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東京高等裁判所 平成19年(ネ)2133号 判決 2008年12月25日

控訴人兼附帯被控訴人

株式会社ショウ・コーポレーション

(以下「控訴人」という。)

(変更前の商号 株式会社魚沼中央自動車学校)

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

山﨑重吉

鈴木隆

被控訴人兼附帯控訴人

X1

(以下「被控訴人」という。)

X2

X3

被控訴人ら訴訟代理人弁護士

高橋宏

阪田勝彦

西村紀子

太田啓子

岡村共栄

藤田温久

小池拓也

主文

1  本件控訴及び附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。

2  被控訴人X1及び被控訴人X2が,控訴人に対し,それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

3  控訴人は,被控訴人X1に対し,1316万5371円及びうち30万6171円については平成17年3月29日から,その余の金額については各35万7200円に対する同年4月から平成20年3月までの各月29日(平成18年及び平成19年の各2月分については各3月1日)からそれぞれ支払済みまで年6分の割合による金員,並びに平成20年4月から本判決確定に至るまで毎月28日限り35万7200円及びこれに対する各月29日(29日がない月については翌月1日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

4  控訴人は,被控訴人X2に対し,1244万6657円及びうち28万9457円については平成17年3月29日から,その余の金額については各33万7700円に対する同年4月から平成20年3月までの各月29日(平成18年及び平成19年の各2月分については各3月1日)からそれぞれ支払済みまで年6分の割合による金員,並びに平成20年4月から本判決確定に至るまで毎月28日限り33万7700円及びこれに対する各月29日(29日がない月については翌月1日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

5  控訴人は,被控訴人X3に対し,825万7238円びうち31万6800円については平成17年3月29日から,うち17万8838円については平成19年1月29日から,その余の金額については各36万9600円に対する平成17年4月から平成18年12月までの各月29日(平成18年2月分については同年3月1日)からそれぞれ支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

6  被控訴人らのその余の請求をいずれも棄却する。

7  訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。

8  この判決は,第3項ないし第5項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1控訴及び附帯控訴の趣旨

(控訴の趣旨)

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。

(附帯控訴の趣旨)

1  原判決を次のとおり変更する。

2  被控訴人らが,控訴人に対し,それぞれ労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

3  控訴人は,平成16年6月から本判決確定の日に至るまで毎月25日限り,被控訴人X1(以下「被控訴人X1」という。)に対し46万0970円,被控訴人X2(以下「被控訴人X2」という。)に対し40万9326円,被控訴人X3(以下「被控訴人X3」という。)に対し51万2377円及びこれらの各金員に対する各月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

4  訴訟費用は,第1,2審とも控訴人の負担とする。

5  仮執行宣言

第2事案の概要

1  本件は,被控訴人らが株式会社湘南ドライビングスクール(以下「訴外会社」という。)経営の自動車教習所(以下「湘南校」という。)に教習指導員(以下「指導員」という。)として雇用されていたところ,同校が閉校し,控訴人が秦野自動車教習所(以下「秦野校」という。)を開校するに当たり,①訴外会社と控訴人との間で控訴人が訴外会社とその従業員との間の労働契約上の地位を承継する旨の合意があった,②控訴人と被控訴人らとの間で控訴人が湘南校と同一の労働条件で被控訴人らを雇用して秦野校で勤務させる旨の合意があったとして,被控訴人らが,控訴人に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,湘南校閉校後の賃金としてそれぞれ原判決別紙一覧表(1)ないし(3)記載の未払賃金額欄の各金員及びこれに対する各支払月の26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は,本訴請求は被控訴人らが控訴人に対し労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と原判決別紙一覧表(5)記載の各賃金及びこれに対する同表記載の各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとしてこれを認容し,その余は理由がないとして棄却したので,控訴人がこれを不服として控訴し,被控訴人らは,附帯控訴をし,控訴人と訴外会社の実質的同一性により労働契約関係が存在するとの主張を追加し,未払賃金に関する請求を拡張した。

2  前提事実,争点及びこれに関する当事者の主張は,次のとおり訂正付加するほか原判決の「事実及び理由」第2の1,2に記載のとおりであるから,これを引用する。

(1)  原判決3頁8行目の「合併した」を「合併し,平成19年4月1日,商号を現在の株式会社ショウ・コーポレーションに変更した」と改める。

(2)  原判決4頁26行目の「湘南校は」の次に「,平成15年12月15日以降新規受講生の受入れを停止し」を加える。

(3)  原判決5頁23行目の「伝達した」を「伝達し,湘南校は,秦野校の公認取得の目処が立った平成15年12月に新規受講生の受入れを停止している」と改める。

(4)  原判決6頁2行目末尾の次に「この中には,訴外会社従業員のまま秦野校に手伝いに派遣された者や,訴外会社への退職願を提出しないで秦野校に異動を命じられ,後日退職願を提出した者も少なくない。また,転籍に当たっては退職金は支払われず,控訴人からの退職時に訴外会社からの退職時に支払われるべきであったものと併せてその支払がされている。」を加える。

(5)  原判決7頁21行目末尾の次に「Bは,平成15年10月10日の団体交渉の席上,上記協定書の締結要求につき,「(秦野に)全員を連れて行く」と明言し,Jも,「私ども(B及びJ)は,みんな連れて行くって言ってるでしょ」と答えている。」を加える。

3  当審における当事者の追加主張

(控訴人)

(1) 被控訴人らは,本訴提起当時,訴外会社との間に労働契約上の地位を有しながら控訴人との間の労働契約上の地位の確認と給料の支払を請求し,この2つの地位を両立させるため控訴人と訴外会社が実質的に同一会社であると主張した。仮に両者が実質的に同一会社であるとしても,法形式上は控訴人と訴外会社とは別会社であるから,本訴においては控訴人と訴外会社とを共同被告とすべきであった。しかし,原審は,訴外会社を共同被告としないまま漫然と審理を続けた。この点で,原審の審理は訴訟要件を欠く違法なものであり,仮に訴訟要件を充足しているとしても,訴外会社が共同被告とならなかったことにより,控訴人は防御方法を著しく欠き,そのような状態でされた原審の事実認定は採証法則に反するものである。

(2) 仮に控訴人と被控訴人らとの間に外形的に労働契約が成立したとしても,その要素である賃金についての合意はないから,上記契約は無効というべきである。

(3) 被控訴人X3は平成19年1月4日をもって満60歳となり同日退職となったから,仮に控訴理由が認められないとしても,原判決中,被控訴人X3の同年2月1日以降の期間の請求に関する部分は取り消されるべきである。

(被控訴人ら)

(1) aグループは,社会的実態として存在し,控訴人及び訴外会社等のグループ内の各社を実質的に支配していたところ,被控訴人ら労働組合員を排除するために,秦野校の運営主体をあえて訴外会社ではなく控訴人としたのであるから,不当労働行為を禁ずる労働組合法7条の適用を回避するために法人格を濫用し,これにより被控訴人らの利益が害されているのであるから,訴外会社の法人格は否認すべきであり,その背後にあるaグループの構成部分である控訴人と被控訴人らとの雇用契約関係を認めるべきである。

(2) 被控訴人X3は定年後も再雇用を希望しているところ,訴外会社においては,労使慣行及び労働協約により60歳定年後再雇用を希望する労働者を65歳まで再雇用することとなっていた。控訴人の就業規則30条にいう労使協定の定める要件からしても,被控訴人X3が再雇用されない事由は見出し難い。したがって,被控訴人X3は秦野校において再雇用されるべきである。

第3当裁判所の判断

1  控訴人の訴訟要件等に関する主張について

控訴人は,訴外会社が共同被告とされていないことにより,本訴は訴訟要件を欠き,また,控訴人は防御方法を欠いたと主張するが,本訴は,被控訴人らが控訴人に対し,控訴人との間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と未払賃金の支払を求めるものであるから,控訴人のみを被告とすれば足り,訴外会社を共同被告とすべき理由はなく,また,控訴人の訴訟上の防御に支障が生じたとも認め難いから,控訴人の上記主張は採用することができない。

2  事実関係

本件における控訴人及び関係するグループ企業の経営状況,控訴人の経営する秦野校の開校と訴外会社の経営する湘南校の閉校に至る事実の経過等の事実関係については,次のとおり訂正付加するほか,原判決の認定(「第3 争点に対する判断」1)のとおりであるから,これを引用する。

(1)  原判決9頁14行目の「17」の次に「,18の1,2,乙20」を加え,11頁16行目の「同一公安員会内」を「同一公安委員会内」と,18行目の「収監」を「収用」とそれぞれ改める。

(2)  原判決12頁14行目の「取得し」を「取得したが,その代金は,東京都から前記土地売却代金が支払われるまでの間,訴外会社名義で株式会社b銀行から借り入れて支払い」と改め,16行目の「なお」の次に「,後記(18)のとおり,被控訴人X1から訴外会社の上記借入れの事実を指摘された後,控訴人は訴外会社の上記債務を引き受け」を加える。

(3)  原判決14頁20行目末尾の次に「被控訴人X1は,秦野校が控訴人の子会社であるとのJの上記発言に対し,本件土地建物の購入資金が訴外会社の借入れによってまかなわれているのではないかと質したが,Jはこれを強く否定した。」を,26行目の「組合に対し」の次に「,訴外会社の給与体系は,昼間に空き時間があっても給料を全額支払い,夜の残業について別途残業手当を支払うこととなっており,経費がかかりすぎると指摘したほか」をそれぞれ加える。

(4)  原判決15頁3行目の「秦野校の」を「秦野校は名実ともに訴外会社とは別会社であって,その」と改め,5行目末尾の次に「Jは,秦野校は従業員の雇用の確保のためにわざわざ買ってもらった旨述べた。」を加え,20行目の「秦野校において」を「秦野校は訴外会社とは別法人であるが,同校において訴外会社の従業員が」と,22行目の「説明した」を「説明し,秦野校に行くか否かにつき拒否権を持つのはそちらであり,嫌だいう者を無理に連れて行くわけにはいかないと述べた」とそれぞれ改める。

(5)  原判決17頁1行目の「湘南校で」を「この時点では湘南校の職制に就いていない従業員は,いずれも組合員である被控訴人ら3名とH及びIのみとなっていたところ,同校で」と,5行目の「発言した」を「発言した上,湘南校の従業員にはこのまま残るか辞めるかのいずれかを選択してもらうと述べた」と,6行目の「脱退した」を「脱退し,後記(35),(41)のとおり,秦野校で勤務するようになった」とそれぞれ改める。

(6)  原判決18頁15行日末尾の次に「また,湘南校から秦野校に移った従業員らにはいずれも退職金が支払われておらず,そのころ,Cは被控訴人らに対し控訴人と訴外会社との間で退職金は引き継ぐとの合意ができていると説明した。」を加える。

(7)  原判決19頁7行目末尾の次に改行して次のとおり加える。

「 控訴人の就業規則30条は,「従業員の定年は満60歳とし,定年に達した日をもって退職とする。ただし,本人が希望し,高年齢者雇用安定法第9条第2項に基づく労使協定により定められた基準に該当した者については再雇用する。」と定めており,被控訴人X3は平成19年1月4日をもって満60歳となった。また,同法に基づく労使協定である「定年後の再雇用対象者の基準に関する労使協定」は,満60歳に達した者で次の事由のいずれにも該当する者を再雇用すると定めている。

① 過去1年間の出勤率が85パーセント以上の者で無断欠勤がない者

② 勤務に支障のない健康状態にある者

③ 定年退職後直ちに業務に従事できる者

④ 協調性があり,勤務態度が良好な者」

3  争点1(控訴人と訴外会社との間で,訴外会社から控訴人へ営業譲渡に伴い労働契約を承継する旨の合意があったか)について

当裁判所は,訴外会社から控訴人への営業譲渡に伴い労働契約を承継する旨の合意があったとは認め難いものと判断する。その理由は,次のとおり訂正付加するほか,原判決の理由説示(「第3 争点に対する判断」2)のとおりであるから,これを引用する。

原判決19頁13行目から14行目の「発表していたのであり」を「発表し,10月10日には,秦野校は従業員の雇用の確保のためにわざわざ買ってもらったものであると述べており」と,20頁3行目の「出向したもの」を「出向し,その間の賃金は訴外会社が負担したもの」と,4行目の「皆無である」を「皆無であり,しかもこれらの従業員に対して退職金が支払われた形跡がない」とそれぞれ改め,11行目の「人的異動だけでなく」の次に「,訴外会社は,上記認定のとおり,本件土地建物の代金を一時銀行から借り入れて負担したほか,出向者に対する賃金を負担するなど金銭面でも多大の協力をしており,また,」を,21頁17行目から18行目の「訴外会社との間で」の次に「営業譲渡がされたとは認め難いから」を,18行目の「労働契約を」の次に「営業譲渡に伴って」をそれぞれ加える。

4  争点2(控訴人と訴外会社の従業員との間で労働契約が締結されていたか)について

当裁判所は,平成15年10月10日,控訴人と訴外会社の従業員との間で,訴外会社とその従業員との間の労働契約が終了し訴外会社での業務が終了した時点で秦野校で雇用するとの始期付き労働契約が成立し,これに基づき,被控訴人らについては平成17年2月25日労働契約の効力が発生したと判断する。その理由は,次のとおり訂正付加するほか,原判決の理由説示(「第3 争点に対する判断」3)のとおりであるから,これを引用する。

(1)  原判決22頁22行目の「当たって」の次に「,本件土地建物の代金を一時銀行から借り入れて負担したほか,出向者に対する賃金を負担するなど金銭面でも多大の協力をしており」を加え,23頁17行目末尾の次に改行して次のとおり加える。

「オ また,前記認定の事実によると,B及びJは,同日以降も湘南校の従業員全員を秦野校で雇用する旨繰り返し述べていたにもかかわらず,湘南校に残存する職制に就いていない従業員が組合に属する5名のみになった時点でこれを翻し,湘南校に残るか辞めるかのいずれかを選択するよう申し渡したこと,しかも,そのように申し渡したにもかかわらず,その後組合を脱退した2名については秦野校で雇用され,結局,組合に残った被控訴人3名以外の者は希望する限り全員が秦野校で雇用されたことが認められる。これらによると,Bは,控訴人の代理又は使者として湘南校の従業員全員に対し上記の申込みをしたにもかかわらず,その後,組合に所属する者のみを雇用の対象外とする意図の下に前言を翻すに至ったと認めるのが相当であり,そのことによって,上記申込みの効力が左右されるものでないことはいうまでもない。」

(2)  原判決24頁8行目末尾の次に改行して次のとおり加える。

「 なお,控訴人は,仮に控訴人と被控訴人らとの間に外形的に労働契約が成立したとしても,その要素である賃金についての合意はないから,上記契約は無効であると主張するが,賃金についても後記のとおり黙示の合意が成立していることが認められるから,控訴人の上記主張は採用することができない。」

5  争点3(未払賃金額及び被控訴人X3の地位)について

(1)  当裁判所も,控訴人と被控訴人らを含む湘南校の従業員との間において,控訴人における賃金は訴外会社の基本給を下回るものではないとの黙示の合意を基に労働契約が成立したと認めることができると判断する。その理由は,原判決の理由説示(「第3 争点に対する判断」4(1),(2))のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決25頁1行目の「明示していないこと」を「明示していないものの,賃金の額は残業手当を含めて訴外会社の基本給程度が相当であると受け取れる発言をしていること」と改める。

(2)  前記認定のとおり,訴外会社における平成17年2月25日時点の被控訴人X1の基本給は月額35万7200円,被控訴人X2の基本給は月額33万7700円,被控訴人X3の基本給は月額36万9600円であり,控訴人の給与規程によれば,その支払期日は前月21日から当月20日までの賃金を当月28日に支給することと定めているから,控訴人には,被控訴人らに対し,平成17年2月25日以降の分につき同年3月以降毎月28日に上記基本給額に基づく賃金を支払うべき義務が発生したと認めることができる。

(3)  もっとも,被控訴人X3は,平成19年1月4日をもって満60歳となり,控訴人の就業規則に基づき同日退職になったと認めることができるから,被控訴人X3については,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求は理由がなく,未払賃金請求は,平成17年2月25日から平成19年1月4日までの期間に相当する部分に限って理由があり,その余は理由がないといわざるを得ない。

この点について,被控訴人X3は,訴外会社の労使慣行又は労働協約,控訴人における労使協定により再雇用されるべきであると主張する。

しかし,控訴人における定年後の再雇用の可否は,控訴人における労使協定によるべきであり,同協定は,前記のとおり,その定める4つの要件をすべて満たすものに限って再雇用を認めることとしているが,被控訴人X3がこれらの要件をすべて満たしていたと認めるに足りる証拠はないから,上記主張は採用することができない。

(4)  被控訴人らは,附帯控訴において未払賃金請求につき請求を拡張し,本件口頭弁論終結後に発生する賃金をも請求しているが,前記認定の事実関係からすると,被控訴人X1及び被控訴人X2については,上記(2)の基本給額の限度において上記将来の請求部分も含めて理由があると認めることができる。

6  結論

(1)  被控訴人らの請求のうち,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求については,被控訴人X1及び被控訴人X2の各請求は理由があるが,被控訴人X3の請求は理由がない。

(2)  被控訴人X1の未払賃金請求は,本件口頭弁論終結日である平成20年3月25日までに支払期日が到来した未払賃金合計1316万5371円(平成17年2月25日から同年3月20日までの日割計算分30万6171円及び同月21日から平成20年3月20日までの36か月分1285万9200円の合計額)及びうち30万6171円については平成17年3月29日から,その余の金額については各35万7200円に対する同年4月から平成20年3月までの各月29日(平成18年及び平成19年の各2月分については各3月1日)からそれぞれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,並びに同年4月から本判決確定に至るまで毎月28日限り35万7200円及びこれに対する各月29日(29日がない月については翌月1日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。

(3)  被控訴人X2の未払賃金請求は,本件口頭弁論終結日である平成20年3月25日までに支払期日が到来した未払賃金合計1244万6657円(平成17年2月25日から同年3月20日までの日割計算分28万9457円及び同月21日から平成20年3月20日までの36か月分1215万7200円の合計額)及びうち28万9457円については平成17年3月29日から,その余の金額については各33万7700円に対する同年4月から平成20年3月までの各月29日(平成18年及び平成19年の各2月分については各3月1日)からそれそれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,並びに同年4月から本判決確定に至るまで毎月28日限り33万7700円及びこれに対する各月29日(29日がない月については翌月1日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。

(4)  被控訴人X3の未払賃金請求は,上記平成19年1月4日までに発生した未払賃金合計825万7238円(平成17年2月25日から同年3月20日までの日割計算分31万6800円,同月21日から平成18年12月20日までの21か月分776万1600円,同月21日から平成19年1月4日までの日割計算分17万8838円の合計額)及びうち31万6800円については平成17年3月29日から,うち17万8838円については平成19年1月29日から,その余の金額については各36万9600円に対する平成17年4月から平成18年12月までの各月29日(平成18年2月分については同年3月1日)からそれぞれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。

(5)  よって,本件控訴及び附帯控訴に基づき,原判決を上記のとおり変更し,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 吉戒修一 裁判官 藤山雅行 裁判官 野口忠彦)

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