東京高等裁判所 平成2年(ラ)742号 決定
ところで、民事執行法六六条、民事執行規則四八条に基づき期間入札における買受けの申出人が提供すべき保証として、執行裁判所の預金口座に保証額に相当する金銭を振り込んだ旨の金融機関の証明書を提出する場合においては、右申出人が自己の名で右預金口座に保証額に相当する金銭を振り込んだことの証明書を提出しなければならず、申出人に代わって第三者が保証の提供をすること、又は申出人が他人名義を用いて保証の提供をすることは、いずれも許されないものと解すべきである。買受けの保証金は代金の一部に充当されるのであるから、第三者による保証の提供を許すのは相当ではなく、また、他人名義による保証の提供は、申出人との同一性に疑義を生じ、手続を遅延させるおそれがあるからである。そうすると、前認定の事情のもとにおいては、抗告人が適法に保証の提供をしたものということができない。
なお、本件記録によれば、執行官は、入札書を入れて封をし、開札期日を記載した封筒と入札保証金振込証明書を受領した後に、同証明書に添付された金融機関の証明書によれば、第三者が執行裁判所の預金口座に一定の額の金銭を振り込んだことを発見したので、当該入札を保証のないものとして無効としたのであって、右の処置は正当であったということができる。執行官が、右封筒と証明書を受領した直後には右の事実を発見しなかったとしても、このことにより、当該入札が有効なものとなる理由はない。
(橘 小川 南)