東京高等裁判所 平成6年(ラ)1181号 決定
入札書の必要的記載事項(民事執行規則三八条二項、四九条)のうち、入札人の表示(一号)は、入札における買受けの申出の効果の帰属する者の特定のために必要であるから、入札人が自然人であるときは入札書にその氏名及び住所を記載しなければならない。したがって、入札人の氏名の記載を欠く入札書はその記載自体から入札人を特定することができないから、その入札書による入札は無効というべきである。
しかるに、執行官は、入札人の氏名の記載を欠く抗告人の入札書による入札を適法に最高価買受申出をしたものとして開札手続をしたが、右は入札の手続に重大な違背があり、民事執行法七一条七号、一八八条の売却不許可事由(売却の手続に重大な誤りがあること)に当たるといわなければならない。
(時岡 大谷 小野)