東京高等裁判所 平成3年(ラ)269号 決定
ところで、住所とは生活の本拠をさすものであるが、民事訴訟法一〇七条が、日本に住所を有しない原告に訴訟費用の担保供与義務を課したのは、訴訟の結果原告が敗訴し訴訟費用の負担を命ぜられても、原告が日本に住所等有していないときは、被告は訴訟費用の償還請求権について終局的に弁済を受けることができないおそれがあることによるものだから、日本に住所を有するかどうかについては、右観点から検討すべきである。ところで、相手方石野典嗣、同二岡夢、同石川由美子を除く相手方らは、現在アメリカ合衆国の大学又は大学院に通学し、その所在地に居住するものであるが、このような場合は、現在の生活の本拠が当該滞在地に存在し、右滞在地が各相手方の居所であることは否定できないが、その居住が大学等への通学目的であることからすると、通学目的が終了後も現在の滞在地又はその他の外国を生活の本拠を定めることが明らかとはいえず、前記認定事実によれば、むしろ一時的にアメリカ合衆国に滞在しているにすぎず、その多くは日本に帰宅するものと推認される。しかも、右相手方らは、その殆どが留学前には高校生として親元である住民票所在地に現に居住していたものであり、そこに家族がいて、相手方ら所有の動産が置いてあるものである。そうすると、このような場合においては、日本に居所がないため、訴訟費用の償還請求権について終局的に弁済を受けることができないおそれが生じるとはいうことができない。
(鬼頭 渡邉 富田)