東京高等裁判所 平成22年(行ス)76号 決定 2010年10月22日
主文
1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は,抗告人の負担とする。
理由
第1抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨及び理由は,別紙「即時抗告の申立て」(写し)記載のとおりである。
第2事案の概要
本件の事案の概要は,原決定の「理由」中の「第2 事案の概要」欄に記載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
1 当裁判所も,本件起訴議決の取消しを行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟の手続によって求める抗告人の本案の訴えは不適法といわざるを得ず,これを本案とする本件申立ても不適法なものとして却下を免れないと判断する。その理由は,原決定3頁18行目から7頁2行目までを次のとおり改めるほか,原決定の「理由」中の「第3 当裁判所の判断」欄の1ないし5に記載のとおりであるからこれを引用する。
「3 我が国において,公訴を提起する権限は,刑事訴訟法247条において「公訴は,検察官がこれを行う。」と規定され,原則として検察官に公訴の権限をゆだねる検察官による起訴独占主義が採用されている。
この検察官による起訴独占主義には,現行法上,二つの例外が認められており,一つがいわゆる付審判請求制度,すなわち,公務員職権濫用罪等の一定の罪につき,告訴等をした者の請求により裁判所が管轄地方裁判所の審判に付する旨の決定(以下「付審判決定」という。)をした場合に,その事件について公訴の提起があったとみなす制度であり(刑事訴訟法262条ないし269条),もう一つが本件で問題とされている検察審査会の起訴議決に基づく公訴提起の制度(いわゆる起訴強制の制度)である。
4(1) このうち,まず,検察官のした公訴の提起に瑕疵がある場合には,刑事訴訟法338条4号等に該当することを主張することによって,当該被告事件の刑事訴訟手続において争うことが予定されている。
次に,付審判請求制度における付審判決定(刑事訴訟法266条2号)についても,当該決定の適否ないし当否については,検察官の公訴提起の場合と同様に,審判に付された被告事件の刑事訴訟手続において争われるべきものである(最高裁昭和52年(し)第105号同年8月25日第一小法廷決定・刑集31巻4号803頁参照)。
このように,刑事訴訟手続において争うことができる以上,行政事件訴訟や民事訴訟とは別個に刑事訴訟を認める我が国の司法制度の下において司法権の運営の機能性,効率性を損なわないようにするためには,検察官のした公訴提起はもとより,付審判決定についても,その瑕疵について,行政事件訴訟又は民事訴訟によって争うことは許されないものと解すべきである。
さらに,本件で問題とされている起訴強制の制度についてみると,起訴議決は,付審判決定のように直ちに公訴の提起があったとみなされるものではないけれども,起訴議決がされると,犯罪事実を記載した議決書の謄本が地方裁判所に送付され,その送付があると,裁判所が検察官役となる指定弁護士を選任し,その上で,指定弁護士は,速やかに,かつ,ほぼ例外なく,公訴を提起しなければならないものである(指定弁護士が公訴を提起する義務を負わないのは,検察審査会法41条の10第1項ただし書各号に該当するときであるが,これらはいずれも訴訟条件が欠けることが客観的に明白な場合であって,指定弁護士には裁量は認められず,極めて限定的な場合であるといえる。)。そして,このような起訴議決から公訴提起に至る手続は,検察審査会法に明確に規定され,しかも起訴に至らない場合は,上記のとおり,極めて限定されており,また,起訴議決から公訴提起に至るまでの間には,検察審査会法上は不服申立ての定めもないものである。そうであるとすれば,起訴議決と指定弁護士による公訴の提起の間には強い一体性・関連性があるというべきであり,その制度設計に照らすと,起訴議決は,検察官の起訴や付審判決定に準ずるものとして取り扱うのが相当であり,起訴議決に瑕疵が存した場合には,検察官の起訴あるいは付審判決定に瑕疵がある場合と同じく,刑事訴訟法338条4号等を根拠に刑事訴訟手続の中で争うことができると解すべきである(本件に即していえば,例えば,指定弁護士による公訴提起の前提となった本件起訴議決が検察審査会法の定める手続に違反したことをもって,「公訴提起の手続がその規定に違反して無効であるとき」(刑事訴訟法338条4号)に該当するとして,公訴棄却判決を求めることが考えられる。)。
そして,起訴強制の制度は,公訴権行使により直截に民意を反映させ,公訴権をゆだねられている検察官が独善に陥ることを防ぐとともに,公訴権行使をより適正なものとし,司法に対する国民の理解と信頼を深めることを期して,検察審査会の起訴議決に基づき公訴が提起される制度として導入されたものであるところ,仮に,起訴議決についてのみ刑事訴訟手続のほかに行政事件訴訟又は民事訴訟で争うことを許せば,起訴議決のみが二重のチェックを受けることになり,検察官の起訴や付審判決定よりも軽んじられているようにも映り,立法趣旨にそぐわない。また,行政事件訴訟や民事訴訟において起訴議決の適否や当否を争い得るものとすると,並行して進む刑事訴訟手続との関係で,相互の手続の進行の調整や双方の判断が矛盾抵触した場合の取扱いなど複雑かつ困難な問題が生じることが予測されるが,それに関する規定は何ら定められていないものである。
以上のようなことも併せて考えると,起訴議決に関する瑕疵についても,検察官の起訴や付審判決定に準じて,刑事訴訟手続においてのみ争われるべきものと解するのが相当であり,行政事件訴訟又は民事訴訟によって争うことは許されないものといわなければならない。
(2) 抗告人は,本件起訴議決の効力を公判手続の以前において抗告訴訟等で争うことが認められなければ,憲法32条所定の裁判を受ける権利が侵害される旨主張する。しかしながら,前記のとおり,起訴議決に瑕疵がある場合には,刑事訴訟手続の中で争うことができるのであるから,本件起訴議決自体に対する不服申立てが認められないからといって,憲法32条に違反することにはならない。
また,抗告人は,本件起訴議決には一見極めて明白で重大な瑕疵があり,無効なものであるから,このような場合には,刑事訴訟を待つまでもなく行政事件訴訟において,早期に救済が図られるべきであると主張する。しかしながら,前記した起訴強制の制度の立法趣旨や起訴議決の性質等に照らせば,起訴議決のみを検察官の起訴や付審判決定と別異に取り扱うことは相当でないから,抗告人の主張を採用することはできない。
さらに,抗告人は,検察審査会による起訴議決は,行政不服審査法の適用除外として同法4条1項ただし書に定められた除外事由にないから,同法に基づく不服申立ての対象となり,ひいては行政事件訴訟の対象になり得るものとして予定されていると主張する。しかし,同項ただし書において明文に規定されているものは行政不服審査法の適用除外になるけれども,この明文の規定に該当しないからといって直ちに行政不服審査の対象となり,ひいては行政事件訴訟の対象となるという関係に立つものとは解されないから,抗告人の主張を採用することはできない。
(3) 以上のとおりであって,抗告人は,本件起訴議決が審査の対象とすることができない犯罪事実を加えてなされたという,検察審査会の権限を逸脱した不存在に近い極めて重大な瑕疵があるから,本件起訴議決自体の取消しを認める必要があると主張するが,そのような瑕疵の有無を含めた本件起訴議決自体の適否は刑事訴訟法に基づく公判手続において争われるべきものであり,前記のような起訴議決の性質に照らす限り,本件起訴議決そのものの取消しを行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟の手続によって求めることは予定されていないものといわざるを得ないから,本件の本案訴訟である取消訴訟は不適法なものといわなければならない。」
2 よって,原決定は相当であり,本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり決定する。
(別紙)
即時抗告の趣旨
1 原決定を取り消す。
2 東京第五検察審査会が平成22年9月14日にした申立人を被疑者とする議決(平成22年東京第五検察審査会審査事件(起相)第1号)に基づく手続の続行(指定弁護士の指定)は,申立人が提起した上記議決の取消訴訟の判決が確定するまで,これを停止する。
3 申立費用及び抗告費用は相手方の負担とする。
との決定を求める。
即時抗告の理由
本申立書においては、執行停止申立書及び平成22年10月17日付けの申立人反論書における主張を改めて援用するとともに、「本案訴訟が不適法である」とした原決定の判断、特に処分性に絞って、これらの書面において触れられていない点を追加し、検察審査会の強制起訴議決及び裁判所による指定弁護士の指定を「行政庁の」処分ではないとする原決定が誤りであり、これは抗告訴訟の対象となる処分であることを述べる。
1.論点:行政処分である強制起訴議決を起訴と同視して行政救済外に放置すべきか
原決定は、つまるところ、検察官のする起訴のみならず、検察審査会の強制起訴議決、それに続き裁判所が行う指定弁護士の指定も刑事司法上の行為であって刑事訴訟手続で争うことができるから行政訴訟ないし民事訴訟は許されない、このように刑事訴訟でしか争えないとしても(行政訴訟を許容しないとしても)、裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害しないとしたものである。
本件は行政訴訟における執行停止、仮の差止を求める申立てであるが、いずれも本案訴訟の適法性がその要件となっているところ、上記の理由で、本件起訴議決及び指定弁護士の指定は、抗告訴訟の対象である処分に該当しないので、本件申立ては不適法としたわけである。
検察官のする起訴は、私人の権利義務を直接に左右する公権力の最たる行為であるから、行政処分の定義には合致するが、刑事訴訟法上の行為であるため、これについて行政訴訟を許容すれば、二つの訴訟手続の間で矛盾抵触が生じるおそれがあり、混乱するので、刑事訴訟でしか争えないとするのが法制度の基本的な理解であろう。
行訴法3条2項の定める「処分」とは、抗告訴訟の対象となる行為であるが、それには、①そもそもいかなる訴訟の対象ともならないか(成熟性がないなど)という問題と、②訴訟としては取り上げるが、抗告訴訟と,それ以外の訴訟(当事者訴訟、民事訴訟、刑事訴訟)のいずれで取り上げるかという問題が混在しているが、起訴を処分ではないと解する場合には、処分概念は、行政訴訟と刑事訴訟の振り分け概念として機能している。すなわち、本件では②の場面が問題とされている。
しかし、本件では、起訴そのものが行政訴訟の対象となっているものではない。起訴に先行する強制起訴議決とそれに続く指定弁護士の指定が訴訟の対象となっている。強制起訴議決の時点、あるいは指定弁護士の指定の時点ではまだ起訴がされていないというに過ぎず(この点は、後述するように付審判決定と大きく異なる点である)、被疑者を必然的に起訴されるべき法的地位に置くだけでなく、起訴されるまでの間に被疑者に対し、逮捕状の請求・執行、勾留の請求等、種々の行為がされる可能性があり、その権利義務を直接に左右する行為であるから、本来は処分である(訴状17頁以下、20頁以下、本件申立書22頁以下)。
なお、同じ検察審査会の議決であっても、第一回目の議決、あるいは強制起訴制度が導入される以前の議決は、起訴に必然的に繋がらないため処分ではないが、そのような考え方を、強制起訴議決の場合に適用することはできない(訴状19頁)。
こうして、本来は処分である強制起訴議決、指定弁護士の指定を、少なくとも起訴との矛盾抵触が生じない時点であるにもかかわらず、あえて刑事訴訟手続上の行為であるとして、行政訴訟の対象から外し、行政救済制度の埒外に置くべきかがここでの論点である。
2.付審判決定と起訴議決の違い
まず、原決定は、検察審査会による起訴議決が、「検察官による起訴及び付審判請求制度における付審判決定と同様」であって、「準司法機関による刑事訴訟に結び付く刑事司法手続上の行為」であるから、「行政庁」の処分には当たらないとするが(原決定6頁)、原決定のこの判断には、以下に述べる通り、誤りがある。
(1)付審判決定と起訴議決の法的性質
まず、検察審査会による起訴議決は、「検察官による起訴及び付審判請求制度における付審判決定」とは明らかに法的性質が異なっている。
原決定も認めるとおり、両制度には大きな点で重要な相違がある。すなわち、刑訴法266条2号による付審判決定があった場合には、その事件について公訴の提起があったものとみなす「公訴提起の擬制」がなされている(刑訴法267条)。したがって、付審判決定は検察官による起訴と同視されるから、明らかに刑事司法手続上の行為であり、行政訴訟による救済は排除される。すなわち、付審判決定に関する手続違背等の瑕疵は、起訴の瑕疵と同じく、その後の刑事訴訟手続で争うべきであり、それに違法があれば判決をもって示される(刑訴法338条4号)ものとされ、その前段階での不服申立ては認められていない(『条解刑事訴訟法』(弘文堂、2009年)§266分538頁)。この点については争いがない。
これに対し、起訴議決については、公訴提起を擬制する規定は置かれておらず、指定弁護士による起訴を必要としているのであり(検審法41条の10)、あえて付審判請求制度と大きく異なる法制度が採用されている。
こうした違いは、付審判決定が、「裁判所」という公正中立な司法機関によって、その適切な裁量による審理方式を経てされるものであり(最決昭和49年3月13日刑集28巻2号1頁)、裁判所が付審判請求そのものとしての理由の有無を裁判所独自の見解により判断する(東京高決昭和32年2月22日高刑10巻1号87頁)ためである。
もし原決定の言うように、起訴議決が付審判決定と同視しうる制度であるならば、付審判決定と同様に、起訴議決についても公訴提起の擬制の規定が置かれるはずであるが、検審法は意図的にそのような法制度を採用していない。それは、検察審査会が裁判所とは全く性質の異なる行政機関であり、その判断が、形式的に見ても実質的に見ても、付審判決定と同視しうるようなものではないからである。
検察審査会の審査ないし再審査においては、付審判請求における裁判所のような高度の法律解釈、事実認定能力を持つ主体による審査がされるわけではない(検審法6条では、法律専門家が検察審査員の職に就くことができないとされている)。起訴議決は、法律専門家である検察官が二度にわたり起訴しないと判断した案件について、くじで選定された法律の非専門家が審査するものであって(審査員の資質は偶然により大きく左右される)、その判断結果の質が付審判決定と異なっていることは言うまでもない。
特に本件のような政治家の案件の審査及び再審査においては、審査員となった一般人がマスコミ報道等による影響を多分に受けている可能性が高く(実際に本件では、申立人に対する政治的な意味での誘導的な報道が頻繁になされてきたところである)、裁判所による付審判決定と起訴議決との質的相違は自明である。検察審査会による審査においては審査補助員の委嘱制度があるとはいえ(検審法41条の4)その数はわずか1名であり(検審法39条の2第2項)、付審判決定における裁判所による審査とはおよそ比べるべくもない(刑訴法265条1項は準起訴手続の審理及び裁判については合議体ですることを要求している)。
また、原決定(5頁)は、起訴強制制度においても、付審判請求制度の場合と同様に、指定弁護士が公訴維持のため検察官の職務を行うとされ(検審法41条の9第3項本文)、法令により公務に従事する職員とみなすといった規定(同条5項)が共通する点を強調しているが、いずれの制度も検察官による起訴独占主義の例外である以上、検察官ではなく指定弁護士による公訴維持の制度を採用するのはむしろ当然であって、原決定の指摘する点は、両制度の同質性の根拠となるものではない。
なお、原決定は、検察審査会が準司法機関であることを強調するようにも読める(原決定が「準司法機関」という書葉をどのような意味で用いているのかは必ずしも明らかではない)が、検察審査会は対審手続で証拠に基づいて判断する機関ではないから、司法に「準ずる」ということはできない。単に民主主義の要請から普通の市民が議論して判断する普通の行政機関に過ぎない。仮に検察庁に代わって起訴に関する判断をする機関であることを重視し検察庁に準ずる機関という意味で準司法機関であるとしても、公訴権行使の適正を図る行政機関に過ぎず、司法権の一翼を担うような機関ではないから、司法に「準ずる」とは言い難い。
また、検察審査会が準司法機関といえるかどうかはともかくとしても、判断主体が準司法機関であることそれ自体は、行政事件訴訟ないし民事訴訟を否定する理由とはなりえない。例えば、公正取引委員会が準司法手続を経て行った審決は、審級省略がされるものの、当然に行政訴訟の対象となる(独占禁止法85条)。
(2)刑事訴訟手続上の位置づけの違い
付審判請求制度は刑事訴訟法に規定されており、同法の体系の下にあるが、起訴強制制度は検察審査会法に規定されており、刑事訴訟法上とは異なる思想に由来する制度である。
そもそも付審判請求制度は、検察官による公訴権行使が、公務員職権濫用罪等、仲間内であるなどの理由により起訴が必ずしも適切に行われない犯罪類型に限定して(刑訴法262条)特に検察官の起訴独占主義の例外として、「裁判所を介入」させて、定型的にその適正を図ろうとする制度であるのに対し、検察審査会による起訴強制制度は、罪名にかかわらず広く一般的に、公訴権行使について「民意を反映」させることで適正を図ろうとする制度であって(検審法第1条)、同じ起訴独占主義の例外ではあっても、制度目的が全く異なっている。
この点、原決定(5頁)が指摘する「裁判所による付審判決定と検察審査会による起訴議決との双方が行われる場合の調整規定が置かれている」との点は、同じ権限を有する機関が複数あるために矛盾しないように調整しなければならない(二重起訴にならないように必要な調整をしている)だけであって(疎乙1号証87頁参照)、付審判決定と起訴議決の同質性を裏付けるものではない。共に起訴独占主義の例外であるからといって、制度趣旨が同一であるとは限らない。刑訴法267条の2や検審法41条の10第1項2号、41条の12等の規定は、むしろ両制度の異質性を裏付けるものなのである。
また、付審判請求に対する棄却決定(刑訴法266条1号)に対しては、刑訴法419条による抗告をすることができるが(最大決昭和32年2月22日刑集7巻13号1595頁)、これに対して、検察審査会により公訴を提起しない処分を相当とする議決(検審法39条の5第1項第3号)がなされても、審査申立人による不服申立ての手続は特に規定されていない。
(3)行政不服審査法4条1項ただし書き非該当について
また、原決定は、行審法4条1項ただし書きに起訴議決が掲げられていないのは、性質上当然に行政不服審査法の対象とならないためであるとする(6頁)。
しかし、同条は、検察官が刑事事件に関する法令に基づき行う処分を不服申立ての対象から除外しつつ、起訴議決について行政不服審査を明示的には排除していないのであるから、同条に起訴議決が掲げられていないことが、行審法の審査対象性を肯定する論拠とならないとしても、審査対象性を否定することの論拠ともならないはずである。
当然のことながら、起訴議決や指定弁護士の指定について行政不服審査が許されないとした最高裁判例や下級審判例はない。1で述べた通り、起訴議決及び指定弁護士の指定は行政処分として抗告訴訟の対象となるから、当然に行政不服審査も可能であるところ、申立人は、行訴法8条の定める自由選択主義の下で、行政事件訴訟の提起を選択したというに過ぎない。
(4)まとめ
以上から、付審判決定と起訴議決を同質のものと理解し、それを理由として、起訴議決の違法を行政事件訴訟で争うことはできないとし、本案訴訟が不適法とする原決定は誤りであり、取り消されるべきである。
3.司法救済の実効性
(1)刑事訴訟に結びつくことから行政訴訟で争うことはできないと簡単に決めつけてはならないこと
原決定6頁は、起訴議決が「刑事訴訟に結び付く刑事司法手続上の行為」であるとして、それを根拠にあっさりと「行政事件訴訟や民事訴訟で争うことは許されない」とするが、本件はそのように単純に割り切れるような類の問題ではない。
本件のように、「行政事件訴訟と刑事訴訟との接点にある問題」については、裁判実務家の見解によれば、「当該行為は勧告であるが、後に刑事罰が予定されているもの」は処分かについて、「刑事罰である以上,起訴された段階で,有罪を争うことはもちろん可能ではあるが,そのために,起訴というそれ自体相当の負担である処分を受けることを覚悟しなければならないという点である。」ことが指摘されている。そして、「後に刑事事件で争うことのみを予定した立法政策を採っているか、刑事事件で起訴されること自体を不利益処分であるとみて、それ以前の段階でこれを争う余地を認める立法政策を採っているかの解釈問題である」とされる(司法研修所編『改訂行政事件訴訟の一般的問題に関する実務的研究』(法曹会、2000年)29頁)。
上記2のとおり、付審判決定とは異なり、強制起訴議決と指定弁護士の指定については、検察審査会法は、刑事事件においてのみ違法を争うべきであるとの立法政策を採っているとは言い難い(少なくともそれが法律上明示的ではないことは明らかである)。
(2)抗告訴訟の許否は権利救済の実効性の観点から検討すべきこと
ここで最初に確認しなければならないことは、憲法32条の定める裁判を受ける権利の実効性を確保するという視点である。これは平成17年に施行された行政事件訴訟法の改正における基本的な考え方として、一般に承認され、前提とされるべきことである。単に、形式的な意味で裁判が行われるというだけではなく、違法な権利の侵害ないし義務の賦課に対しては、それが必要な場合にはできるだけ早期に適切な救済を図るべきものである。
最高裁においては、抗告訴訟の対象となる「処分」概念は、伝統的な行政行為から離れ、司法救済の実効性確保の観点から、柔軟な解釈がなされている。上記立法政策の解釈についても、行政訴訟の対象を狭く解釈する見解はすでに過去のものである。
本件申立書22~24頁及び反論書3~5頁以下においても述べたように、その適例は土地区画整理事業計画の処分性を認めた最大判平成20年9月10日(民集62巻8号2029頁)であるが、そのほか、医療機関に対する減床勧告の処分性を認めた最高裁平成17年7月15日(民集59巻6号1661頁)、検疫所長が行う食品衛生法に違反する旨の通知を処分とした最判平成16年4月26日(民集58巻4号989頁)を挙げよう。この点は、代理人の1人である阿部泰隆の著書『行政法解釈学Ⅱ』の該当頁を添付する。
(3)紛争の成熟性と早期救済の必要、刑事訴訟と行政訴訟の関係
本件は、付審判決定とは異なり、起訴前の行政訴訟の提起であるから、刑事起訴手続は未だ発動されておらず、訴訟手続が二重になることはない。そこで、いずれ(将来)刑事訴訟でも争える事案を早期に行政訴訟で争わせることは、刑事訴訟制度にとって障害となるのか、早期に行政訴訟で争わせなくても、権利救済の実効性を害しないのではないかが、ここでの論点になる。
まず、紛争が成熟していれば司法救済が可能であり、後の時点での司法審査によるのでは権利救済が必ずしも実効的でないならば、あえて司法審査を遅らせるべきではなく、早期に争わせるべきである。
近時の最高裁は、前記の医療機関に対する減床勧告、食品衛生法の通告、土地区画整理事業計画などに関して、このような考え方に立ち、これまでの判例とは異なり、いわゆる処分性を認めて、早期に抗告訴訟の対象とすることを許容している。
たとえば、土地区画整理事業計画の処分性については、もともと、それに基づく仮換地、換地処分がなされた段階で取消訴訟を提起しうるから、事業計画の段階では司法救済は必要ないとされてきた。それが最大判昭和41年2月23日民集20巻2号271頁のいわゆる「青写真判決」である。しかし、仮換地、換地処分に関する固有の瑕疵ならば、その段階でしか争えないのは当然であるが、事業計画段階の瑕疵(例えば減歩率の過大さ、道路計画が住宅地を破壊するなど計画に公益性がないこと、必要のない区域を取り込んだ過大な事業区域、長期間放置された計画など)ならば、すでに争点は事業計画段階で成熟しているから、この段階で争わせることが可能であるだけでなく、むしろこの段階で争わせる方が、当事者の権利救済にとって必要かつ適切である。あえて司法審査の時期を遅らせて後の段階でしか争えないとする理由がない。したがって、最高裁は、権利救済の実効性の観点から、処分性を広げるべく、判例を変更したのである。
原決定は、後に指定弁護士により起訴されてから争えば足りるという立場を採っている。確かに、犯罪事実の有無それ自体が争点であれば、起訴されてから争うべきだという考えに合理性はあろう。
しかし、本件で争点となっているのはそうではなく、検察審査会が、二度同一の被疑事実について議決しなければ強制起訴できないところ、二度目の議決において初めて登場した論点(a会が申立人から4億円を借り入れたのに収支報告書に記載しなかったとされる事実)で議決していることから、そもそも検察審査会の議決が、犯罪事実の有無の問題とは別に、二度議決したことにはならず、権限を越えているのではないかということが争点となっている(この点は訴状6頁以下、本件申立書11頁以下に詳述したとおりである)。
要するに、本件においては、検察審査会の議決固有の瑕疵が争われているのであるから、紛争はこの段階で成熟しており、これ以上成熟することもない。したがって、後に起訴されてから刑事訴訟手続において争えるという理由で行政訴訟を否定し、ことさらに起訴されるまで司法審査を延期する理由はないのである。
しかも、原決定のように、起訴されるまで、検察審査会の議決の違法を争えないとされると、申立人は、検察審査会の議決後、起訴前であっても、被告人に近い社会的評価を受け、政治活動が大幅に制限されるだけでなく、指定弁護士が起訴に向けて捜査、取り調べを行うので、大幅に自由を奪われる(訴状22頁以下、本件申立書7頁)。のみならず、検察審査会が権限逸脱していたとしても、起訴されれば、前記裁判実務家が認めるように「起訴というそれ自体相当の負担」を受けることになる。これは、大変な金銭的負担を負わされるということだけでなく、刑事訴訟手続において被告人となり、公判廷で「被告人、前へ」といわれるのであり、国民に対し到底耐えられない苦痛を無駄に与えるものである。
とりわけ本件申立人の場合には、所属政党を離党せよ等という形で種々の圧力がかかり、政治活動はさらに大幅に制限される。検察審査会の議決に固有の違法を明らかにするために、このような負担と苦難を味合わせなければならない理由はないのである。
特に本件は、本件申立書(11~22頁)において詳述した通り、起訴議決に無効と言える瑕疵、少なくとも違法な瑕疵がある事案であり、強制起訴されること自体が違法であることが明らかな事案である。このような場合において、違法な起訴議決のために、刑事被告人として、無用な刑事手続においての防御を余儀なくされるとすれば、それは余りにも酷であり、行政訴訟を許容しなければ実効的な司法救済を図ることができない。検察審査会による権限逸脱は、起訴の前に是正されなければならないのであって、行政訴訟を否定し、刑事訴追まで待たせ、その手続中でしか主張できないとしなければならない必要性はどこにもない。
他方、この場合に、検察審査会の議決及びそれに基づく指定弁護士の指定を取り消すこととしたところで、取消事由があるのであれば、いずれ起訴された後で、そのことを理由に公訴棄却になるのであるから、国家的利益は何ら失われない。
このように、本件は、起訴そのものの違法ではなく、それに先行する行政行為の違法ないし無効を巡る争いである。起訴議決固有の瑕疵を、起訴を待たずに、争点が成熟した段階で争わせることは、権利救済の実効性を充実させるものとして、裁判を受ける権利の保障の観点から見て適切であることはもちろん、刑事司法の機能を害することがなく、違法で無用の刑事訴訟を回避しうるという意味では刑事司法にとっても有益である。起訴議決固有の瑕疵をあえて起訴を待って争えというのは、これらの点に配慮することなく、単に起訴と同じ刑事司法上の行為であると決めつけているにすぎないもので、行政訴訟における最近の最高裁判所の考え方や学説が示してきた発展に反するものである。ここで、逆行した判断をすべきではない。
(4)検察審査会の起訴議決という例外制度による負担を被疑者に負わせるべきではないこと
起訴独占主義の下では、検察官が不起訴処分をした場合には、本来、被疑者は刑事訴追のおそれから解放されるはずである。それにもかかわらず、検察審査会による起訴相当議決がされれば、検察官は不起訴処分を再考しなければならず、被疑者は再び刑事訴追のおそれを受けることになる。さらに現行検審法は再審査の場合には起訴強制制度を採用したのであり、これは例外中の例外であると言える。本来ならば起訴独占主義の下で刑事訴追から自由であったはずの被疑者が、特別に創設された行政手続によって、刑事訴追の危険にさらされるのであるから、そのような手続は適法であることが当然であり、手続の瑕疵の負担を被疑者に負わせるべきではない。
本件申立書(6~11頁)で述べたように、特に申立人のような有力な政治家にとって「起訴」は致命的な打撃となりかねないが、一般人であっても起訴は極めて大きな打撃であって、違法な行政判断と行政手続のためにそのような負担を国民が甘受しなければならない言われはない。これをできるだけ避けるためには、早期の救済機能を持つ行政訴訟の対象とすることが是非とも必要なのである。
そして、上記のとおり、起訴議決は、付審判決定とは質的に見ても手続的に見ても本質的に異なる法的性質を持つ行政判断であるところ、そのような判断の違法性を、付審判決定の場合と同様に後続の刑事手続の中で争わせるというのは、制度上無理があると言わざるを得ない。
(5)当事者訴訟の活用の観点から
以上と同様の問題意識は、国民の権利利益の救済制度を拡充した平成16年の行政事件訴訟法改正の際にも、同法4条の確認訴訟の活用という点で強調されていたところであり、上記のような理解は改正行政事件訴訟法の解釈として適切である。
例えば、墓地埋葬法の解釈に関する通達(その宗派の宗教的感情を著しく害するおそれがある場合には、墓地埋葬法13条の「正当の理由」があるものとして埋葬等を拒んでも差し支えないという内容の通達を、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由として求めを拒むことは「正当の理由」によるものとは認められないと変更した通達)が問題となった事件(最判昭43年12月24日民集22巻13号3147頁、判時548号59頁)については、通達の処分性が否定され、行政事件訴訟による救済が否定されていたため、刑事訴訟においてしか通達の違法を争うことができないと理解されていた。しかし、改正行訴法のもとで、公法上の実質的当事者訴訟としての確認訴訟(行訴法4条)を活用すべきものとされ、現在では一般に、異教徒の埋葬の求めに応じる墓地埋葬法上の義務がないことの確認訴訟による救済を求めることができると理解されているのである。これは、刑事訴訟でしか争わせないのは酷であるとして、その前段階で行政事件訴訟による救済を許容するものである。
また、かねて薬局の開設を登録制から許可制に改めた薬事法の改正が憲法違反であると主張して、既に登録を受けている者が改正後でも許可を受けずに引き続き薬局の営業をすることができることの確認を求めた訴えが適法とされている(最判昭和41年7月20日判時460号45頁)。これは、許可を不要だと考える者が薬事法に基づく許可を得ずに無許可営業をし、無許可営業に関する刑事手続の中で薬事法の違憲を争わせるのは国民にとって酷であることから、刑事訴訟の前段階における行政事件訴訟による救済を許容したものである。この点は、国会答弁でも確認されているところである(A政府参考人答弁(衆議院法務委員会平成16年4月27日))。
これらは、行政判断の違法を刑事手続の中で争わせることが国民にとって酷であることから、司法救済の実効性確保の観点に立ち、行政事件訴訟の役割を拡大するという平成16年改正の趣旨を踏まえた正当な理解であって、近時の最高裁判例もこのようなスタンスを採っている。
本件においても、国民が違法無効な起訴議決を刑事訴訟の中でしか争えないと解釈することは、平成16年改正の趣旨に悖るものであると言わざるを得ず、原決定は誤りであると言うほかない。
なお、本件では本案訴訟として、地位確認訴訟を提起している(請求の趣旨第3項、訴状25頁4以下)。
(6)反則金通告の処分性否定判例との関係
道路交通法の反則金通告の処分性を否定した判例(最判昭和57年7月15日民集36巻6号1169頁)は、通告の処分性を認めて行政訴訟を許容すると、「本来刑事手続における審理対象として予定している事項を行政訴訟手続で審判することとなり、また、刑事手続と行政訴訟手続の関係について複雑困難な問題を生ずるのであって、同法がこのような結果を予想し、これを容認しているものとは到底考えられない」とする。原決定はこれをも考慮している可能性がある。
しかし、昭和57年最判と本件では問題状況が異なる。同最判は、反則金の通告について、刑事訴訟手続が用意されているところ、取消訴訟の提起を許容すると、二つの訴訟の間の調整が必要になるという問題を指摘するものである。これに対し、起訴と強制起訴の議決は、同時に進行するものではなく、これら二つの調整はさしあたり問題とはならないから、同最判の射程外というべきである。しかも、同最判の処分性論は刑事手続と行政事件訴訟の分担関係を基礎としたものであって、強制起訴議決の段階で固有の違法がある場合を想定するものではないので、ますます本件の先例とはならない。
(7)まとめ
以上の通り、司法救済の実効性確保の観点を踏まえるならば、本件において検察審査会の起訴議決固有の瑕疵を争う手段を刑事訴訟のみとして、行政訴訟が排除されると理解すべきではなく、本案訴訟は適法に係属しており、原決定は取り消されるべきである。
4.少なくとも起訴議決が無効の場合には行政訴訟が許容されるべきである
仮に原決定の判断が正当であるとしても、それは起訴議決固有の瑕疵が違法事由にとどまる場合であって、その瑕疵が無効事由である場合には相当しないと言うべきである。
すなわち、行政訴訟制度上、行政判断が違法である場合と、無効(重大かつ明白な違法)である場合には、司法救済における取り扱いに明白な違いが設けられている。無効確認訴訟は出訴期間の制約を受けず、いつでも無効の主張が許容されているし、無効な行政処分には公定力が及ばず、例えば、行政処分が無効や不存在であることを前提とすれば、私法上の法律関係に関する民事訴訟である争点訴訟を提起することも可能とされている(行訴法45条)。このように、無効の行政判断については、特別の訴訟制度が用意されているのである。これは、無効な行政処分による不利益を国民に甘受させるべきでないと考えられているからである。
検察審査会法のもとで、例えば一度のみの審理で起訴議決がされたような場合、起訴議決は明らかに違法かつ無効である。あるいは検察審査員11名のうち8名という特別多数が得られないにもかかわらず起訴議決をしたような場合も同様である。
このような場合であっても、裁判所は指定弁護士を指定せねばならず、指定弁護士は起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならないのであろうか。被疑者は、全く無関係であるにもかかわらず、起訴議決の無効を争うことが出来ず、あえて公訴提起を待って、一見明白に違法で無用の刑事手続の中で無効を主張しなければならないのであろうか。そのようなことはないはずである。
このように、起訴議決に重大かつ明白な違法がある場合には、その後の刑事手続を進めることは許されないのであり、検審法の起訴強制制度も、明らかに重大かつ違法で無用の刑事手続を被疑者たる国民に受忍させるものではない。
原決定(5頁)は、指定弁護士は速やかに起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならず、この点に裁量の余地はないとするが、裁量の余地がないとしても、裁量以前の問題として、公訴提起の要件を欠く事態は想定しうる。結局、原決定は、起訴議決が有効である(行政処分は公定力により違法であっても取り消されるまでは有効である)ことを前提とした判断であって、起訴議決が無効である場合には当てはまらない。すなわち、検審法41条の10第1項も起訴議決が少なくとも有効であることを前提とした規定であって、起訴議決に重大かつ明白な違法があり、無効である場合には適用の前提を欠くというべきである。
そして本件申立書(11~22頁)で主張したように、本件においては、起訴議決に重大かつ明白な違法があり、無効であるから、申立人に刑事手続を受忍させる前提を欠く。したがって、本件のような場合には行政事件訴訟は排除されない。
なお、本件の本案訴訟は起訴議決の取消訴訟であるが、無効事由は違法事由を含む(大は小を兼ねる)から、取消訴訟において無効事由を主張することは許容される。
5.行政訴訟と刑事訴訟の関係について
この点、本件の本案訴訟が適法とされ、指定弁護士による公訴提起がされた場合、刑事訴訟においても起訴議決の有効性が争点とされるであろうから、同一の争点につき異なる裁判所が判断することになり、裁判所の判断に矛盾が生ずるおそれがあるとの懸念があるかも知れない。
しかし、既述のとおり、被疑者が違法な起訴議決により無用の刑事手続を受忍せねばならないいわれはなく、行政訴訟による救済を否定する理由とはならない。むしろ判断の矛盾を回避すべく、違法な手続の続行をさせないように、執行停止を認容する必要が高いのである。
なお、この点については、少なくとも、起訴がなされた段階に取消訴訟が訴えの利益を失うと理解すれば(念のため、申立人はそのような立場に立たないことを付言しておく)、判断の矛盾は生じないから、提訴段階から行政訴訟を不適法にする論拠とはならない。もっとも、むしろそうした考えは逆であって、司法救済の実効性確保の観点から行政訴訟を先行させたのであるから、刑事手続は、行政訴訟の結論を待つという考え方を取るべきである。少なくとも、最初から行政訴訟を不適法にする必要はない。
最後に
本件で相手方が主張しており、原決定でも理由としているのは、本件検察審査会の強制起訴議決が行政訴訟の対象とならないので、本案訴訟は不適法であるというものである。そこで、本即時抗告についてもこの点に絞って反論した。執行停止の要件のうちそれ以外の点については相手方の反論も原審の判断もない。申立人は、この点に関する申立書の主張は正しいと信じているが、貴裁判所がこれにもし疑問を感じられることがあれば、釈明して頂きたく、お願いする。
添付書類
阿部泰隆『行政法解釈学Ⅱ』111~119頁。
「添付書類<省略>」