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東京高等裁判所 平成5年(行ケ)75号 判決

カナダ国

プロヴィンス オブ ケベック モントリールリュ ジャンヌ マンス 8585

原告

ゴードン ブルー インターナショナル リミテッド

代表者

ジェイ ロバート ウイーメット

訴訟代理人弁理士

富田一

富田修自

フランス国

パリ市75008 アヴェニュ ジョルジュ サンク 41番

被告

ルノ コワントロ エ コンパニ

代表者

アンドレ コワントロ

訴訟代理人弁理士

浅村皓

小池恒明

宇佐見利二

岩井秀生

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

この判決に対する上告のための附加期間を90日と定める。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

特許庁が、昭和62年審判第16415号事件について、平成4年12月17日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

2  被告

主文1、2項同旨

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、指定商品を商標法施行令1条(平成3年政令第299号による改正前のもの)に定める商品区分第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」とし、別紙に表示する構成のとおりの登録第1382412号商標(昭和54年6月29日設定登録、平成元年8月23日更新登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。

被告は、昭和62年9月18日、原告を被請求人として、本件商標の登録取消審判を請求した(同年10月23日審判請求の登録)。

特許庁は、同請求を昭和62年審判第16415号として審理したうえ、平成4年12月17日、「登録第1382412号商標の登録は取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決をし、その謄本は、平成5年2月6日、原告に送達された。

2  審決の理由

審決は、被請求人(原告)提出の証拠(審判事件乙第1号証の1~13、同第2号証。本訴甲第4号証の1~13、同第21号証の2~7に対応する。)によっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人(原告)が本件商標を請求に係る商品について使用していたものと認めることができないから、本件商標は、商標法50条の規定により、その登録の取消しを免れない、と判断した。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

原告(被請求人)が、本件商標登録の取消審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る商品について使用していたことは、原告提出の上記証拠によって認定できるのに、審決は証拠の評価を誤り、本件商標の使用の事実を認めず、誤った判断をしたものであるから、審決は違法として取り消されるべきである。

1  原告は、昭和60年夏に東京国際食品博覧会に参加し、その期間中本件商標を付した多様な食料生産品を出品提供し、同年10月15日及び11月11日に日本の株式会社西友に対して食料品を輸出し、「肉のパテ」は西友ストア各店で販売されている。また、その後、三菱商事株式会社に対しても本件商標を付した商品を輸出した。

しかるに、審決は、原告が右事実を立証するために提出したバーナード フオーテンの宣誓供述書(甲第4号証の1)について、「当事者に極めて近い関係にある者が宣誓したものであるから」等として初めから信用せず(審決書11頁3~6行)、同宣誓供述書に添付されたラベル(同号証の3~6)について、「本件商標の印刷された缶詰用ラベルであることは認め得るとしても、これが実際に日本の取引先に納入された商品に付されたものであるとする証左を他に見出すことが出来ないのでこれを信ずるに足りない」(審決書11頁12~16行)とし、株式会社西友及び三菱商事株式会社との取引に関する船積関係の書類(同号証の8~13)については、その宛て先の会社名の表記が、書類によってわずかに異なるという形式的なミスを捉えて排斥し(審決書11頁17行~13頁4行、14頁3~19行)、イアン ギヤリーの宣誓供述書(甲第21号証の2)について、「その裏づけ資料となる英文の添付資料との対応関係が必ずしも明らかにされているものとはいい難く」等として信用せず(審決書13頁4行~14頁2行)、提出した証拠の実体的内容に立ち入ることなく、これらの証拠を排斥した。

2  しかし、上記の昭和60年夏に東京国際食品博覧会に原告が出品した事実と、同年10月15日及び11月11日に株式会社西友ストアに向け輸出した事実を合わせ勘案すれば、博覧会出展の結果生じた引合いに原告が応じたとの推測は容易に成り立つはずである。

しかるに、審決は、これらの事実及び証拠を個々ばらばらに切り離してしか評価しようとせず、そのために、商品展示の事実、商標使用の事実及び商品輸入の事実が全くなかったような認定をしたのは、経験則に違背して証拠の評価を誤り、事実の認定を誤った違法があるといわなければならない。

第4  被告主張の要点

1  原告主張の東京国際食品博覧会については、その開催日程、開催場所及び主催者名等について何ら特定されていないし、原告が当該博覧会に参加した事実も証明されていない。原告は、「多様な食料生産品を提供した」として商品のラベルを提出するが、単なる商品のラベルの見本だけで本件商標と当該商品との関係について立証したことにはならないし、このラベルを付した製品が当該博覧会に提供された事実も立証されていない。

本件商標を付した商品が、原告主張のころ原告主張の各会社あてに輸入され、日本国内の商取引市場で実際に流通していたものと認めることのできる証拠はない。

原告は船積書類を証拠として提出するが、商取引の一般として、いきなり商品が船積みされる例は少なく、その船積み前に商談をまとめるための何らかの取引書類が存在するはずであるのに、証拠として提出されていない。

また、原告は、会社名の表記ミスに対して反論を加えているが、仮に有償取引であったとすれば、会社名が正確でないと銀行取引上も必ず種々の問題が生じるのである。

2  以上のとおり、原告が本件商標使用の事実を立証しようとするものは、結局、船積書類が3通と、商標を付したラベルの写しが1通だけであり、これらをもって日本国内において当該商品に本件登録商標を付した使用事実を立証するには、あまりにも不十分である。

第5  証拠関係

本件記録中の書証目録の記載を引用する。

甲第4号証の1~13、同第21号証の1~7の成立は弁論の全趣旨によりこれを認める。その余の書証の成立は当事者間に争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  原告主張の昭和60年夏の東京国際食品博覧会への出品については、原告の副社長兼法人秘書であるバーナードフオーテンの宣誓供述書(甲第4号証の1)中に、「1985年夏カナダ連邦政府による後援でゴードン ブルーインターナショナル リミテツドは東京国際食品博覧会に参加しその期間中商標CORDON BLEUを総べてに添付した多様の食料生産品を提供した」と記載されている。

しかし、同宣誓供述書には、同博覧会の性質、規模、開催日程、開催場所及び主催者名、参加者の氏名名称、原告出品の商品の種目、数量など、同博覧会への商品の出品が我が国における商標の使用として評価できるに足りるものであることを示す何らの具体的な事実の記載はなく、わずかに出品された商品に付されていたものと同じラベルであるとして4種類のラベルが添付されているにすぎない(同号証の2~6)。

この事実と、同宣誓供述書が同博覧会の開催から3年余を経過した1988年(昭和63年)10月18日に作成されており、同博覧会への出品関係の書類が原告もしくは関係官庁の手元に一切ないと合理的に見られるほど時間が経過しているわけではないこと、また、同宣誓供述書が、その記載内容からして、本件審判の請求後に本件商標の使用の事実を立証する意図のもとに作成されたと認められることに照らせば、同宣誓供述書及び添付のラベルのみによって、本件商標を付した商品が同博覧会に実際に出品され、これによって本件商標が我が国において使用されたとの事実を認定することはできないといわなければならない。

1985年8月30日の日付のある船積関係書類(同号証の10)には、荷受人として株式会社西友(「KABUSHIKI KAISYA SEIYU」)と記載されているから、これが同博覧会出品用の商品についてのものとは認められない。

2  前掲バーナード フオーテンの宣誓供述書(甲第4号証の1)中には、原告主張の株式会社西友への商品の輸出に関し、「1985年にゴードン ブルー インターナシヨナル リミテツドはCORDON BLEUの商標を付した生産品を東京西友ストア会社を含む日本の買手に通商代理人を経由して販売した:多数の実例として出品BF-2の積荷証券、検査証及び請求書写を大量に本宣誓書に添付した。」との記載があり、甲第4号証の7~10によれば、このBF-2として添付された書類は、3通の船積み関係書類であり、このうちの2通は、荷受人をいずれも「西友ストア株式会社」(「Seiyu Stores Ltd.」)とし、日付を1985年11月11日(同号証の8)、同年10月15日(同号証の9)とするものであり、他の1通(同号証の10)は、荷受人を「株式会社西友」(「KABUSHIKI KAISYA SEIYU」とし、乗船日を同年8月30日とするものであることが認められる。

また、同宣誓供述書には、原告主張の三菱商事株式会社への商品の輸出に関し、「1986年及び1987年に、ゴードン ブルー インタナシヨナル リミテツドは通常の経路でCORDON BLEUの商標を付した生産品を日本に販売した:この多数の実例として出品BF-3の請求書写を本宣誓書に添付した。」との記載があり、同号証の11~13によれば、このBF-3として添付された書類は、宛て先をいずれも「三菱」(「Mitshubishi」)とし、日付を1987年10月13日(同号証の12)、1986年7月9日(同号証の13)とするものであることが認められる。

そこで、これらについて検討すると、同宣誓供述書には、上記の記載に続いて、「日本におけるゴードン ブルーインタナシヨナル リミテツドの生産品の販売は国際商業企画の一部であつて、そのことはCORDON BLEUの商標がこれ等食料生産品と結びついてカナダ、アメリカ合衆国、オーストラリア、メキシコ、印度及び日本を含む多くの国で顕著で有名になりつつある結果を招来した。」と記載されているにもかかわらず、甲第6~第11号証によれば、原告の有する「CORDON BLEU」の商標については、原告の本拠地であるカナダを始めとして、韓国、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド、ブラジルにおいて、過去3年ないし5年間の不使用により、その登録が取り消されている事実が認められ、これによると、同宣誓供述書のCORDON BLEUの商標の使用状況についての記載が事実に即した記載とはにわかに信じられず、これに加えて、前示のとおり、同宣誓供述書が本件審判の請求後に本件商標の使用の事実を立証する意図のもとに作成されたことに照らせば、「CORDON BLEUの商標を付した生産品」を株式会社西友等に販売したとの同宣誓供述書の記載をそのまま真実のものとして信用することはできないものといわなければならない。

そこで、前示BF-2、BF-3として添付された書類(甲第4号証の8~10、12、13)を見ると、これら書類自体には、そこに記載されている商品に本件商標が付されていたことを証する事実の記載は見当たらず、特に、BF-3として添付された書類(同号証の12、13)には、その各中央上部に、「Cordon Bleu」、「CAZA」、「PARIS PATE」、「ESTA」、「TIBO」の各ローマ字を表示した商標が、各中央下部に、上記「Cordon Bleu」の商標がいずれも<R>とともに表示してあるので、いずれの登録商標がこの書類に記載の商品に付されたものかを確定することができない。

もっとも、カナダの国際交易会社ターフロスの副社長であるイアン ギヤリーの1992年4月9日付け宣誓供述書(甲第21号証の2)には、同人は、「1985年にゴードン ブルー インタナシヨナル リミテツドの要求によりわが社が日本の西友ストーズ リミテツドにCORDON BLEUの商標を付した商品の船積を手配した。この船積を私自身が手配し、私はここに私の宣誓口述書の裏書としてこの船積に属するわが社の記録からの書類をExhibit Aとして大量に綴じ込んだ。」との記載があり、5通の書類(同号証の3~7)が添付されている。

しかし、同宣誓供述書は、船積みがされた1985年から6年余を経て作成されたものであり、ターフロス社が国際交易会社として多数の物品の輸送に携わっていると認められることからすると、上記の記載は、同人の個人的記憶に基づくものではなく、もっぱらその添付書類に従って記載されたものというべきであるから、上記記載を信用するためには、上記添付書類を検討しなければならない。

ところが、同添付書類には、その各右上部に、手書きで「2OF6」、「3OF6」、「4OF6」、「5OF6」、「6OF6」と一連番号の付されているもの(同号証の3~6、同号証の7の1枚目)と、番号が付されていないもの(同号証の7の2枚目)とがあり、この一連番号は同一の船積みに関する書類を示すために手書きされたものと認められるところ、これらの書類と番号の付されていないものとの関係は不明であり、また、この一連番号の付された書類(「2OF6」を除く。)は、前示バーナード フオーテンの宣誓供述書(甲第4号証の1)の添付書類BF-2として提出されているのに、この番号の付されていない書類は同宣誓供述書には添付されていなかったことが明らかであるから、この番号の付されていない書類が上記船積みと関係のある書類と断定することはできないといわなければならない。のみならず、船積みされた商品に本件商標が付されていたことを示す記載は、この一連番号の付された書類には一切ないのに対し、番号の付されていない書類の下部に横向きに複写されている書類にのみ、商品名の下に、「CORDON BLEU」との記載があるのであって、これらの点を総合考慮すると、上記イアン ギャリーの宣誓供述書(甲第21号証の2)中の「わが社が日本の西友ストーズ リミテツドにCORDON BLEUの商標を付した商品の船積を手配した」との記載を真実のものとして直ちに採用することはできないといわなければならない。

なお、甲第16号証によれば、原告は、本件審判において商品の現物を提示していることがうかがわれるが、それをもって、本件商標が商品に付されて、我が国において使用されたことの直接の証拠とすることはできない。

3  以上に説示したところと、商標法50条に定める不使用による商標登録取消審判の制度の趣旨に鑑みれば、本件において提示された証拠によっては、本件商標の取消審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者である原告が本件商標をその指定商品について使用していた事実を認めることはできず、また、使用権者による本件商標の使用あるいは不使用についての正当な理由の存在については、原告の主張立証しないところであるから、本件商標は商標法50条の規定によりその登録の取消しを免れないところであり、これと同旨の審決の判断は正当である。

4  よって、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求を失当として棄却し、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間の付与について、行政事件法7条、民事訴訟法89条、158条2項の各規定を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 山下和明 裁判官 芝田俊文)

本件商標

<省略>

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