大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成5年(ネ)4135号 判決

東京都杉並区久我山五丁目五番一八号

控訴人

三菱農林株式会社

右代表者代表取締役

山中重直

右訴訟代理人弁護士

紺野稔

同

秋田徹

東京都千代田区丸の内二丁目六番三号

被控訴人

三菱商事株式会社

右代表者代表取締役

槙原稔

東京都千代田区丸の内二丁目四番一号

被控訴人

三菱地所株式会社

右代表者代表取締役

高木丈太郎

東京都千代田区丸の内二丁目五番二号

被控訴人

三菱化成株式会社

右代表者代表取締役

古川昌彦

東京都中央区日本橋本町三丁目三番六号

被控訴人

三菱建設株式会社

右代表者代表取締役

浅山五生

東京都千代田区大手町一丁目五番一号

被控訴人

三菱マテリアル株式会社

右代表者代表取締役

藤村正哉

右被控訴人ら訴訟代理人弁護士

大場正成

同

鈴木修

同

大野聖二

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らの請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文同旨の判決

第二  当事者の主張及び証拠関係

当事者の主張及び証拠関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実適示並びに当審における証拠関係目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一一頁五行の次に、行を改めて、次のとおり付加する。

「また、被控訴人らが「三菱」という名称を持つことから、すべて類似の商号を持つとはいえず、「三菱商事」「三菱地所」「三菱化成」「三菱建設」「三菱マテリアル」は、それぞれ独立したそれ自体意味のある商号とみるべきであり、「三菱農林」は、これらと全く別の商号である。」

二  原判決一一頁七、八行目「法的主体は存在しない。」の次に、次のとおり付加する。

「もし、三菱系の会社という表現を使用するのであれば、何らかの資本的結合あるいは経済的系列性が認められなければならない。」

三  原判決一二頁一行の次に、行を改めて、次のとおり付加する。

「控訴人が、三菱系の会社であるか又は少なくともこれと密接な関係を有する会社であるかのような誤認混同を生じさせるというなら、営業内容の近似性、営業活動地域の異同、営業規模の差を検討すべきである。控訴人の「三菱農林」という営業表示の使用は、この点からしても被控訴人らの企業主体と誤認混同を生ずるおそれはない。」

理由

一  当裁判所も被控訴人らの請求は正当として認容すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

1  原判決一二頁九、一〇行目「甲第一五号証」の次に「、原本の存在及び成立に争いのない甲第一七号証」を付加する。

2  原判決一三頁九行目「評価されていること、」の次に「三菱グループは、他の旧財閥から発生した三井、住友グループ他とともに、日本における六大企業集団の一つとされ、グループ内において株式の相互所有、役員の派遣等からなる資本的、人的関係があり、このことは、公正取引委員会が定期的にその調査をしていることからも判明すること、」を付加する。

3  原判決一五頁四行目「類似するものであり、」の次に、次のとおり付加する。

「控訴人の主張するように、「三菱商事」「三菱地所」「三菱化成」「三菱建設」「三菱マテリアル」を一体としてみれば独立の意味を持つものであり、「三菱農林」はこれらと別個の意味を持つ独立した商号であるとの考え方は採ることができず、」

4  原判決一五頁九行の次に、次のとおり付加する。

「三菱鉛筆株式会社が被控訴人らの三菱グループに属する会社とは別個の企業として営業活動をしていることは、右認定を左右するものではない。

控訴人は、控訴人と被控訴人らとの営業内容の近似性、営業活動地域の異同、営業規模の差を検討するべきであると主張するが、控訴人が「三菱農林」という営業表示を使用する行為により、前記認定のとおり少なくとも被控訴人らと密接な関係があるのではないかと誤信させるおそれが認められる以上、控訴人主張の点について判断するまでもなく、被控訴人らの営業活動と混同を生じさせる行為に該当するというべきである。

また、控訴人は、本件差止請求を認容することは、不当な私的独占を肯認するに等しく、公序良俗に反する旨主張するが、以上認定の事実関係のもとにおいて、控訴人が不当に「三菱」という著名な周知の営業表示を模倣し、これに只乗りすることを防止するため、被控訴人らが本訴によって差止請求権を行使することは、公序良俗に反することにならない。」

二  よって、原判決は正当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民事訴訟法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 竹田稔 裁判官 関野杜滋子 裁判官 田中信義)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!