東京高等裁判所 平成3年(ラ)140号 決定
宗教法人法は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的として定められたものであり(同法一条一項)、同法八一条の宗教法人に対する解散命令は、同条一項所定の事由がある場合には、同法の目的にそわないものとして、当該宗教法人に解散を命じてその法律上の能力を否定する権限を裁判所に認めたものである。もとより、憲法二〇条のほか、宗教法人法一条二項、八五条の規定の趣旨に鑑みれば、当該宗教法人の宗教上の教義、信仰に関する事項については、国の干渉からの自由が保障されており、裁判所としても、その自由に介入すべきではなく、右事項に関しては、一切の審判権を有しないものであるが、右宗教上の教義、信仰に関する事項に関しない前記宗教法人法八一条一項所定の事由の存否の判断は、裁判所に課された責務であり、当該宗教法人が任意解散の手続に着手していた場合にその自治を尊重すべき場合のあることは否定できないとしても、当然にその自治が優先するものではないというべきである。
しかして、前記認定の事実によれば、抗告人は、宗教法人として設立されたものの、その実態は、もっぱら東洋護謨化学の役員、従業員等の関係者の福利厚生、互助を目的とした組織であり、宗教法人としたのは節税のため形式を装ったにすぎないものであったと認められるうえ、その解散手続についても、その手続等に疑問な点が窺われ、当事者による自治的清算に委ねるのが相当であるとは、到底認めることができない。
(越山 武田 桐ヶ谷)