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東京高等裁判所 平成5年(行コ)192号 判決 1994年8月30日

東京都世田谷区代田四丁目二〇番一六号

控訴人

吉村徹穂

右訴訟代理人弁護士

牛嶋勉

東京都世田谷区松原六丁目一三番一〇号

被控訴人

北沢税務署長 山口新平

右指定代理人

秋山仁美

藤村泰雄

内倉裕二

石坂博文

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が平成二年七月六日付けでした控訴人の昭和六二年分の所得税についての更正を取り消す。

三  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

第二事案の概要

原判決の事実及び理由の「第二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三争点に対する判断

次のとおり付加、訂正するほかは、原判決の事実及び理由の「第三 争点に対する判断」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決一二枚目表一〇行目の「経理担当者」の次に「(ただし、同人が経理担当者になったのは、本件契約締結直後の昭和六二年八月一七日である。)」を加える。

二  同一三枚目表三行目から同四行目の「認められ」までを次のとおり改める。

「控訴人は、当審において、振替伝票(甲一五号証)を提出し、右振替伝票には、平野橋不動産が控訴人側から一億円を受領し、本件土地につき七月一八日付けで抹消登記をした旨が記載され、野崎の検印が押されているが、この書類は、本件更正処分がなされた平成二年七月六日より後(平成二年一〇月八日)に作成されたものであるから、野崎がこの書類の作成に関与していたとしても、その記載内容が真実であることについては疑問があるといわざるを得ず」

三  同一四枚目表四行目から同八行目までを次のとおり改める。

「甲第四号証、控訴人本人尋問の結果によれば、本件旧建物は、昭和初期に建築された木造瓦葺二階建居宅であって、本件契約当時、老朽化していたため、建て替えが必要な状態にあったことが認められること、及び前記(一)の(6)、(7)のとおり、控訴人は、平成元年一月二〇日、本件旧建物を取り壊し、同年七月一日、平野橋不動産が建築した本件新建物を賃借したことからすると、控訴人は、本件契約締結当時、本件旧建物を取り壊し、平野橋不動産から本件新建物を賃借することを予定していたものと推認することができる。甲第一七号証中、これに反する部分は採用できない。したがって、控訴人が本件契約締結後も引き続き本件旧建物に居住していたことから、本件契約が譲渡担保であると推認することはできない。」

四  同一六枚目裏九行目から同一七枚目表六行目までを次のとおり改める。

「前記のとおり、控訴人は、本件契約締結当時、本件旧建物の取り壊し、平野橋不動産から本件新建物を賃借することを予定していたと推認することができるのであるから、このような場合に、わざわざ借地権を設定したと認めるのは不自然であるといわざるを得ない。」

第四結論

よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鈴木康之 裁判官 大前和俊 裁判官 三代川俊一郎)

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