東京高等裁判所 平成21年(行コ)54号 判決 2009年8月05日
控訴人
国
代表者法務大臣
森英介
処分行政庁
総務省人事・恩給局長 村木裕隆
控訴人指定代理人
坂本隆一<他5名>
被控訴人
X
訴訟代理人弁護士
浅野博史
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一控訴の趣旨
一 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
二 上記の部分につき、被控訴人の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
第二事案の概要
一 本件は、旧軍人として昭和一九年に戦病死したA(以下「亡夫」という。)の妻である被控訴人が、平成一七年三月に亡夫と被控訴人との協議離婚が無効であるとの確定判決を得て同年四月に戸籍の訂正をした後、恩給法七三条一項等の関係法令に基づき、昭和二三年法律第一八五号による改正前の恩給法(以下「旧恩給法」という。)七二条一項の「遺族」として、処分行政庁に対し、公務に起因する傷病のため死亡した旧軍人の遺族が受ける扶助料(以下「公務扶助料」という。)の請求をしたところ、処分行政庁から、亡夫の遺族として公務扶助料を受ける権利を有する旨の裁定を受けたものの、被控訴人の請求は、給与事由(戦病死)が生じた日から恩給法等の定める時効期間経過後にされているので特例措置により平成一二年四月以降分のみ支給する旨の通知を受けたため、控訴人に対し、被控訴人には権利の行使につき法律上の障害があったから、その障害がなくなった時点である平成一七年四月が時効の起算点となるべきであり、また法律上の障害が認められないとしても被控訴人には権利行使を期待できない事情があったから、いまだ時効期間は経過していないとして、昭和二八年四月から平成一二年三月までの公務扶助料の合計額及びこれに対する訴えの変更申立書の送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めたものである。
これに対し、控訴人が、被控訴人は亡夫による協議離婚の届出を知った昭和一八年七月以降、いつでも離婚無効確認の訴えを提起して離婚無効確認の判決を受け、離婚の記載を戸籍から削除し、又は、理由中の判断で離婚無効を認定した判決で処分行政庁を拘束する効力を有するものを得た上で、恩給法五条の規定する七年の消滅時効の経過前に公務扶助料を受ける権利の裁定を受けることが客観的に可能な状態にあったから、権利行使についての法律上の障害がない状態であったのであり、そして、支給請求権(支分権)は、公務扶助料を受ける権利(基本権)の発生時から逐次発生し、支給請求権の消滅時効は、それぞれの支給期の到来時から進行するところ、被控訴人は上記の方法で裁定を受けた上、各支給期が到来するごとに支給請求権を行使することが可能であったから、被控訴人の支給請求権の消滅時効は各支給期が到来するごとに進行し、各支給期から五年が経過することにより、援用するまでもなく当然に消滅する(会計法三〇条後段、三一条一項後段)のであり、平成一二年四月以前の公務扶助料の支給請求権は時効により消滅したと主張して争った。
二 原審は、①公務扶助料を含む恩給を受ける権利を取得する「遺族」の範囲は、昭和二二年五月二日までに給与事由の生じた場合については、旧恩給法七二条一項の定めるところによるべきであり(最高裁昭和四四年一二月二四日大法廷判決・民集二三巻一二号二五九五頁)、これによると「遺族」とは、(ア)当該旧軍人の配偶者(夫又は妻)であって、(イ)当該旧軍人の死亡当時これと同一の戸籍内にある者であるとされていることから、無効な協議離婚の届出により旧軍人の死亡当時に戸籍上の配偶者でなかった者については、実体的には無効な協議離婚の届出であっても、その届出が受理されて戸籍に協議離婚の記載がされている以上、創設的届出としての協議離婚の届出の受理処分の法的効力により、処分行政庁としては、その届出に係る戸籍の記載のとおり婚姻が解消されているものとして取り扱わざるを得ず、離婚の無効を前提として配偶者として認定することはできないから、離婚の無効を宣言する判決が確定するまでは、基本権としての公務扶助料を受ける権利及びこれに派生して発生する支分権としての支給請求権のいずれについても、配偶者としてその権利を行使することについては、法律上の障害があるとし、②また、無効な協議離婚の届出によって婚姻関係の実体と戸籍の記載とが齟齬する例外的な事案では、旧恩給法七二条一項が家制度の下での家族の徴表として戸籍の同一性を明文で要件としていること、戸籍の身分関係の公証機能及び手続の安定性にかんがみ、戸籍の訂正により旧軍人の死亡当時これと同一の戸籍内にある状態が回復されることは、基本権としての公務扶助料を受ける権利及びこれに派生して発生する支分権としての支給請求権のいずれについても、その行使要件となるのであり、離婚無効の判決が確定して戸籍の訂正がされるまでの間はその権利の行使につき法律上の障害があると解するのが相当であるとして、被控訴人の請求に係る昭和二八年四月から平成一二年三月までの期間の公務扶助料の支給請求権について、この請求に係る訴えが提起された平成一九年一一月二三日の時点において、基本権としての公務扶助料を受ける権利及び支分権としての支給請求権のいずれについても権利の行使に係る法律上の障害が除去された時から起算して恩給法五条又は会計法三〇条後段に定める時効期間は経過しておらず、いずれも時効により消滅していないとし、被控訴人の請求を認容した(なお、平成一二年三月以前の公務扶助料を支給しない旨の処分の取消しを求める訴については、訴の利益を欠くとして却下したが、被控訴人はこの点につき控訴しておらず、この部分は確定済みである。)。
これに対し、控訴人が不服として本件控訴を申立てた。
三 恩給法等の関係法令の定め、前提事実、争点及び当事者の主張は、当審における控訴人の補充主張を以下のとおり付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」の「一 恩給法及び関係法令の定め等」、「二 前提事実」、「三 争点」の「(2) 原告の公務扶助料の支給請求権に係る消滅時効の成否」及び「四 争点に関する当事者の主張の要旨」の「(2)争点(2)(原告の公務扶助料の支給請求権に係る消滅時効の成否)について」に記載のとおりであるから、これを引用する。
(控訴人の当審における補充主張)
ア 協議離婚の届出の受理処分の法的効力は、届出が適法にされた点についてのみ及ぶものであって、実体的に協議離婚が有効であることにまで及ぶものではなく、協議離婚の届出がされ、戸籍にその事実が記載されたとしても、当事者に離婚の意思がなければ、離婚という身分行為を有効ならしめる本質的要件である離婚の意思の合致がないのであるから、その離婚は当然無効であって、離婚無効確認の裁判を得なくても、他の裁判の前提事実として、又は裁判外で協議離婚が実体的に無効であることを前提として、処分行政庁に対し行政処分を求めることは可能であって、無効な協議離婚の届出の受理処分は、被控訴人が権利を行使するについての法律上の障害とはならない。
イ 旧恩給法七二条一項の「同一戸籍」の要件は、「同一の家に属し又は属すべき者」との意味であり、形式的に同一戸籍に記載されていることを要求するものではなく、戸籍に身分事項の記載が欠缺していたり、誤った記載がされているため、実体的な身分関係と齟齬を来している場合であっても、その者については、旧恩給法七二条一項の遺族に該当する実体的な身分関係を有している以上、戸籍の訂正をして現に同一の戸籍に記載されている状態にするまでもなく、当然に旧恩給法七二条一項の要件を満たしているのであって、基本権としての公務扶助料を受ける権利及びこれに派生して発生する支分権としての支給請求権のいずれについても、その権利行使につき法律上の障害とはならない。
第三当裁判所の判断
一 当裁判所も、被控訴人の請求に係る期間の公務扶助料の支給請求権は時効により消滅しておらず、被控訴人の公務扶助料の請求は認められるべきものと判断する。
その理由は、次のとおり補正し、次項において当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」の一及び三に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決一七頁一九行目末尾から二〇行目の「(答弁書別表一・二)」とあるのを「(平成一九年一一月二日付け控訴人準備書面(1)別表一)」に改める。
(2) 原判決二〇頁一二行目に「昭和二二年五月二日」とあるのを「日本国憲法施行日の前日である昭和二二年五月二日」に改める。
(3) 原判決二〇頁二二行目に「配偶者でなかったもの」とあるのを「配偶者でなかった者」に改める。
(4) 原判決二一頁二五行目の「旧恩給法七三条一項」とあるのを「旧恩給法七二条一項」に改める。
二 控訴人の当審における補充主張について
(1)ア 控訴人は、協議離婚の届出の受理処分の法的効力は、届出が適法にされた点についてのみ及ぶものであって、実体的に協議離婚が有効であることにまで及ぶものではなく、無効な届出が受理されたとしても、その離婚は当然無効であって、離婚無効確認の裁判を得なくても、他の裁判の前提事実として、又は裁判外で協議離婚が実体的に無効であることを前提として、処分行政庁に対し行政処分を求めることは可能であり、処分行政庁としても、これを前提として行政処分を行うことは可能であり、被控訴人が権利を行使するに法律上の障害があったとはいえないと主張する。
イ そこで判断するに、婚姻、離婚、縁組などのように届出によって身分関係が形成される創設的届出においては、戸籍事務管掌者である市町村長が提出された届出の書類を適法なものと判断してこれを受理することにより身分関係が形成され、対世的効力を生じるのであり、一旦、受理された以上は、この受理処分が取り消されない限りは、それが適法にされたものとして取り扱わなければならない。確かに、要件の欠缺がその届出の効力発生要件に関する重要な点についてのものであれば、身分行為は効力を生じないのであるが、一旦、受理されて戸籍に記載された以上、戸籍の窓口への当事者の無効の申立てのみでは訂正することはできず、離婚意思の不存在等の主観的要件につき当事者の供述その他関係証拠に基づいて事実認定がされることを要するところ、形式的審査を前提とする戸籍事務管掌者においては一般的にそうした証拠に基づく事実認定をすることが困難であるから、裁判手続において無効と確認されて初めて戸籍訂正をすることになるのである(戸籍法一一六条等)。
ウ 公務扶助料を受けようとする者は、裁定庁に扶助料請求書と共に戸籍謄本等の定められた添付書類を提出しなければならない(恩給給与規則六条、七条一項)とされているが、これは恩給を受ける権利の裁定を担当する処分行政庁である総務省人事・恩給局長において、離婚意思の不存在等の当事者の主観的要件について、実質的な判断をすることは不可能であるから、形式的な審査を経て適法な届出として受理されている戸籍の記載に従って判断するよう、その提出を義務付けているものと解される。仮に、処分行政庁が、裁判手続におけるような当事者の主張・立証行為あるいは裁判所の職権調査に基づく事実認定に基づくことなく、一方当事者の無効の申立てのみで、適式・適法に受理された戸籍の記載を無効と判断した上、これを前提として裁定を下すとすれば、対世的効力を生じている身分関係に基づく権利を、裁判機関でもない処分行政庁において、法的手続によらずに変更するものであって、これを適法ということができるか疑問がある。したがって、無効な協議離婚が戸籍上に記載されている場合には、まず、裁判手続により離婚無効の確定判決を得て、形式的にせよ対世的効力を生じさせていた真実と異なる協議離婚という戸籍の記載を訂正した上、公務扶助料を受ける権利及び支給請求権の行使をすべきである。さらに、被控訴人が、協議離婚が実体的に無効であることを前提として、処分行政庁に対し、公務扶助料を受ける権利及び支給請求権の行使をしたとしても、処分行政庁が自ら実体的に協議離婚が無効であると判断して、被控訴人について公務扶助料を受ける権利を有するとの裁定をし、支給請求に基づく支給を行う可能性は事実上ない。そうであるとすると、無効な協議離婚の届出が受理されて戸籍にその記載のある者が、処分行政庁に対し公務扶助料を受ける権利及び支給請求権の行使をするについては、離婚無効の判決の確定を得た上、戸籍の訂正をすることがその行使要件となっているものと解される。
エ 控訴人は、公務扶助料の請求を棄却した裁定の取消訴訟を提起して、この訴訟の中で前提問題として、離婚無効の判断を求め、裁定を取り消すことが可能であると主張する。しかし、この点について、原判決も説示するとおり(原判決二五頁)、仮に、離婚無効の認定は可能であるとしても、離婚無効の確定判決に基づく戸籍の訂正がされないままでの請求に対しては、処分行政庁としても、上記のとおり、行使要件を欠くものとして棄却の裁定をせざるを得ないのであり、この場合、処分行政庁の行った裁定は違法とは認められず、裁定取消請求は棄却されることとなるから、結局、被控訴人は権利を行使することができないこととなる。
(2)ア また、控訴人は、旧恩給法七二条一項の「同一戸籍」の要件は、「同一の家に属し又は属すべき者」との意味であり、形式的に同一戸籍に記載されていることを要せず、戸籍に身分事項の記載が欠缺していたり、誤った記載がされているため、実体的な身分関係と齟齬を来している場合であっても、その者が旧恩給法七二条一項の遺族に該当する実体的な身分関係を有している以上、戸籍の訂正をして現に同一の戸籍に記載されている状態にするまでもなく、他の手段で身分関係を立証して、公務扶助料を受ける権利(基本権)及び支給請求権(支分権)のいずれについても、権利行使ができる旨を主張する。
イ そこで判断するに、無効な協議離婚の届出が受理されていることにより「同一戸籍」の要件を欠く配偶者が、本来は「同一の家に属し又は属すべき者」であったとしても、処分行政庁において、適式・適法に受理された協議離婚という戸籍の記載を確定判決による戸籍の訂正によることなしに無効とした上、請求者が旧軍人と「同一の家に属し又は属すべき者」であると判断し、これを前提として公務扶助料を受ける権利の裁定を下すことは、上記(1)ウに述べたとおり、裁判機関ではないことから事実上困難である上、手続上も、恩給裁定請求に際して戸籍謄本が必須の添付書類として提出が義務付けられている(恩給給与規則七条一項二号等)ことからしても、その適法性に疑問があるといわざるを得ない。この点につき、控訴人は、無効な協議離婚の届出は絶対的に無効であると述べ、具体的にその無効であることを判定する立証方法としては陳述書等が考えられるというが、陳述書は控訴人も自認するとおり証明度において十分でないから、実際には処分行政庁における実効的な無効判定の手続を想定することは困難というほかない。そうであるからこそ、控訴人が当審において自認するとおり、現に、処分行政庁において、過去に戸籍訂正をすることなしに、扶助料の給付を認める裁定をした事例が全く存しないのである。すなわち、処分行政庁としては、戸籍が訂正されて「同一戸籍」が実現されない限りは、戸籍上は「其ノ家ヲ去リタルトキ」(旧恩給法七六条、八〇条)として処理せざるを得ないのであり、その者について公務扶助料を受ける権利を認める裁定をし、支給請求に基づく支給をすることは、上記請求手続を定めた恩給給与規則の定めからしてできないものというべきである。
控訴人が引用する行政裁判所昭和一五年五月一三日判決(乙二〇)も、その理由中において、旧恩給法七二条の「戸籍」について、「從来ノ用例ニ徴シ又條理ニ照シ民法ニ所謂家ヲ指稱スルモノト解スルヲ相當トス」とし、したがって、仮に「戸籍ニ記載セラレサルモ公務員ト同一ノ家ニ屬シ又ハ屬スヘキ子ハ恩給法ノ規定ニ從ヒ扶助料ノ給與ヲ受クル權利ヲ有スルモノトス」と判示しつつも、さらに、ただし「遺族カ同法ニ依リ扶助料ノ給與ヲ請求スルニ當リテハ恩給給與規則第七條、第八條又ハ第十條ニ依リ請求者ノ戸籍謄本ヲ添附スルコトヲ要スルカ故ニ公務員ノ子ニシテ扶助料ノ給與ヲ請求セントスルモノハ其ノ請求マテニ戸籍ニ記載セラルルコトヲ要スルハ勿論」と判示しているのであり、結論として、遺族が恩給法による公務扶助料の給付を請求する場合において、同一の戸籍に属すべき者であるのに同一の戸籍に記載されていないときには、その旨の戸籍の訂正をすることが行使要件となる旨を判示しているものと解される。
三(1) 以上の検討によれば、無効の協議離婚の届出がされている場合に配偶者が公務扶助料を受ける権利(基本権)の裁定を受け、及び支給請求権(支分権)を行使するについては、離婚無効確認の確定判決を得て、戸籍の訂正により旧軍人の死亡当時これと同一戸籍内にある状態を回復しなければならないのであり、したがって、離婚無効確認判決が確定して戸籍が訂正されるまでの間は、その権利の行使につき法律上の障害があるものというべきである。本件では、原審の認定するとおり、被控訴人と亡夫との離婚無効確認の判決が確定したのが平成一七年三月一八日であり、この判決に基づく戸籍の訂正がされたのが同年四月五日であるから、同日までは、被控訴人の公務扶助料の請求権(基本権)及び支給請求権(支分権)の行使につき、消滅時効は進行しないというべきである。
そうすると、被控訴人の請求に係る昭和二八年四月から平成一二年三月までの公務扶助料については、本件訴訟においてこの間の公務扶助料の請求に係る訴えが提起された平成一九年一一月二三日の時点において、基本権としての公務扶助料を受ける権利又は支分権としての支給請求権のいずれについても、その「権利を行使することができる時」(権利の行使に係る法律上の障害が除去された時)から起算して七年(恩給法五条)又は五年(会計法三〇条後段)の時効期間はいまだ経過していないと認められるので、被控訴人の請求に係る上記期間の公務扶助料の支給請求権は時効により消滅していないものと解するのが相当である。
(2) なお、控訴人は、権利の行使につき、法律上の障害があっても、自らの行動により、それを除去することが可能であるときには、除去に必要な合理的期間が経過した後は消滅時効が進行する旨主張する。
これは、「権利を行使することができる時」は、法律上の障害がないというだけでなく権利の性質上その権利行使を現実に期待することができることを要する(最高裁昭和四五年七月一五日大法廷判決・民集二四巻七号七七一頁)として、権利を行使できないのに時効が進行するという不都合を生じないよう配慮する見解を逆手にとったものであり、当事者の公平という観点に照らして疑問があるから、採用の限りでない(なお、本件事実関係(原判決一四頁一行目から同一七頁二〇行目まで)の下においては、被控訴人が法律の障害を除去して権利の行使をするまでの間に相当の年数を要したことは、無理からぬところがあるというべきである。)。
四 以上によれば、被控訴人の請求に係る期間の公務扶助料の支給請求は理由があるから認容すべきであり、これと同旨の原判決は相当である。
よって、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 加藤新太郎 裁判官 柴田秀 加藤美枝子)