大判例

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東京高等裁判所 平成2年(う)308号 判決

事前に所得秘匿工作を行った上,逋脱の意思で法定の納期限までに所轄の税務署長に対し法人税確定申告書を提出しないで納期限を徒過させたといういわゆる虚偽不申告逋脱犯の場合にあっては,法人税法159条1項にいう「偽りその他不正の行為」に当たるのは,所得秘匿工作を伴う不申告行為そのものであると解するのが相当であるから(最高裁判所昭和63年9月2日第三小法廷決定・刑集42巻7号975頁参照),逋脱の犯意としては,所得秘匿工作をした上で法定納期限までに確定申告書を提出しないことについての認識・認容があれば足りるものというべきである。この場合において,個々の所得秘匿工作は,もしそれがなければ単純不申告犯が成立するに過ぎない不申告行為につき,逋脱犯としての不法性を帯びさせる要素であって,実行行為そのものではないから,不申告にかかる所得のすべてに亘って存する必要はなく,また,そのすべてについて行為者の認識・認容を要するものでもない。そして,虚偽不申告逋脱犯は,法定納期限を徒過することによって成立するから,たとえ行為者において当該法人の所得の一部についてこれを申告する意思があったとしても,法定納期限までにその申告をしない限り,不申告にかかる所得全体について逋脱犯の成立を免れない。

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