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東京高等裁判所 平成14年(行コ)9号 判決 2003年10月01日

控訴人 甲野太郎 ほか49名(仮名)

被控訴人 国 ほか163名

代理人 町田鉄男 清水政明 千葉俊之 加藤三男 志村陽子 ほか

主文

1  被控訴人日本文教出版株式会社及び別紙2被控訴人目録<略>中の被控訴人番号147ないし164の被控訴人らに対する本件控訴をいずれも却下する。

2  控訴人X2、同X3及び同X4の被控訴人東京書籍株式会社に対する控訴をいずれも却下する。

3  その余の本件控訴をいずれも棄却する。

4  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1略称

以下、別紙1控訴人目録<略>中の控訴人番号1、4、7、10、13、16、19、22、24、27、30、33、36、39、42、45及び48を「控訴人生徒」、同控訴人番号2、3、5、6、8、9、11、12、14、15、17、18、20、21、23、25、26、28、29、31、32、34、35、37、38、40、41、43、44、46、47、49及び50を「控訴人保護者」、別紙2被控訴人目録<略>中の被控訴人番号2ないし19を「被控訴人自治体」、同被控訴人番号20ないし26を「被控訴人発行者」、同被控訴人番号27ないし164を「被控訴人著作者」という。

第2当事者の求めた裁判

1  控訴人ら

(1)  原判決中控訴人らの損害賠償請求を棄却した部分を取り消す。

(2)ア  歴史的分野の教科用図書について

被控訴人国は控訴人らに対し、被控訴人自治体は別紙3控訴人被控訴人対応表<略>の設置者欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し(被控訴人自治体のうち被控訴人東京都は同東京都中野区及び同東京都葛飾区に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し)、被控訴人発行者は同対応表の歴史教科書欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し、被控訴人著作者は別紙4被控訴人分類表<略>の記載において分類される同発行者が上記のとおり同対応表で対応する控訴人生徒及び同保護者に対し、それぞれ5万円及びこれに対する原判決別紙7訴状送達日一覧表の各被控訴人に対する訴状送達日欄記載の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

イ  公民的分野の教科用図書について

被控訴人国は控訴人らに対し、被控訴人自治体は別紙3控訴人被控訴人対応表<略>の設置者欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し(被控訴人自治体のうち被控訴人東京都は同東京都中野区及び同東京都葛飾区に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し)、被控訴人発行者は同対応表の公民教科書欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し、それぞれ5万円及びこれに対する各被控訴人に対する上記訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

ウ  地理的分野の教科用図書について

被控訴人国は控訴人らに対し、被控訴人自治体は別紙3控訴人被控訴人対応表<略>の設置者欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し(被控訴人自治体のうち被控訴人東京都は同東京都中野区及び同東京都葛飾区に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し)、被控訴人発行者は同対応表の地理教科書欄の記載に対応する控訴人生徒及び同保護者に対し、それぞれ5万円及びこれに対する各被控訴人に対する上記訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  訴訟費用は第1、2審とも被控訴人らの負担とする。

2  被控訴人ら

(1)  本件控訴をいずれも棄却する。

(2)  控訴費用は控訴人らの負担とする。

第3事案の概要

1  本件は、公立中学校に就学していた控訴人生徒に給与された歴史的分野、公民的分野及び地理的分野の各教科用図書に違憲・違法な記述があり、これにより精神的な苦痛を受けたとして、控訴人生徒及びその親権者である控訴人保護者が、歴史的分野の教科用図書の著作者である被控訴人著作者、各教科用図書を発行した被控訴人発行者、各教科用図書の検定をした被控訴人国、各教科用図書を採択して控訴人生徒に給与し、又は中学校の設置者として控訴人生徒に本件各教科用図書に基づく履修をさせた被控訴人自治体に対し、主位的に債務不履行、予備的に不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)を請求する訴訟である(原審ではその余の請求があったが、控訴は上記請求に限定された。)。

原審が、上記請求をいずれも棄却したため、控訴人らが本件控訴に及んだものである。

2  本件の前提となる事実関係等の概要は次のとおりである(当事者間に争いがない。)。

(1)  法令等の概要

本件に関連する法令等の定めの概要は、原判決の「事実」の「第3 法令等の定め」欄に記載のとおりである。

(2)  当事者

ア 控訴人生徒は、平成9年度から、別紙3控訴人被控訴人対応表<略>中の控訴人生徒に対応する設置者欄記載の被控訴人自治体が設置した中学校に就学した生徒である。

控訴人保護者は、上記別紙3<略>のとおり控訴人生徒に対応する親権者であり、学校教育法(平成10年法律第101号による改正前のもの)39条1項の規定により控訴人生徒を中学校に就学させる義務を負っていた保護者である。

イ 文部大臣は、平成9年度から中学校で使用する教科用図書の検定を行う被控訴人国の機関であった。

ウ 被控訴人自治体(同東京都を除く。)は、控訴人生徒が平成9年度から就学した上記別紙3<略>の中学校欄記載の中学校の設置者である。

被控訴人自治体(同東京都中野区及び同東京都葛飾区を除く。)においては、その機関である教育委員会が、中学校の全教科について、検定を経た教科用図書のうちから、種目ごとに1種の教科用図書を採択した。控訴人X5が就学した中野富士見中学校は被控訴人東京都中野区が、控訴人X6が就学した亀有中学校は被控訴人東京都葛飾区が設置者であるが、これらの中学校で使用する教科用図書の採択は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(平成10年法律第54号による改正前のもの)59条1項の規定により、被控訴人東京都の機関である東京都教育委員会が行った。

エ 被控訴人発行者は、原判決別紙4検定教科書目録(ただし、目録番号一九、二〇及び二一の書名中の各「<改訂版>」を「<初訂版>」に改める。)記載のとおり、中学校で使用する歴史的分野、公民的分野及び地理的分野の各教科書(以下「本件各教科用図書」という。)を発行した会社である。

オ 被控訴人著作者は、本件各教科用図書のうち歴史的分野の教科用図書(以下「本件各歴史教科書」という。)の著作者である。すなわち、被控訴人番号27ないし66の被控訴人らは、被控訴人教育出版が発行した「中学社会歴史」の、被控訴人番号67ないし105の被控訴人らは、被控訴人東京書籍が発行した「新編 新しい社会 歴史」の、被控訴人番号106ないし119の被控訴人らは、被控訴人日本書籍が発行した「中学社会 歴史的分野」の、被控訴人番号120ないし131の被控訴人らは、被控訴人大阪書籍が発行した「中学社会<歴史的分野>」の、被控訴人番号132ないし146の被控訴人らは、被控訴人清水書院が発行した「日本の歴史と世界 中学校 歴史」の、被控訴人番号147ないし156の被控訴人らは、被控訴人日本文教出版が発行した「中学生の社会科 日本の歩みと世界〔歴史〕」の、被控訴人番号157ないし164の被控訴人らは、被控訴人帝国書院が発行した「社会科 中学生の歴史 日本の歩みと世界の動き<初訂版>」の著作者である。

(3)  本件各教科用図書の検定

ア 被控訴人発行者は、それぞれ上記(2)オのとおり対応する被控訴人著作者に対し、歴史的分野の検定申請用図書の著作及び編集を依頼し、被控訴人著作者は、各被控訴人発行者に対し、その作業を共同して行うことを承諾し、本件各歴史教科書を共同で執筆した。

イ 被控訴人発行者は、文部大臣に対し、上記(3)アで作成した検定申請用図書について、中学校の社会科の教科用図書とするため、検定の申請をした。

ウ 文部大臣は、平成8年2月29日、被控訴人発行者の申請に係る図書のすべて(本件各教科用図書)について、検定をした。上記検定申請用図書と本件各教科用図書は、その内容においてほぼ同一である。

エ 被控訴人国は、平成8年度中に、本件各教科用図書について、被控訴人発行者との間で購入契約を締結し、被控訴人発行者は、同契約に基づき、本件各教科用図書を所定の取次供給所等に納入した。

(4)  本件各教科用図書の採択等

ア 被控訴人自治体(同東京都中野区及び同東京都葛飾区を除く。)の教育委員会は、平成9年度から中学校に就学する学齢生徒が社会科の履修のために使用する教科書として、上記別紙3<略>の歴史教科書欄、公民教科書欄及び地理教科書欄記載のとおり控訴人生徒に対応する教科用図書を採択した。

イ 被控訴人国は、平成9年度以降に本件各教科用図書の使用を開始させるため、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下「無償措置法」という。)3条に基づき、平成8年度中に、被控訴人自治体(周東京都中野区及び同東京都葛飾区を除く。)に対し、その採択に係る教科用図書を無償で給付した。

ウ 被控訴人自治体(同東京都中野区及び同東京都葛飾区を除く。)は、無償措置法5条に基づき、被控訴人国から無償で給付された本件各教科用図書を控訴人生徒に給与し、平成9年度以降に控訴人生徒の通う中学校においてその使用を開始させた。

(5)  本件各教科用図書の記述

本件各教科用図書には、原判決別紙6記述部分一覧表記載のとおりの記述がある。

3(1)  原審における当事者の主張は、次のとおり訂正又は付加するほかは、原判決の「事実」の「第6 本案に関する当事者の主張」欄及び原判決別紙8違法事由一覧表に記載のとおりである。

ア 原判決51頁3行目の「実質的当事者訴訟としての」を削除し、同54頁2、3行目の「教育委貴会」を「教育委員会」に、同頁13行目の「国」を「被控訴人国」に、同55頁7行目の「完了させなければない」を「完成させなければならない」に、同56頁10行目の「考査試験では」を「考査試験は」に、同頁21行目の「請求」を「主張」にそれぞれ改める。

イ 原判決56頁24行目から同57頁16行目までを削除する。

ウ 原判決57頁17行目の「契約責任と履行請求」を「契約責任」に改め、同58頁4行目の「この場合、」から同61頁4行目までを削除する。

エ 原判決64頁15行目の「一元的な」を「一元的に」に、同66頁5行目、同73頁8行目及び同頁25行目の各「別紙一覧表」を「別紙6記述部分一覧表」に、同67頁4行目の「21条1項」を「24条1項」に、同81頁10行目の「返還されていない」を「返還されていなかった」に、同82頁2行目の「用語には」を「用語は」に、同84頁10行目の「教科用検定規則」を「教科用図書検定規則」に、同85頁2行目の「有無判断する」を「有無を判断する」に、同86頁2行目の「東京書籍」を「被控訴人東京書籍」に、同89頁26行目の「同条2項」を「同規則13条2項」に、同90頁4行目の「著作者にも」を「著作者も」に、同頁26行目の「国においては」を「被控訴人国においては」に、同91頁19行目の「著作した」を「著作し、発行した」に、同92頁26行目の「行攻機関」を「行政機関」にそれぞれ改める。

オ 原判決94頁25行目から同95頁19行目までを削除し、同頁20行目の「キ」を「エ」に、同頁24行目の「国」を「被控訴人国」に、同頁25行目の「被告」を「被控訴人ら」に、同96頁1行目の「ク」を「オ」に、同頁12行目の「ケ」を「カ」に、同97頁22行目の「抽象牲」を「抽象性」にそれぞれ改める。

カ 原判決100頁24行目の「学校教育法」の後に「(平成11年法律第151号による改正前のもの)」を加え、同108頁9行目の「吉田似比呂」を「吉田仁比呂」に改める。

(2)  控訴人らの当審における主張の概要は、次のとおりである。

ア 債務不履行責任について

(ア) 控訴人らと被控訴人国及び同自治体との間においては、契約関係が存在するというべきである。私立中学校における学齢生徒の就学関係は、学齢生徒の保護者と私立中学校との間の契約関係であるところ、就学する学校が公立中学校であっても、その就学関係の実質的内容は異なるものではなく、私立中学校と公立中学校とは完全に近い互換性があるから、公立中学校における就学関係も同様に契約であると解すべきである。入学期日の通知や就学すべき学校の指定が行政処分であることや就学関係が対等な当事者間の法律関係でないことが、直ちに就学関係を契約であるとすることの妨げになるものではない。

(イ) 仮に、控訴人らと被控訴人国及び同自治体との間に契約関係が認められないとしても、両者の間には具体的な公法上の就学関係が認められるのであるから、同就学関係から同被控訴人らには控訴人生徒に適正な公教育を行うべきであるという具体的義務が発生し、その義務の違反が認められる場合には、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うべきである。

(ウ) 上記(ア)のとおり、控訴人らと被控訴人国及び同自治体との間には契約関係が存在し、これに加えて、同被控訴人らと被控訴人発行者の間に教科用図書の供給契約が、同発行者と同著作者との間に教科用図書の著作に関する請負契約があることは明らかである。この3個の契約は、統一的な教育制度の下で成立した密接不可分のものであり、複合的に一体と認識されるべき混合契約であるから、控訴人らは、被控訴人発行者及び同著作者に対し、この一体としての混合契約から発生する瑕疵修補請求権に基づき、教科用図書の違法な記述部分についての訂正請求権を有するのである。この訂正請求権の有無は、違法性の態様及び程度と関連するから、損害賠償請求権の判断に影響するものである。

(エ) 上記(ア)の就学に関する契約は、双務契約であるし、また、授業料が無償であっても、これは国民の納税義務と対価関係にあるから、無償契約ではない。したがって、被控訴人国及び同自治体は、教科用図書の記載内容に関し、民法570条により、法定責任としての瑕疵担保責任を負うというべきである。

(オ) 以上のとおり、被控訴人国及び同自治体は、控訴人生徒に本件各教科用図書を用いて履修させるに際し、当該図書に誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容の記述をさせてはならないという不作為義務を負担しており、被控訴人発行者及び同著作者も、上記(ウ)の一体の混合契約により、その義務の共同負担者になるというべきである。

被控訴人らがその義務に違反した場合には、控訴人らに対し、債務不履行に基づく損害賠償をすべきである。

イ 不法行為責任について

(ア) 教育基本法10条1項は、教育に対する「不当な支配」を禁止している。したがって、国の教育権能も無制限のものではなく、憲法及び教育基本法などの法令により制限された裁量権を逸脱した場合には、違憲ないし違法なものとなるのである。不法行為の成立要件は、従来の「権利侵害」から「違法性」に変わったのであるから、原判決が、子どもや親には教育内容の是正を求める憲法上ないし法令上の権利がないから、権利侵害がない以上不法行為は成立しないと判断するのは、不法行為の成立に関する解釈を誤ったものである。

(イ) 被控訴人らによって侵害された控訴人らの法律上保護された利益は、教育の自由、学習権ないしは誤った知識や一方的な観念を押し付けられず、又は特定の歴史観を強制されたり、歴史観の形成について干渉されないという人格的利益であり、これは憲法13条、19条、26条により法的に保護されたものである。子どもの学習権は、自由権としての憲法上の権利であり、その法的権利性を認めない原審の判断は誤りである。

控訴人生徒を直接学習指導した教育公務員には、教育関係法令等に基づき控訴人生徒に健全な教育を施すべき職務上の配慮義務が存在するので、本件各教科用図書の内容に誤った知識や一方的な観念を押し付けるような記述がある場合に、その内容を補正しないまま、生徒にその履修をさせることは、違法な公権力の行使になる。

(ウ) 被控訴人国及び同自治体の行為の違法は、<1>公務員が一体となって検定基準中にいわゆる近隣諸国条項を追加規定し、違法な記述を含む本件各教科用図書を作成し、これを用いて控訴人生徒に履修をさせた作為及び<2>近隣諸国条項が違憲・違法であることを知りながらこれを検定基準から削除せず、かつ、検定に際し、本件各教科用図書の違法な記述を訂正・削除させなかった不作為である。いまだ判断能力のない控訴人生徒が本件各教科用図書による履修を余儀なくされたことは、国家権力が、近隣諸国条項が前提とする特定の思想ないし歴史観を強制したことにほかならず、憲法19条、99条に違反する。

(エ) 控訴人らに対する不法行為は、本件各教科用図書の著作、検定申請、検定、採択、給付、給与、教師による本件各教科用図書を用いた教育という連続した過程を通して行われたものである。被控訴人発行者及び同著作者は、同国及び同自治体の行為と主観的にも客観的にも関連共同性を有する本件各教科用図書の違法な記述部分の著作、発行をしたのであるから、被控訴人発行者及び同著作者は、同国及び同自治体の共同不法行為者として、控訴人らに対し、不真正連帯債務を負担するというべきである。

(3)  被控訴人国及び同自治体の当審における主張

ア 公立中学校の生徒の就学関係は、教育基本法4条1項、学校教育法22条1項、39条1項の規定により、保護者の意思にかかわらず一方的に就学義務を負わせるものであり、公権力の行使をその本質とする公法的法律関係である。したがって、控訴人らと被控訴人国及び同自治体との間に控訴人らが主張するような契約関係が存在しないことは明らかであり、同被控訴人らに控訴人らに対する債務不履行責任が発生する余地はない。

イ 文部大臣が教科用図書の検定権限を適正に行使する義務は、国民全体に対して負担する一般的、抽象的義務、教育委員会が教科用図書の採択権限を適正に行使する義務は国民全体ないし当該採択地区の住民全体に対して負担する一般的、抽象的義務であり、いずれも個別の国民の具体的権利に対応した法的義務ではないから、文部大臣や教育委員会の行為が控訴人らとの関係で国家賠償法1条にいう違法を生じさせることはあり得ない。

また、文部大臣の教科用図書の検定権限は、高度の公益的要求に応えるために認められたものであり、学術的、教育的な専門技術的判断を伴うものであるから、文部大臣の合理的な裁量に委ねられている。本件において裁量権が収縮したり、裁量権の濫用となる事情はなく、文部大臣が控訴人らの主張するような記載について被控訴人発行者及び同著作者に対し削除、訂正を求めなかったとしても、違法となることはない。

ウ 控訴人らは、自らの主張するような歴史観を有していることをもって、何ら差別的ないし不利益な取扱いを受けているわけではないので、思想の自由を侵害されているとはいい難い。

また、控訴人らが、自らが正しいと信ずる学説ないし見解が本件各教科用図書に採用されていないこと等により精神的苦痛を覚えたとしても、これをもって法的に保護された利益の侵害が発生しているとはいえない。

(4)  被控訴人発行者及び同著作者の当審における主張

ア 控訴人らと被控訴人発行者及び同著作者との間には、いかなる意味においても意思表示の合致は存在せず、契約関係の存在を前提とする損害賠償請求権が生ずる余地はない。

イ 被控訴人発行者及び同著作者は、検定基準等を踏まえて申請用図書を作成し、文部大臣の検定意見を検討した上、特段異を唱えるべきものはないと判断し、検定意見に沿った記述の修正を行い、最終的に検定合格に至っているのである。控訴人らは、原判決別紙8違法事由一覧表のとおり教科用図書に記述されるべきである、又は記述されるべきでないとする内容を主張するが、そのような内容の教科用図書が執筆され発行される控訴人らの利益は、表現の自由を有する被控訴人発行者及び同著作者との関係において、法的に保護を受けるような性質のものではない。

第3当裁判所の判断

1  被控訴人日本文教出版、同Y1、同Y2、同Y3、同Y4、同Y5、同Y6、同Y7、同Y8、同Y9、同Y10、同Y11、同Y12、同Y13、同Y14、同Y15、同Y16、同Y17及び同Y18(別紙2被控訴人目録中の被控訴人番号25及び同147ないし164)に対する控訴について

控訴人らの控訴の趣旨は、各控訴人らに別紙3<略>記載のとおり対応する被控訴人らに対し、当該控訴人らが損害賠償を求めるというものである。しかしながら、別紙3<略>によれば、被控訴人日本文教出版が発行した歴史的分野、公民的分野及び地理的分野の各教科書並びに同帝国書院が発行した歴史的分野の教科書は、いずれの控訴人生徒にも給与されていないとされている。そして、控訴人らは、原審においても、被控訴人日本文教出版並びに同被控訴人及び同帝国書院が発行した歴史的分野の教科書の著作者である別紙2被控訴人目録<略>中の被控訴人番号147ないし164の被控訴人らに対しては損害賠償請求をしていなかった(1審原告らのうち原判決に対して控訴をしなかった者らの一部が同被控訴人らに対して請求をしていたにすぎない。)。結局、同被控訴人らに対しては、いずれの控訴人らも原審及び当審において何らの請求もしていないことになる。

したがって、被控訴人日本文教出版及び別紙2被控訴人目録<略>中の被控訴人番号147ないし164の被控訴人らに対する本件控訴は、いずれの控訴人らも控訴の利益を有しない不適法なものであるというべきであり、却下を免れない。

2  控訴人X2、同X3及び同X4の被控訴人東京書籍に対する控訴について

控訴人X2、同X3及び同X4は、被控訴人東京書籍に対する訴えを原審で取り下げており(同被控訴人は、これにつき同意している。)、原判決も同訴えをその対象にしていないことは明らかである。したがって、同控訴人らの同被控訴人に対する控訴は、不適法であることが明らかであり、却下を免れない。

3  当裁判所も、控訴人らの上記1、2以外に係る請求は、いずれも理由がないと判断する。その理由は、次のとおりである。

(1)  主位的請求(債務不履行に基づく損害賠償請求)について

ア 被控訴人自治体(同東京都を除く。)が設置した中学校における控訴人生徒の就学あるいは同中学校における教科用図書の使用に関し、控訴人らと被控訴人らとの間に、何らかの契約ないし合意が成立するために必要な意思表示の合致が認められないことは明らかである。すなわち、控訴人生徒の就学関係は、控訴人生徒の親権者である控訴人保護者と中学校を設置する被控訴人自治体(同東京都を除く。)との間において、就学に関する申込みとこれに対する承諾があって初めて生じたという性質のものではないのである。その理由は、次のとおりである。

イ すべて国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負っているところ(憲法26条2項前段、教育基本法4条1項)、保護者は、子女が小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部の過程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを、中学校、中等教育学校の前期過程又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中等部に就学させる義務を負っている(学校教育法(平成10年法律第101号による改正前のもの)39条1項)。

保護者の上記義務に対応し、市町村は、その区域内にある学齢生徒を就学させるに必要な中学校を設置しなければならない(学校教育法(平成13年法律第105号による改正前のもの)40条、29条)。中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、中等普通教育を施すことを目的とするものであり、その修業年限は、3年とされている(同法35条、37条)。そして、中学校においては、文部大臣の検定を経た教科用図書又は文部省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない(同法(平成11年法律第160号による改正前のもの)40条、21条1項)。

学校その他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱い及び教育職員の身分取扱いに関する事務を行う行政機関として都道府県、市町村等に教育委員会が置かれ(地方自治法180条の8、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(平成11年法律第87号による改正前のもの。以下同じ。)2条)、学齢生徒の就学、教科書その他の教材の取扱いに関することについては、教育委員会が管理し、及び執行することとされている(同法23条4号、6号)。

中学校における具体的な就学の手続をみると、市町村の教育委員会は、毎年10月1日現在において、その市町村の区域内に住所を有する者で翌年4月1日に中学校に入学すべき学齢生徒について、10月末日までに、学齢生徒の氏名、現住所、保護者と学齢生徒との関係等を記載した学齢簿を作成し(学校教育法施行令(平成12年政令第308号による改正前のもの)1条、2条、同法施行規則(平成10年文部省令第38号による改正前のもの)30条、31条)、この学齢簿に記載されたすべての就学予定者(ただし、他の中学校に就学させる旨保護者から届出があった者、健康診断の結果判明した盲者、聾者等を除く。)について、その保護者に対し、翌年1月末日までに、その入学期日を通知し、また、就学すべき中学校の指定をしなければならないとされている(同法施行令(平成10年政令第351号による改正前のもの)5条)。この入学期日の通知等によって、学齢生徒を就学させるべき保護者の義務が、特定の就学すべき中学校との関係で具体化されることになる。

ウ 学齢生徒の教育を受ける権利、保護者が学齢生徒に中学校の教育を受けさせる義務並びに国及び地方公共団体が国民に無償の義務教育を施す義務といった憲法上の要請を完全に実現するために、国及び地方公共団体は、上記のように、中学校における教育の制度を整備し、実施しているのであり、上記の過程を経て形成される学齢生徒の公立中学校における就学に関する法律関係は、私的自治の原則が妥当し対等な当事者間の合意によって形成される私法上のものではなく、高度の公益を実現するために、公権力の行使をもって形成されたものであることが明らかである。このようにして形成された就学に関する法律関係の下においては、学齢生徒、その保護者、国及び地方公共団体は、上記のとおり、それぞれ憲法及び教育関係諸法令に基づく権利を有し、義務を負っているのであるが、これら権利義務はあくまでも公法上のものであって、たとえその当事者に義務の不履行があったとしても、民法415条に基づいて、他の当事者に対する損害賠償義務が発生するようなものではないというべきである。

控訴人らは、私立中学校における就学が保護者と私立中学校との間の契約であることを理由に、公立中学校における就学も同様に契約であると主張する。しかしながら、保護者があえて子女の教育のために特定の私立中学校を選択して就学の申込みをし、当該私立中学校の側でもその生徒が当該私立中学校に入学するにふさわしい者かどうかを審査した上で入学の可否を決めるという保護者と私立中学校との間の合意を基礎にして形成される就学関係を、上記のような過程を経て形成される公立中学校における就学と同視することができないのは、当然のことであり、控訴人らの主張は、失当であるといわざるを得ない。

エ 以上のとおり、控訴人らが主張する混合契約の不履行、同混合契約から発生する瑕疵修補請求権(教科用図書の違法な記述の訂正請求権)又は就学に関する契約の瑕疵担保責任を理由とする被控訴人らに対する各損害賠償請求権は、およそ成立する余地のないものであって、本件の主位的請求は、その余の点について判断するまでもなく、失当であり、理由がないというべきである。

(2)  予備的請求(不法行為に基づく損害賠償請求)について

ア 国家賠償法1条1項は、「公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたとき」を責任発生の要件としている。この規定が、民法709条に基づく不法行為と同様に、権利侵害すなわち法的に保護された利益(法益)の侵害の有無を問題とし、民法上の不法行為責任の成立に必要な法益の侵害という要件を国家賠償の場合に不要とするものでないことはいうまでもないことである。控訴人らは、不法行為の成立要件が「権利侵害」から「違法性」に変わったと主張して、憲法上ないし法令上の権利の存在は要件でないとするが、それが法的に保護される利益の存在をも要件でないというのであれば、独自の見解であるといわざるを得ない。「権利侵害」を問題にしないというのは、「権利」としての成熟性を要求しないというにすぎず、法益の存在は不可欠である。

そこで、本件においても、控訴人らの法益に対する侵害があるかどうかを検討しなければならない。

イ 憲法26条1項の規定の背後には、国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するめに必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、みずから学習することのできない子どもは、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在しているということができる。このように、子どもに学習をする権利があるのに対応して、親は子女の教育の自由を有すると認められるが、このような親の教育の自由は、主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるものである。

一方において、国は、子ども自身の利益を擁護し、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心に応えるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有するものと解される。もっとも、この場合においても、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上許されないことはいうまでもない(以上につき、最高裁昭和51年5月21日大法廷判決・刑集30巻5号615頁参照)。

そこで、本件との関連において問題になるのは、上記の子どもの学習をする権利の性格及び国の教育内容を決定する権能を考えた場合、個々の生徒に対し、中学校で使用する教科用図書を検定する国(文部大臣)あるいは中学校を設置し、そこにおいて検定を経た教科用図書を使用し、教師を通じて生徒に教育を施す市町村から、同教科用図書に記載された誤った知識や一方的な観念を植え付けるような内容の教育を施されないという法的な利益を享受させるべきかどうか、換言すれば、個々の生徒との関係で、国に対し上記検定において教科用図書から誤った知識や一方的な観念を植え付けるような記載を排除する義務を認め、市町村に対し上記内容を含む教科用図書を使用しない義務を認めるべきか否かということである。

ウ 中学校における教育においては、教育を受ける権利の発現形態というべき学習をする権利の主体者である生徒の側に教育内容に対する批判能力を要求することはできないこと、親に教育の義務があり、教育の自由が認められるが、学習をする権利が基本的には大人一般に対して教育を施すよう要求する権利と観念されることからすると、上記の教育内容を決定する国の権能に期待されるところは大きい。しかし、この権能は、個々の生徒又は親の個々の利益というより我が国の生徒全体の一般的、抽象的利益を擁護し、社会公共の利益と関心に応えるという目的から認められるものというべきであって、その意味では、個々の生徒に教育を受ける権利があり、あるいはその親に教育の義務及び自由があるといっても、その権利は一般的、抽象的権利というべきであり、各個人がどのような内容の教育を受けるかについて国又は自治体に対して具体的に要求することは憲法上保障されているものではないといわざるを得ない。そして、法令上も、生徒又はその親が国のこの権能の行使、具体的には文部大臣の教科用図書検定権限の行使に関し、何らかの利益を認め、これを保護する規定を置いていない。

そうであるとすれば、国に教育内容を決定する権能があり、教科用図書につき検定権限が認められるとしても、そのことから、個々の生徒又はその親に教科用図書の記載によって侵害されるべき法的利益の存在を肯定することはできない。したがって、国又は市町村に前記のような義務を認めることはできず、控訴人らの被控訴人国及び同自治体に対する各損害賠償請求は、その余の点を判断するまでもなく、理由がないというほかない。

エ 補足するに、中学校において使用する教科用図書は、内容が正確かつ中立・公正であり、学校の目的、教育目標、教科内容に適合し、内容の程度が生徒の心身の発達段階に応じたもので、生徒の使用の便宜に適うものでなければならないことは、教育基本法、学校教育法、教科書の発行に関する臨時措置法等の関連条文の規定から明らかである。そして、文部大臣の検定権限は、それら法令及び検定関係法規の趣旨に合致するように行使されなければならないが、検定の審査、判断は、上記のとおりの様々な観点から多角的に行われる学術的、教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣の合理的な裁量に委ねられるものである。したがって、検定の申請がされた図書の合否の判定、条件付合格の条件の付与等についての教科用図書検定調査審議会の判断の課程(検定意見の付与を含む。)に、原稿の記述内容又は欠陥の指摘となるべき検定当時の学説状況、教育状況についての認識や、検定基準に反するかどうかの評価等に看過し難い過誤があって、文部大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、その判断は、裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法となると解される(以上につき、最高裁平成5年3月16日第三小法廷判決・民集47巻5号3483頁、同平成9年8月29日第三小法廷判決・民集51巻7号2921頁参照)。

上記判例のように文部大臣の検定に関して教科用図書の記載内容を変更させる措置が裁量権の範囲を逸脱し、違法なものであると認められる場合には、これが直ちに検定の申請をした者の表現の自由を制約することになるのであるから、その者は、その法益の侵害(表現の自由の侵害)を理由に国家賠償を求めることができるというべきである。しかし、この場合、教科用図書を使用する子ども又はその親の側には何らの法益侵害はなく、損害賠償の余地はない。

これとは逆に、検定の結果合格と判定され、記載内容に変更がされなかった場合、文部大臣の検定に関する措置が裁量権の範囲を逸脱し、違法なものであり(検定権限の行使はできるだけ抑制的であることが要請されることからすれば、稀有な事例であろう。)、その違法な検定を経た教科用図書が教育委員会によって採択され、子どもに給与され、これを使用して教育が施されたとしても、表現の自由の侵害がないのはもちろん、子ども又は親にとっても、学習の権利に由来する子ども(ないし保護者)の具体的な法益が侵害されたことになると考えることも、前記説示のとおり相当でない(この場合、文部大臣に行政上の責任が発生することは当然である。)。

控訴人らは、本件において、被控訴人らが検定による記載の変更をしなかったこと等によって、教育の自由、学習権ないしは誤った知識や一方的な観念を押し付けられず、又は特定の歴史観を強制されたり、歴史観の形成について干渉されない人格的利益が侵害されており、この利益は、憲法13条、19条、26条により法的に保護されているのであるから、不法行為の成立が認められる旨主張するが、上記検討したところに照らすと、独自の見解であるというべきであり、採用することができない(憲法13条を根拠とする権利も、同26条と併せて子どもの学習をする権利に関係する限り、同26条について上記で検討したところと同様に一般的、抽象的権利である。また、控訴人らが内心においていかなる国家観、歴史観等を持とうと完全に自由であるのは当然のことであり、本件各教科用図書が採択され、生徒に給与され、中学校の教育において使用されたことが、特定の思想を抱くことを禁止したり、抱いている特定の思想の表明を強制したりすることにならないことは明らかであるから、控訴人らが主張する被控訴人らの行為によって憲法19条が保障する控訴人らの権利ないし利益が侵害されることはないというべきである。)。

もっとも、現実には想定し難いことではあるが、文部大臣の検定に関する措置が、単なる裁量権の範囲の逸脱にとどまらず、検定基準の明示的な条項をあえて無視し、明らかに違法な教科用図書を恣意的に検定に合格させたような場合、例えば、義務教育諸学校教科用図書検定基準に「政治や宗教の扱いは公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。」(同検定基準第2章2(2))とあるのに、特定の宗派の教義にすぎない歴史の見方をあたかも宗教から離れた歴史的事実であるかのように記述したり、また、同検定基準に「図書の内容に、特定の個人、団体などの権利や利益を侵害するおそれのあるところはないこと。」(同(16))とあるのに、特定の生徒の名誉やプライバシーを侵害する事実を記述したりしている教科用図書が採択され、生徒に給与され、これを使用して教育がされた場合などに、上記教義と異なる教義の宗教を信ずる生徒又は特定の宗教を信じない生徒の信教の自由(憲法20条により、個々の生徒は国から特定の宗教を強制されないという法益を有することを認めることができよう。)や特定の生徒の名誉・プライバシーといった法益が具体的に侵害されたと観念できる場合があり得るが、控訴人らが本件で違法であると主張する本件各教科用図書の記述がそのような類型のものでないことは、その主張自体から明らかである(なお、控訴人らは、本件各教科用図書が年号を記述する際に西暦を使用していることが、キリスト教徒でない控訴人らの信教の自由を侵害するなどと主張しているが、西暦で表記された歴史的事実について教育を受けることがキリスト教徒以外の者の信教の自由の侵害にならないことは明らかであり、控訴人らの主張は失当である。)。

オ そうすると、控訴人らの被控訴人国及び同自治体以外の被控訴人らに対する不法行為に基づく損害賠償請求も、控訴人らの法益の侵害が認められないのであるから、その余の点について判断するまでもなく、失当であり、理由がない。

4  以上によれば、被控訴人日本文教出版及び別紙2被控訴人目録<略>中の被控訴人番号147ないし164の被控訴人らに対する本件控訴並びに控訴人X2、同X3及び同X4の被控訴人東京書籍に対する控訴はいずれも不適法であるから、却下すべきであり、また、その余の本件請求については、いずれも理由がないとしてこれを棄却した原判決は相当であるから、その余の本件控訴は理由がなく、棄却を免れない。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 相良朋紀 三代川俊一郎 尾島明)

別紙1 控訴人目録<略>

別紙2 被控訴人目録<略>

別紙3 控訴人被控訴人対応表<略>

別紙4 被控訴人分類表<略>

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