東京高等裁判所 平成21年(行コ)2号 判決 2009年9月29日
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人の請求を棄却する。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
主文と同旨
第2事案の概要
1 本件は,東京都目黒区の区議会議員である被控訴人が,目黒区長から,平成17年度において交付を受けた政務調査費のうち自己が提起した住民訴訟のために支出した合計13万5725円について,それが違法又は不当な支出であるとして返還を命ずる処分(本件処分)を受けたため,その取消しを求めた事案である。
原審が被控訴人の請求を認容して本件処分を取り消したため,控訴人が控訴した。
2(1) 本件に関する法令等の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の2ないし5に記載(原判決2頁10行目から11頁19行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
(2) 法令等の定めのうち主要なものを掲記すると,以下のとおりである。
ア 平成20年法律第69号による改正前の地方自治法100条13項
「 普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。」
イ 本件改正前条例(平成18年目黒区条例第62号による改正前の目黒区政務調査費の交付に関する条例)10条
「 政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,当該政務調査費を別に定める使途基準に従って使用しなければならない。」
ウ(ア) 本件規程(平成18年目黒区議会告示第1号による改正前の目黒区政務調査費の交付に関する規程)5条
「 条例第10条の使途基準は,別表のとおりとする。」
(イ) 別表
政務調査費使途基準
項目
内容
調査研究費
会派又は議員が行う目黒区の事務及び地方行財政に関する調査研究並びに調査を委託に要する経費
(調査委託費,交通費,宿泊費等)
研修費
会派又は議員が行う研修会,講演会の実施に必要な経費並びに他団体が開催する研修会,講演会等への所属議員及び会派の雇用する職員又は議員及び議員の雇用する職員の参加に要する経費
(会場費,機材借り上げ費,講師謝礼,会費,交通費,宿泊費等)
会議費
会派又は議員における各種会議に要する経費
(会場費,機材借り上げ費,資料印刷費等)
資料作成費
会派又は議員が議会審議に必要な資料を作成するために要する経費
(印刷・製本代,原稿料等)
資料購入費
会派又は議員が行う調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費
(書籍購入代,新聞雑誌購読料等)
広報費
会派又は議員が行う議会活動及び目黒区政に関する政策等の広報活動に要する経費
(広報紙・報告書等印刷費,送料,交通費等)
事務所費
会派又は議員が行う調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費
(事務所の賃借料,管理運営費等)
事務費
会派又は議員が行う調査研究に係る事務遂行に必要な経費
(事務用品・備品購入費,通信費等)
人件費
会派又は議員が行う調査研究を補助する職員を雇用する経費
(給料,手当,社会保険料,賃金等)
( )内は例示
エ 本件申合せ事項(目黒区議会運営委員会による上記政務調査費使途基準のうちの調査研究費に関するもの)
「・タクシー代の支出については議員の良識に任せる。なお,乗車区間を明記する。・プリペイド式のものの支出については,議員1人当たり年額9万円を上限とする。なお,会派の場合は,9万円に会派の人数を掛けた金額を上限とする。・ガソリン代の支出については,議員一人当たり年額12万円を上限とする。なお,会派の場合は,12万円に会派の人数を掛けた金額を上限とする。・法律相談の弁護料は政務調査費として認めない。・月極駐車場は政務調査費としては認めない。」
(3) 前提事実のうち主要なものを掲記すると,以下のとおりである。
ア 目黒区長は,目黒区議会の議決を経た上,平成15年3月,A株式会社に対し,本庁舎跡地等を72億円で売却した。
イ 被控訴人は,平成15年5月から現在に至るまで目黒区議会議員であるが,平成15年6月,目黒区長は本庁舎跡地等の購入希望価格を最高価格の111億1000万円と提案した業者に対して本庁舎跡地等を売却すべきであったとして,目黒区の執行機関を被告として,売却当時の目黒区長らに対してその差額相当額39億1000万円を損害賠償請求するよう求める住民訴訟(別件住民訴訟)を提起した。
ウ 被控訴人は,平成17年2月,目黒区情報公開条例に基づき,目黒区本庁舎跡地等土地利用計画審査委員会の録音テープの開示を請求して開示を受け,これを株式会社Bに依頼して反訳及びダビングさせ,平成17年4月,その費用として3万1775円を支払った(本件支出1)。
エ 被控訴人は,株式会社Cに対し,別件住民訴訟の口頭弁論期日における目黒区職員の証言及び被控訴人本人の供述を反訳した速記録の作成を依頼し,平成17年9月,その費用として7万5600円を支払った(本件支出2)。
オ 被控訴人は,平成18年2月,別件住民訴訟について敗訴判決を受けたことから控訴し,控訴提起の手数料及び予納郵券に用いるために収入印紙1万9500円及び切手8850円を購入し,その費用として合計2万8350円を支払った(本件支出3)。
カ 目黒区監査委員は,住民(議員)からの監査請求につき,平成19年4月,「本件各支出はいずれも住民訴訟のためになされたものであり,政務調査費の使途として認められない。」とする監査結果を公表した。
キ そこで,目黒区長は,被控訴人に対し,平成19年5月1日,平成17年度分の政務調査費のうち13万5725円を返還するよう命じた(本件処分)。
第3当裁判所の判断
1 当裁判所も,被控訴人の本件請求を認容すべきものと判断する。その理由は,下記2に当裁判所の判断を示すほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する判断」に記載(原判決11頁21行目から21頁15行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
すなわち,前記のとおり,平成20年法律第69号による改正前の地方自治法100条13項は「普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができる。」と規定しており,これを受けて,本件改正前条例10条は「政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,当該政務調査費を別に定める使途基準に従って使用しなければならない。」と規定し,本件規程5条の別表(政務調査費使途基準)は,調査研究費について,「会派又は議員が行う目黒区の事務及び地方行財政に関する調査研究並びに調査委託に要する経費」と規定しているが,本件各支出がこれらの規定に違反するものとは認められない。
2 控訴人の主張について
(1)ア 控訴人は,「議員が住民訴訟を提起・追行することは,政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」には当たらない。」旨,「住民訴訟の提起・追行は,住民としての固有の立場において,裁判所に対し,請求内容について法的判断を求め,請求を実現するための弾劾行為といえるものであって,被告とされた執行機関又は職員は,原告の請求に理由があるとないとにかかわらず応訴を余儀なくされ,敗訴した場合には一定の経済的負担を強いられるものである。住民訴訟の提起・追行は政務調査費の使用が許される議員による区政の調査研究活動とは全く異質のものである。」旨を主張する。
イ(ア) そこで検討するに,政務調査費制度は,地方議会の活性化を図り議会の審議能力を強化する目的をもって,地方議員の調査活動の基盤の充実を図る観点から創設されたものであり(乙15),「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行により,地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う役割がますます重要なものとなってきていることにかんがみ,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである。」(最高裁平成17年11月10日第一小法廷決定・民集59巻9号2503頁参照)。そうであれば,民主主義社会における議員の議会活動の重要性にかんがみても,前記の政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」(前記改正前の地方自治法100条13項)ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」(本件規程5条の別表(政務調査費使途基準))はこれを狭く解すべきではなく,明らかに議員の議会活動に反映・寄与しないあるいは反映・寄与の程度が相当に低いと認められる行為を除いて,直接及び間接に議員の議会活動に反映・寄与する行為であれば,これを広く政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」に当たるものと解すべきである。そして,その使用の政治的当否は,最終的には,選挙民の判断に委ねられるべきものである。
(イ) 住民訴訟の制度は,「普通地方公共団体の執行機関又は職員による同法242条1項所定の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が究極的には当該地方公共団体の構成員である住民全体の利益を害するものであるところから,これを防止するため,地方自治の本旨に基づく住民参政の一環として,住民に対しその予防又は是正を裁判所に請求する権能を与え,もって地方財務行政の適正な運営を確保することを目的としたものであって,執行機関又は職員の右財務会計上の行為又は怠る事実の適否ないしその是正の要否について地方公共団体の判断と住民の判断とが相反し対立する場合に,住民が自らの手により違法の防止又は是正をはかることができる点に,制度の本来の意義がある。すなわち,住民の有する右訴権は,地方公共団体の構成員である住民全体の利益を保障するために法律によって特別に認められた参政権の一種であり,その訴訟の原告は,自己の個人的利益のためや地方公共団体そのものの利益のためにではなく,専ら原告を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として地方財政行政の適正化を主張するものであるということができる。」(最高裁昭和53年3月30日第一小法廷判決・民集32巻2号485頁参照)。
(ウ) 以上によれば,議会の活性化を図り議会の審議能力を強化することを目的として交付される政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」,すなわち,直接及び間接に議員の議会活動に反映・寄与し得る行為と,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とする住民訴訟の提起・追行とは,財務会計行為に関しては,その趣旨・目的において重なり合う面があるものというべきであり,住民訴訟の提起・追行も「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」の一環としてなされ得るものと解すべきである。
控訴人は,「政務調査費制度の目的は地方議会の活性化を図ることにあり,そのためには議会の審議能力を強化していくことが不可欠であることから,地方議員の調査研究活動の基盤の充実を図る観点から政務調査費制度が設けられたものであり,他方,住民訴訟制度は,地方財務行政の適正な運営確保を目的とするものであるから,両者が重なり合うことはない。」旨を主張するが,採用することができない。
(エ) しかるところ,被控訴人は本庁舎跡地等の売却に関する別件住民訴訟を含めて多数の住民訴訟を提起・追行しており,被控訴人においては,これらの訴訟を通じて,目黒区の執行機関によりなされる主張等によって目黒区の方針や考え方を知り,また,証拠調べによって証拠資料を入手し,そして,これらの各種資料をその後の議会での審議等に使用しているのである(区議会における質問,ホームページ及び広報紙による区民への情報提供,等。なお,ホームページや広報紙等による区民への情報提供の際に名誉毀損や侮辱にわたらない記載に配慮する必要があることは当然である。)。また,住民訴訟が提起されることにより,それをきっかけとして区政の問題が議論されることにもなり,改善につながることもあり,マスコミを通じて報道される住民訴訟の提起・追行の影響力は決して小さくないものと認められる。
(オ) 被控訴人が提起・追行した本庁舎跡地等の売却に関する別件住民訴訟についても,被控訴人はこの訴訟で入手した各種資料をその後の議会での審議等に使用しており,これは,ひいて,別件住民訴訟の提起・追行が議会の活性化を図ることに役立ちそれが直接及び間接に議員(被控訴人)の議会活動に反映・寄与していることを示すものである。そして,そもそも住民訴訟は専ら住民全体の利益のために行われるものである。そうとすれば,別件住民訴訟の提起・追行は政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」に当たるものというべきである。
したがって,平成17年度において交付を受けた政務調査費の一部を別件住民訴訟のために使用した行為すなわち本件各支出は,政務調査費制度の趣旨に反するものとはいえないというべきであり,違法な支出であるということはできないものである。
もし,住民訴訟の提起・追行に政務調査費を使用することができないとすれば,住民監査請求やそのための資料収集行為,住民監査請求を行う旨の広報紙の作成や区民への配布行為,住民監査請求に関するホームページの作成や変更行為,更には,住民監査請求のための調査行為(地方公共団体の執行機関や職員による財務会計上の違法な行為又は怠る事実の有無の調査行為),等にも政務調査費を使用することができない理となるが,これは明らかに政務調査費制度の趣旨に反するものであろう。
ウ 控訴人は,「政務調査費が「議員の調査研究」に使用されたか否かは,政務調査費が議員活動に役立ったか否かではなく,それがどのような目的で使用されたかを判断基準とすべきである。結果として当該議員が住民訴訟の提起・追行によって区政に関する調査研究を行ったものと評価できるとしても,それをもって当該支出が「議員の調査研究」に使用されたものと判断すべきではない。」旨を主張するが,交付を受けた政務調査費が実際にどのように使用されたかは,政務調査費がそれを使用することが許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」に使用されたものであるか否かを判断する上で重要な要素であるから,控訴人の上記主張は採用することができない。
(2) 控訴人は,「住民訴訟の提起・追行は住民の立場で行うものであり,「議員の調査研究」は議員の資格で行うものであるから,住民訴訟の提起・追行は「議員の調査研究」とはなり得ないものである。」旨,「住民訴訟の提起・追行は一住民としての個人の行為であるから,政務調査費を使用できる対象とはならないものである。」旨を主張する。
しかし,上記のとおり,住民訴訟の提起・追行は政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」の一環として行い得るものであり,それが一住民の立場でも行われ得ることを理由に,議員(住民たる議員)が行う住民訴訟の提起・追行は政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」ではないということはできなから,控訴人の上記主張は採用することができない。
(3) 控訴人は,議員以外の住民が住民訴訟を提起・追行する場合の費用については公費を用いることができないのであるから,議員が住民訴訟を提起・追行する場合においてもその費用については政務調査費を使用することはできないものというべきである。」旨を主張する。
しかし,政務調査費は議員に対して交付されるものであり,議員はこれを「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」に使用することができるのであり,そして,政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」の中に住民訴訟の提起・追行が含まれ得るのであるから,そうであれば,たとえ議員以外の住民が住民訴訟を提起・追行する場合の費用については公費を用いることができないとしても,それをもって議員が住民訴訟を提起・追行する場合にその費用として政務調査費を使用することができないということはできないものである。そのような差異は,議員に対して政務調査費が交付される以上,当然の結果であり,なんら不当なものではない。控訴人の上記主張も採用することができない。
(4) 控訴人は,「住民訴訟を提起・追行する費用は住民自らがそれを負担すべきである。したがって,議員が住民訴訟を提起・追行する場合にそれに要する費用を自ら負担することなく税金(政務調査費)によってまかなうことは,住民訴訟制度の趣旨に反するものである。」旨を主張する。
しかし,政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」の中に住民訴訟の提起・追行が含まれ得る以上,住民訴訟の提起・追行に要する費用を実際に政務調査費によってまかなうか否かは当該議員の裁量に委ねられるべきものであり,住民訴訟の提起・追行に要する費用を政務調査費でまかなったとしても,そのことについて,政治的批難を受けることはあっても,法的批難を受けることはないものというべきである。控訴人の上記主張も採用することができない。
(5) 控訴人は,また,「地方自治法242条の2第12項は「第1項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において,弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは,当該普通地方公共団体に対し,その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。」と定めるところ,住民訴訟を提起して敗訴した住民(議員の身分を有しない住民)は,住民訴訟の提起・追行の費用が全額自己負担となるのに対し,住民である議員は政務調査費を住民訴訟の提起・追行の費用に使用するのであるから,敗訴しても自己負担はなく,このような格差は著しく不公平,不公正である。」旨を主張する。
しかし,政務調査費の使用が許される「議員の調査研究」ないしは「議員が行う目黒区の事務に関する調査研究」の中に住民訴訟の提起・追行が含まれ得る以上,そのような差異はやむを得ないものであって,それを著しく不公平,不公正であるということはできない。
(6) なお,控訴人は,「執行機関から提案された財務会計行為に関わる議案の採決に反対した議員が,当該議決に基づき執行機関である自治体の長によってなされた財務会計行為を住民訴訟によって争う場合において,当該議員が交付を受けた政務調査費の中から住民訴訟の提起・追行に要する費用をまかなうことが容認されるということは,政務調査費制度の創設の趣旨を著しく逸脱するものである。」旨を主張する。
しかし,執行機関から提案された財務会計行為に関わる議案の採決に反対した議員が当該議決に基づき執行機関である自治体の長によってなされた財務会計行為を住民訴訟によって争うことができるものである以上,その住民訴訟の提起・追行の費用を政務調査費によってまかなうことができるか否かは,政務調査費制度の趣旨によって決められるべきものであり,この点については,前記(2)のとおり,住民訴訟の提起・追行の費用を政務調査費によってまかなうことが政務調査費制度の趣旨に反するものとはいえないというべきであるから,控訴人の上記主張も採用することができない。
(7) その他控訴人が控訴理由として主張する点を踏まえて検討しても,上記の判断は変わらない。
第4結論
よって,被控訴人の本件請求を認容した原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 原田敏章 裁判官 北村史雄 裁判官 加藤謙一)