東京高等裁判所 平成19年(行コ)389号 判決 2008年3月19日
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 裁決行政庁が平成18年10月31日付けで平成18年(厚)第77号及び第87号事件についてした各裁決(以下「本件各裁決」という。)をいずれも取り消す。
第2事案の概要
1 事案の要旨
本件は,厚生年金保険法に基づいて設立された厚生年金基金である控訴人が,その設立事業所の事業主である株式会社A及び株式会社Bに対して,規約に基づく特別掛金(以下「本件特別掛金」という。)の納入告知をしたところ,上記会社らがその取消しを求めて,それぞれ審査請求(以下「本件各審査請求」といい,これらを行った同会社らを,以下,併せて「本件各審査請求会社」という。)をし,裁決行政庁が,本件特別掛金は不服申立ての対象となる国税徴収の例による徴収が認められる厚生年金保険法第9章第1節の規定による徴収金には該当しないとして,本件各裁決をしたことから,控訴人が,本件特別掛金は上記徴収金に該当し,その納入告知は審査請求の対象となる処分に当たるから,本件各裁決には厚生年金保険法の解釈を誤った違法があると主張して,本件各裁決の取消しを求めた事案である。
原審は,控訴人には原告適格が認められないから,本件訴えはいずれも不適法であるとして,本件訴えをいずれも却下したところ,控訴人が請求の認容を求めて控訴した。
2 当事者の主張等
前提事実,争点及びこれに関する当事者の主張は,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人には原告適格が認められないから,本件訴えはいずれも不適法であると判断する。その理由は,7頁末行の「社会保険審査会法」を「社会保険審査官及び社会保険審査会法」に改めるほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に説示するとおりであるから,これを引用する。
なお,控訴人は,控訴理由において,控訴人は,本件各裁決の取消訴訟の原告適格を有するとして,種々の主張をするが,これらは,前記引用に係る原判決の説示に照らして採用することができないか,又は,当裁判所が採用しない独自の見解に基づくものであるから,いずれも採用することができない。
第4結論
以上によれば,本件訴えは,いずれも却下すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,控訴人の本件控訴は理由がないから,これを棄却することとする。
(裁判長裁判官 柳田幸三 裁判官 白石史子 裁判官 村上正敏)