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東京高等裁判所 平成2年(行コ)130号 判決 1990年12月20日

東京都品川区上大崎一丁目四番四号

控訴人

八田昭三

東京都港区高輪三丁目一三番二二号

被控訴人

品川税務署長

右訴訟代理人弁護士

太田黒昔生

右指定代理人

武田みどり

新井宏

砂川功

上賢清

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実

一  控訴人は、「原判決を取り消す、被控訴人が平成元年六月三〇日付けでした控訴人の昭和六二年分所得税の更正及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張及び証拠は、控訴人の当審における主張として次のとおり付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

被控訴人は、三宅ら使用部分は本件特例の適用がないと主張するけれども、三宅らは、東京家庭裁判所における調停成立以前に、本件建物に居住権・使用権がないとされたものであり、この効力は、調停成立後、三宅らが本件建物から退去し、これを明け渡すまで持続するものであるから、本件譲渡当時、本件建物全体の正当な使用権限は、控訴人にあり、三宅ら使用部分についても、本件特例の適用があるものである。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求がなく、これを棄却すべきものと判断するが、その理由は、控訴人の当審における主張に対する判断として次のとおり付加するほかは、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

控訴人は、三宅らは本件調停成立前後を通じて本件建物に居住権・使用権がないとされたものであるから、三宅ら使用部分についても、本件特例の適用がある旨主張する。しかし、本件特例は、建物のうち、居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限って適用されるものであるところ(措置法施行令二四条の二第四項、二三条一項)、本件譲渡物件の譲渡当時、控訴人が本件建物の三宅ら使用部分を自己の居住の用に供していなかったことは争いがないから、三宅ら使用部分については、同人が居住権・使用権を有していたか否かにかかわりなく、本件特例の適用はないものといわなければならない。

二  よって、控訴人の本訴請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 千種秀夫 裁判官 大坪丘 裁判官 近藤壽邦)

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