大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

東京高等裁判所 平成4年(行ス)6号 決定 1992年7月29日

抗告人

別紙抗告人目録記載のとおり

抗告人ら代理人弁護士

後藤孝典

渡辺博

和久田修

主文

本件抗告を棄却する。

理由

一本件抗告の趣旨は、「原決定を取消す。東京地方裁判所は、平成三年行ウ第一三三号都市計画事業認可処分等取消請求事件について、抗告人らが納付した手数料金一五七万六四九七円のうち、過納手数料金一五七万六四〇〇円を抗告人らに還付せよ。」というものであり、その理由は、別紙抗告人提出の意見書記載のとおりである。

二本案事件の訴状の記載及び記録中の各資料によれば、抗告人らの本案事件の訴えについての請求の趣旨、原因は、原決定の第二の一記載のとおりであると認められ、これによれば、本件訴えに係る各請求は、原決定の判示するように財産権上の請求でない請求(以下「非財産権上の請求」という。)に当たるものというべきである。

三そこで抗告理由について検討する。

1  抗告人らは、民事訴訟費用等に関する法律(以下「法」という。)四条一項、民事訴訟法二三条一項は、財産権上の請求についての規定であり、一つの訴えで複数の非財産権上の請求をなす場合は、請求の個数にかかわらず、原則として訴額は九五万円であって、このことは法四条二項に非財産権上の請求の併合に関する規定がないことからも明らかである旨主張する。

しかしながら、法四条一項が、訴額の算定方法一般を定めた規定であることはその文理上明らかであるし、実質的に考えても、非財産権上の請求には経済的利益はないにしても、訴えによって受ける利益はあるのであるから、それらのすべてについて、請求の個数にかかわらず、常に訴額を一律に九五万円とすることが合理性を持つとはいいがたい。

なお、抗告人らは、原則的には前記のような解釈をとりながら、複数の請求が相互に全く関連性のないものであり、本来各別に提訴すべきものと明らかにいえるような場合には合算方式をとるべきである旨主張するが、法四条の解釈として右のような考え方をとる以上、例外を設ける根拠はなく、このことはそもそも右のような解釈が無理であることを示すものといえよう。

抗告人らの引用する判例(大判明治三〇年六月一九日大審院民事判決録第三輯第六巻五三頁)は、法(現行の民事訴訟費用等に関する法律)施行前のものであり、現行の法の解釈としてそのまま妥当するものではない。なお、法施行に伴い廃止された民事訴訟用印紙法では、二条一項で、財産権上の請求に係る訴状に貼用すべき印紙の額について定め、その二項で訴訟物の価額を算定するには民事訴訟法二二条一項及び二三条の規定に従うとし、三条で非財産権上の請求の訴状に貼用すべき印紙について定めていたことから、民事訴訟用印紙法の解釈の上では、文理上、民事訴訟法二二条一項及び二三条の規定は、財産権上の請求についてのみ適用されると解される余地もあったが、現行の法の規定からすれば、文理上このような解釈をとる余地はない。このことは、法立案者の明言する(内田恒夫・野崎幸雄著「民事訴訟費用等に関する法律の解説一三八頁)ところである。

2  抗告人らは、本件各事業は不可分一体のものであるから、本件訴えに係る各請求についての利益は別個独立のものとはいえないとする。

しかしながら、本件各事業は、本件各認可処分の名宛人(事業施行者)が異なることはもちろん、事業地、事業内容も異なり、法的には明らかに別個独立の事業である。

また、その事業内容も、たしかに現段階では、相互に密接な関連性を有するものとして計画されているけれども、それが事業本来の性格に基づく必然的なものとは認めがたいのであるから、情勢の変化により(なお本件各認可処分は、それぞれ別個の処分であるし、その違法性として抗告人らが主張するところも、必ずしも同一ではないのであるから、本件各認可処分の取消請求についての裁判所の判断が異なったものになる可能性もないとはいえない。)、計画に変更が生じ、それらの関連性にも変更が生じてくる可能性は否定できない。

このようにみてくると、本件各認可処分の取消を求める請求は、それぞれ別個の法律関係に関するものであり、本件各認可処分によって申立人らの権利ないし利益が侵害されるとすれば、それはその対象である本件各事業の各別の侵害行為に基づくものであって、これら二つの請求にかかる利益が重複するとか、一方が他方を吸収するとかの場合ではないのであるから、右各請求についての利益は別個独立なものであるといわざるを得ない。

3  抗告人らは、本件訴えは、合併無効の訴えと同様、判決の合一確定が必要とされるいわゆる類似必要的共同訴訟の類型にあたり、裁判所の判断対象が実質的に単一である以上、原告が複数であっても訴額を合算すべきではないと主張する。

しかしながら、抗告人らが本件訴えをもって主張する利益は、抗告人らそれぞれに共通する面はあるものの、基本的には、抗告人ら各人がそれぞれ享受すべき良好な生活環境及び生命・身体に対する権利ないし利益であり、本件は、抗告人ら各自のこれら個別的な権利ないし利益の救済を求める訴えが主観的に併合された訴訟である。

このような場合、抗告人らそれぞれの権利ないし利益の内容によって、判決の結論が異なる可能性があることはいうまでもなく、法律上それを不当とすべき事由もないのであるから、本件は判決の合一確定が必要とされる必要的共同訴訟の類型に当たらず、通常の共同訴訟であることは明らかである。

このように、本件では抗告人ら各自の請求は、法律的にはそれぞれ別個の請求であるし、実質的にもその請求する利益が全く重複するとか、一方が他方を吸収するとかの関係に立つものでもないのであるから、各請求についての利益は共通なものではないといわざるを得ない。

なお、本件訴えは、複数の原告らが、同一の処分の取消を求める点において、複数の株主らが提起する商法一〇四条の合併無効の訴えや、同法二四七条の株主総会決議取消の訴え等と一見類似するけれども、これらの訴えは、その提起に当たり、自己の権利ないし利益を侵害されたか否かを問わないことからも明らかなように、株主個々の利益の回復を目的とするものではなく、あくまで会社の社団としての正常な維持、運営を図ることが目的であり、それによって株主としての一般的な地位を保全しようとするものであり、その意味で原告らの受ける利益は共通であるといえるのに対し、本件訴えは、前記のように抗告人ら各人がそれぞれ享受すべき権利ないし利益の維持又は回復を目的とするものであり、両者は明らかにその訴訟類型を異にするものである。

4  以上のとおり、抗告人らの抗告理由はすべて理由がない。

四その他、本件について原決定の判示するところは正当であり、当裁判所もこれを肯認することができる。

五よって、原決定は相当であるから、本件抗告を棄却する。

(裁判長裁判官髙橋欣一 裁判官矢崎秀一 裁判官及川憲夫)

別紙抗告人目録

抗告人 實川響太

(平成三年五月一三日生)

親権者父 實川祐太

親権者母 實川はるみ

外一六七名

別紙意見書

抗告人 實川響太

外一六五名

右当事者に関する頭書事件につき、抗告人らの意見は次のとおりである。

一九九二年六月三日

右抗告人ら代理人

弁護士 後藤孝典

同 渡辺博

同 和久田修

東京高等裁判所第一四民事部 御中

一 民事訴訟費用等に関する法律についての解釈

民事訴訟費用等に関する法律(以下、「費用法」という)四条一項と二項との関係

1 いうまでもなく、法解釈とは当該法律の文言からは一律にその意味が把握できず、複数の異なった結論を導くことが可能な場合に、当該法律の定められた趣旨、信義則のような一般法原則ないしは条理にそい、かつ当該事案の解決にとって最も合理的と思われる結論を選択する作業である。したがって、一つの法律の文言についてある解釈を選択する場合に当該解釈をとることの合理性を説得的に説明しうるものでなくてはならない。

2 しかるに、原決定は、本件請求のように一つの訴えによって複数の財産権上の請求でない請求をするときの訴額の算定方法について、その前提として、費用法四条一項と二項の関係を「法四条一項は、訴額の算定方法一般についての規定であって、財産権上の請求でない請求に係る訴えの訴額の算定方法を除外しているものではない」とし、よって、同法四条一項、民事訴訟法二三条一項より、原則として訴額の合算方式をとるべきであるという解釈をとっているのであるが、なぜかかる解釈が合理性をもつのか、という説明を全くしていないのである(なお、本件請求が財産権上の請求でない請求であることは原決定も認めるところである)。

3 従来、訴額は、「訴を以て主張する利益」によって決められ(費用法四条一項、民訴法二二条一項)、その具体的な価額は、原告が裁判で求めている権利ないしは法律関係によって決定づけられる「経済的利益」であると説明されてきた(三ヶ月・「民訴法」[第二版]三〇一頁等)。そしてこの見解については反対説さえ見あたらないほど学界においても当然視されてきたのである。

これは、費用法四条一項が、経済的利益を求める請求、すなわち財産権上の請求を前提にした規定であることを明確に示している。

現実にも、印紙代(提訴手数料)の趣旨が、不当な濫訴の防止、裁判所の審理というサービスを受ける反対給付という機能を有している以上、原告の求めている「経済的利益」が大きければ大きいほど印紙代を高額にすることで右機能を達成できるということができ合理性を有する。

これに対して、財産権上の請求でない請求の場合、「訴を以て主張する利益」が「経済的利益」に還元できない以上、これによって訴額を算定することは本質的に不可能なのであり、それ故、費用法は同条二項で「訴をもって主張する利益」により訴額をさだめるのではなく、独自に訴額を一律に九五万円と定めたのであって、費用法四条一項が訴額算定の一般的方法を定めたものであると解釈することには無理があると言わざるを得ない。

また、同法四条一項、三項において、一つの訴えを以て複数の請求をなす場合として、それらがいずれも財産権上の請求である場合(同法四条一項、民訴法二三条一項)、財産権上の請求と財産権上の請求でない請求である場合(費用法四条三項)を定めていることからして、立法者が複数の財産権上の請求でない請求をなす場合の訴額の算定方法を失念していたと考えることはできない。にもかかわらず、同法四条二項においてかかる場合を想定した文言をいれなかったということは、原則として請求の個数にかかわらず訴額は九五万円とする意図であったというべきである。合算方式を原則とするのであれば、なお書きで「前項の例による。」等の文言をいれたはずである(同旨の判例として大判明三〇・六・一九民判決録六・五三)。

そして、かかる複数の請求が相互に全く関連性のないものであり、本来各別に提訴すべきものと明らかにいえるような場合には合算方式を採るべきである。

4 以上から原決定の費用法四条一項と二項の解釈は誤っていると言わざるを得ない。かかる視点は、本件請求の訴額算定について大きな影響を及ぼすものである。

二 本件請求が二個の行政処分の取消を求めるものであること(客観的併合)について

1 原決定は、「各請求についての利益が別個独立のものといえないときには、その訴額は一つの請求についてのそれに吸収されるもの」としながら、本件請求はそれにあたらないものとして合算すべきとする。

しかし、原決定は具体的にどのような場合が「各請求についての利益が別個独立のもの」といえるのかということについて、判断基準を明らかにすることなく、本件の場合について「本件各事業は、その事業地及び施行時期がほぼ同一であって、地上及び地下の各工事を同時に進行させることによって、全体として事業の効率化を図ろうとしているものであることが認められ、これらの事実によれば、本件各事業は、相当に密接な関連性を有するものということができる」が、事業主体、事業目的が異なり、右の関連性事業の効率化を図る見地から事実上同時進行を図ることとされたものにすぎず、「一方の事業の存続が他方の事業の存続を前提とするというような関係があるとまでは認められないからこれらを一体のものとみることはできない」として二つの請求の利益は別個独立のものであるとしている。

2(一) しかし、同一地域、同時期に地上の環状六号線を約二倍(二二メートル幅を四〇メートル幅にする)に拡幅し、その地下にほぼ同じ幅の構造物を埋め込み、地下道路を建設しようとする本件各事業は、まさしく「一方の事業の存続が他方の事業の存続を前提とする」関係が認められるものである。

(二) すなわち、地上の拡幅事業は、旧都市計画法下の一九五〇年(昭和二五年)に都市計画変更決定がなされてから現在に至るまで四〇年以上も事業認可がなされず放置されていたにもかかわらず、一九九〇年(平成二年)八月一三日に地下道路事業の都市計画がなされるや、翌九一年(平成三年)三月八日に突然、右地下道路事業予定区域についてのみ都市計画法五九条二項に基づき事業認可処分が行われたのである。さらに、その三日後の同月一一日に同条三項に基づく地下道路事業の事業承認処分が行われている。この一連の経過をみても、事業主体たる東京都(拡幅事業)、首都高速道路公団(地下道路事業)が、この両事業を「一方の事業の存続が他方の事業の存続を前提とする」一体のものとして認識していることが強く窺われるのである。

(三) さらに、本件地下道路事業(中央環状新宿線)は、首都圏整備計画の一環として位置づけられている中央環状線の一部として遂行されるものであるが、抗告人らが確認した一九八六年(昭和六一年)時点の同整備計画の中でも、同環状線はすでに建設が予定されていたのである。そして、この予定時点においては、同整備計画には他の環状線(三号、五号等)は整備推進対象として記載があるにかかわらず、環状六号線については記載されていない。ところが、本件地下道路事業の都市計画決定がなされた直後である一九九一年九月に発表された同整備計画に初めて環状六号線が整備推進対象として登場したのである。

このように首都圏整備計画という国の根幹的な施策の推移から検討しても、本件各事業の一体性が明らかに示されているのである。

(四) 右のことは、予算措置の法的構造からも裏付けられている。

本件拡幅事業の法的主体は東京都であるから、その事業費の負担者も東京都であると考えられやすいが、実は東京都は総事業費の半分も負担しない。費用の三分の一は、首都高速道路公団の負担であり、その他は、国の負担(補助金については道路整備緊急措置法四条、同施行令三条、同施行令附則5、交付金については同法五条)と、公団の借入金(日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法二条一項一号、道路整備特別措置法七条一項二号、同施行令附則5の五)であり、東京都の負担は総事業費の一〇分の四にも満たない。勿論、右の事業費とは本件拡幅事業の事業費のことであり、本件地下道路事業についての事業費はまったく別である。

問題は、本来、東京都が負担すべき事業費のうち、三分の一にものぼる費用を何故公団が負担するのかにある。首都高速道路公団法四〇条は、「公団は、第二九条第一項第一号の自動車専用道路(本件地下道路事業)の新設又は改築に伴い必要を生じた他の道路の新設又は改築に要する費用については、政令で定めるところにより、その一部を負担しなければならない。」と規定し、同公団法施行令六条は、「公団は、公団が行う法第二九条第一項第一号の自動車専用道路の新設又は改築に伴い必要を生じた他の道路の新設又は改築に要する費用については、当該自動車専用道路を当該他の道路の区域内において、高架で、又は地下に新設し、又は改築する場合にあっては、その費用の三分の一を負担し……」と規定している。つまり、本件地下道路の新設に伴い必要を生じた他の道路たる環六の改築であるからこそ、公団は環六の拡幅工事費用の三分の一を負担するものとされているのである。このように工事費用の側面から検討しても、本件地下道路事業がなければ本件地上拡幅工事も遂行できないのである。まさしく、本件拡幅事業は本件地下道路事業と不可分の関係にあるのである。

(五) 本件地下道路事業の建築方法も、地下を掘り進むいわゆるシールド工法でなく、地上から掘削して構造物を埋め込む開削工法を採用しており、幅四〇メートルにわたる構造物を埋め込む本件地下道路事業にあっては、どうしても地上部分の拡幅が必要なのである(そうでなければ住居の真ん中の穴を掘って構造物を埋め込むことになる)。このように本件各事業は、「一方の事業の存続が他の事業の存続を前提としている」のである。

(六) また、原決定のいうように事業主体、事業目的とも決して異なるわけではなく、本件拡幅事業の事業主体も、首都高速道路公団法二九条一項三号に基づく業務委託のため東京都に代わって本件地下道路事業の事業主体たる首都高速道路公団が兼務するものであり、事業目的も「多心型都市構造の形成のため新宿、渋谷、池袋の三副都心を結ぶもの」である点で共通していることは、本訴の被告である建設大臣が自ら認めているものである。

(七) 以上の考察からすれば、原決定が本件各請求についての利益が別個独立のものといえないとする根拠は崩壊しているのであって、実体を子細にみるならば、本件各事業はまさしく不可分的に一体となっているのである。

そして、この不可分一体の本件各事業によって、抗告人らは生命、身体の健康に対する侵害を受けるおそれがあるのであるから、本件各請求についての利益は別個独立のものといえないことは明らかである。

三 本件請求が主観的に併合されていることについて

1 本件の請求のように多数の原告によって争われる場合であっても、原決定は、判決の効力を他の者に及ぼすことが法定されており、各原告の受ける利益が全く共通である場合には、合算方式を取らないとの見解にたっているようである。

そして、商法一〇四条の合併無効の訴えや、同法二四七条の株主総会決議取消しの訴えはかかる場合にあたり合算方式を採用せず、本件の場合には、「判決の効果が原告ごとに異なることがあり得ないとはいえず、また、原告らの受ける利益が共通であるともいえないから」かかる場合にあたらず合算方式を採用すべきとしている。

2 しかし、本件請求と合併無効の訴えとは原決定のいうほど法的に差があるとはいえない。

(一) まず、判決の効力を他の者に及ぼすことが法定されている点については、合併無効は、商法一〇九条において、「合併を無効とする判決は第三者に対してもその効力を有す」と規定されており、本件請求(行政処分取消)は、行政事件訴訟法三二条において、「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。」と規定されているのであって、両者に全く差はないのである。

すなわち、いったん行われた法律行為(合併ないしは行政処分、裁決)の効力を覆す場合に、その効果を当事者間においてのみ及ぼしたのでは法的安定性が図れず妥当でない場合には、当該判決に対世効を認めるとしたのが右両条文であり、この二つの条文は趣旨、効果ともに共通しているのである。このことは余りにも明白であり、反対する学説は見あたらない。

したがって、この点について本件請求と合併無効の訴えとの間に質的な差はまったくない。

(二) 次に、原告らの受ける利益についてであるが、原決定は「申立人(原告)らすべてに共通する面を有するものの、基本的には申立人それぞれに帰属する個人的なものである」として、その共通性を否定している。

しかし、本来各原告に帰属する利益は個人的なものである。合併無効の訴えにおいても、各株主の有する株式数に応じて合併無効の判決によって受ける利益が異なることは十分有り得るのであって、この点においても本件請求と合併無効の訴えを分ける決定的な理由にはならないのである。

(三) 以上から本件請求は、合併無効の訴えと何等質的な相違はなく、判決の合一確定が必要とされるいわゆる類似必要的共同訴訟の類型にあたるものというべきであり、裁判所の判断対象が実質的に単一である以上、合併無効の訴えと同様、訴額を合算すべきでなく、吸収方式により訴額は九五万円として計算すべきである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例