人の識別ができない以上、プライバシー保護の問題は生じないはずであるから、上記2名に保護に値する公表権は存在しない。

このように、公表権といっても何ら内容を伴わない形式的な権利と、公募委員の選考についての行政の透明性・公平性という住民の重要な権利とを比較した場合、どちらを保護すべきかは明らかであり、上記の反対の意思表示があったとしても、本件小論文を公開できないということにはならない。」

六  同8頁15行目の次に行を改め、以下のとおり加える。

「控訴人は、本件小論文について、既に非開示とすることを決定しているため、

開示を前提とする著作権法第18条第3項第2号が適用される余地はない、仮に同条項が適用されるとしても、応募者の個別の意思を確認しなければ開示することができない旨を主張する。

しかしながら、開示に当たっては、その実施機関である控訴人が「公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがない」として開示すれば足りるのであり、本件条例の適用上、予め応募者の意思を確認する必要はない。

また、控訴人は、著作者の意思が明示されていない場合であっても、その意思に反する状況が認められるときは、著作物を非開示とすることは許される旨を主張する。

しかしながら、著作権法第18条第3項第2号は、著作者が、地方公共団体の機関により開示決定がなされるまでの間に「同意しないとの意思表示」をしなければ、著作者人格権としての公表権が問題にされることはないというだけの規定である。

「同意しないとの意思表示」がなされても、それだけで開示が許されなくなる訳ではなく、その開示により得られる公共的利益と公表権とを比較し、どちらにより高い保護を与えるべきかが更に検討されなければならない。

更に、控訴人は、本件小論文の公開が応募者の意に反するものであると主張するが、応募者のうち2名は公開に賛成しており、このことからも控訴人の上記主張は根拠を欠くものである。応募者としては、自己に対しどのような評価がなされて採用又は不採用になったのかをきちんと把握したいと考えるのが当然であり、そのためには客観的評価を知るために全論文の内容の公開を望むのが自然である。

オ 本件条例第10条第2項における「個人の権利利益が害されるおそれ」についての立証責任に関する控訴人の主張は争う。上記については、公平上、控訴人側において、「個人識別部分を除いても個人の権利利益を害するおそれがある」との特別の事情を立証すべきである。」

七  同8頁16行目の「本件小論文が本件条例9条6号に該当しないこと」を「本件小論文の本件条例第9条第6号該当性について」に改める。

八  同9頁19行目を「本件小論文が本件条例第9条第2号本文前段に規定する非開示情報に該当するか否か及び同第10条の適用の可否」に改める。

第三当裁判所の判断

一  争点1(本件条例第9条第2号本文前段の該当性及び第10条の適用の可否)について

1  本件小論文の審査及び本件順位表の作成、開示の事実関係については、原判決12頁16行目の「前記」から同13頁18行目までに記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、原判決12頁16行目の「7」を「8」に改める。)。

2  ところで、甲3、8によると、本件小論文(応募者12名分)には、そのいずれにも応募者の住所、氏名、生年月日、電話番号が明記されていることが認められるから、同論文は、少なくともその点において、本件条例第9条第2号本文前段の「個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの」が記録された文書に該当するというべきである。

したがって、本件小論文の開示については、同条例第10条第2項及び同条第1項による一部開示の可否を判断すべきことになる。

3  そこで、以下には、本件小論文について上記の点を検討することとする。

(一)(1) まず、応募者12名における本件小論文の開示についての意見であるが、甲14の1・2、乙2の1・2及び弁論の全趣旨によると、現在までのところ、本件応募者のうち情報公開委員会の委員に選任された2名からは、控訴人に対し上記開示に反対する旨の意思表示がなされていること、別の2名からは、被控訴人を通じて、開示に同意する旨の意思が表示されていること、その余の8名については、その意見は不明であることが認められる。

(2) そこで、開示について同意を表明した上記2名を除く10名について、各論文の開示の是非を検討するに、

ア 応募者の応募論文は、前記引用に係る原判決認定のとおり、いずれも「市の情報公開に望むこと」の表題の下に記載されたものであり、その内容は、応募者の社会的な関心に基づく意見、信条、理念等を記述したものであることが容易に窺われる。そして、それらの意見等は、各人の人格、思想、社会観等と密接に結び付いたものであることが明らかであるから、それらの意見等を対社会に開示すべきか否か、また、それを社会のどの範囲に開示すべきかについては、元来各応募者が自ら決すべき利益(一種の人格権に由来する利益)を有していると認めるのが相当であり、そのことは、開示の対象となるべき論文から作成者が識別され得る部分を除外したとしても同様というべきである。

他方、乙1及び弁論の全趣旨によると、武蔵野市においては、従来から各種委員を公募しているが、その際、応募者に対し、その選考資料として論文の提出を求めたことも相当数に上ること、しかしながら、同市において、提出された論文を後に公開した例は存しないこともまた認められる。そうすると、本件小論文の公開について、反対の意思を表明し又は特に同意の有無を表明していない上記10名の応募者としても、同市に論文を提出するに当たり、それが後に公開されることは予想していなかったものと推測される。

イ 以上のとおり、応募者においては、本件小論文の開示の可否について自ら決定すべき利益を有するものであり、また、提出した論文が開示されることは予測し得ないことであったことからみるならば、本件小論文については、これを情報公開制度により「公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがない」(本件条例第10条第2項)ものと認めることはできないというべきである。

(二) また、上記(一)(1)のとおり、本件応募者のうち情報公開委員会の委員に選任された2名については、自己の論文が開示されることに反対する旨の意思表示をしていることから、同人らの論文を開示することは、上記(一)のほか、著作権法による公表権を害することにもなるものと解される。

(1) すなわち、本件小論文は、前記引用に係る原判決認定のとおり、各応募者が「市の情報公開に望むこと」の表題の下に、情報公開制度及びその運用等についての意見、理念等を800字以内にまとめたものであるから、思想等を創作的に表現したものとして、著作権法上の著作物に当たることは明らかである。

そして、本件小論文は未だ公表されていないものであるから、各応募者は、本件小論文について著作者人格権としての公表権を有するが、著作者が未公表の著作物を地方公共団体に提供した場合には、情報公開条例の規定により開示されることについて、同意したものとみなされることになる(著作権法第18条第3項第2号)。

しかしながら、その場合においても、開示の決定がなされるまでに著作者が別段の意思表示をしたときは、同意に関する上記規定の適用が排除されると定められている(同号)ところ、上記のとおり、2名については、自己の論文が開示されることに反対の意思表示をしているものである。

(2) そうすると、上記2名の論文を開示することは、作成者が識別されない形態を取ったとしても、作成者本人の同意がない以上、その公表権を害することになるから、本件条例により開示が認められるための「公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがない」(本件条例第10条第2項)との要件を欠くものといわざるを得ない。

(3) なお、被控訴人は、上記2名の論文の開示によりプライバシー保護の問題が生じないはずであるから、保護に値する公表権は存在しない旨主張するが、公表権とプライバシー保護とは必ずしも関連するものではなく、公表権は、著作者人格権として、プライバシー権とは別に保護されるべきものであるから、上記主張は失当である。

(三) そして、前記引用に係る原判決認定のとおり、本件における公募委員の選考は、相当程度客観性を有する方法によりなされたものであることが認められ、本件順位表等の選考資料も一部開示されていることが認められることをも考慮するならば、被控訴人の主張に係る「行政の透明性・公平性」を確保するための必要性と、上記(一)(二)の10名の応募者についての権利利益とを比較衡量しても、上記10名の応募者の論文を開示することについては、本件条例第11条に規定する「公益上特に必要がある」と認めることはできない。

(四) 上記によれば、本件小論文のうち、開示について同意を表明している2名分を除く10名分については、その余の点を判断するまでもなく、本件条例における開示のための要件を欠き、開示を認めることはできないといわざるを得ない。

そして、上記10名の論文中に、公募委員に採用された2名の論文も含まれている以上、仮に前記のとおり開示について同意を表明している2名分に関しては本件条例上開示が可能であるとしても、本件開示がその範囲に止まるものであれば、本件開示請求の趣旨に合致するものでないことは明らかである。

そうすると、開示請求に係る本件小論文については、本件条例第10条第1号の「区分して除くことにより当該開示請求の趣旨が損なわれる」場合に準じるものとして、すべて非開示とされることもやむを得ないというべきである。

二  以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、本件小論文を非開示とした本件決定は適法であり、被控訴人の本件請求は理由がないといわざるを得ない。

第四  よって、これと趣旨を異にする原判決は不当であって、本件控訴は理由があるから、これと異なる原判決中控訴人敗訴部分を取り消し、被控訴人の本訴請求を棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第67条第2項、第61条を適用して、主文のとおり判決する。

東京高等裁判所第五民事部

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