東京高等裁判所 平成4年(く)110号 決定
各所論は、保護処分の取消しにつき、その保護処分の継続中であることを要するのは、年令の詐称等により少年と誤認された成人が、その保護処分の取消しにより、再び刑事処分を受けるおそれがあるような不利益的再審に限るのであって、非行事実の不存在を理由とする利益的再審の場合には、保護処分の継続中であることを要しないものと解すべきであり、仮に、保護処分の継続中であることを要するとしても、非行事実の不存在を理由とする保護処分の取消しについては、保護処分終了後であっても少年法二七条の二第一項を準用ないし類推適用されるべきである旨主張する。
しかしながら、保護処分の取消しに関し、少年法二七条の二第一項は、保護処分の継続中であることを要するとした点につき、所論のような不利益的再審の場合に限る旨特に限定しておらず、利益的再審の場合をも含めた保護処分の取消し総てについて規定したものであることは、同項の規定自体から明らかであって、所論のように取消事由を二分し、そのうちの不利益的再審の場合は保護処分の継続中であることを要するが、非行事実の不存在を理由とする利益的再審の場合は保護処分終了後であっても、その取消しが出来るとは到底解されない上、前記説示のとおり、少年法二七条の二第一項の立法趣旨が非行事実の不存在が明らかにされた少年に対し、将来に向かってその保護処分から解放する手続等を規定したものであって、名誉の回復を目的とするものでないことなどに鑑みると、同項を保護処分終了後の取消しに準用ないし類推適用する余地はないものというべきである。
(半谷 新田 浜井)