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東京高等裁判所 平成6年(行コ)106号 判決 1994年12月20日

控訴人(原告) 西崎毅

被控訴人(被告) 国税庁長官 人事院 人事院事務総長 国

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人国税庁長官は、控訴人に対し、平成二年六月二九日付けで指定職俸給表五号俸に発令すべき義務のあることを確認する。

3  被控訴人人事院は、控訴人に対し、平成二年六月二九日付けで指定職俸給表五号俸に発令すべき義務のあることを確認する。

4  被控訴人人事院事務総長が控訴人の平成三年一一月一一日付けの行政措置要求に対してした平成四年三月二七日付けの却下決定を取り消す。

5  被控訴人国は、控訴人に対し、金四八三万三四七八円及びこれに対する平成五年一二月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

6  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文と同旨

第二事案の概要

原判決事実摘示のとおりである。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も、次に記載するほか原判決と同一の理由により、控訴人の被控訴人国税庁長官及び被控訴人人事院に対する訴は不適法であり、そのほかの請求は理由がないものと判断する。

(控訴人の当審における主張について)

指定職俸給表の適用される職員には、事務次官、本省局長等の、その職員の就く官職の職務と責任から、人事院規則九―二に基づき、当然に指定職俸給表が適用される職員と、同規則に基づき、個別の人事院指令で指定されることにより指定職俸給表が適用される職員とがあり、関信不服審判所長の官職は、前者の当然適用官職ではない。控訴人は、俸給表の適用範囲は「官職」をもって定めるべきものであるから、後者の指定職適用可能官職と決定された官職を占める職員に対しても、当然に指定職俸給表が適用されるべきであり、任命権者からの申出がある職員についてだけ人事院において指定する現行の運用は違法であると主張するが、指定職について当然適用官職と適用可能官職とを区別して設けた趣旨等を合理的に考えれば、控訴人の右主張は採用することができない。そして、指定職適用可能官職についた職員について、前述の人事院指令を発出し任命権者が指定職俸給表を適用するべく発令するかどうかについては、原判決の説示するとおり裁量が認められるべきであり、指定職俸給表の適用であることの故に、裁量を否定する控訴人の主張は採用できない。そうすると、控訴人の被控訴人国税庁長官及び被控訴人人事院に対する義務づけ訴訟の不適法であることは明らかである。そして、関信不服審判所長以下四地方国税不服審判所長について、国税庁から人事院に対して指定職俸給表適用の申出をするかどうかの運用基準が設けられており、それに基づき控訴人について指定職俸給表適用の申出がなされなかったことは、原判決認定のとおりであって、その運用の基準が控訴人主張のような差別を意図としたものとは認められない。したがって、被控訴人国税庁長官が、控訴人についてその経験、能力等を検討して指定職俸給表適用の申出をしなかったことは、その裁量権を濫用したものとはいえないし、また、右申出がなかった以上、被控訴人人事院が指定職に指定しなかった行為も違法とはいえず、控訴人の国家賠償請求は理由のないものである。そして、控訴人が被控訴人人事院に対する本件措置要求で求めた事項は、上記裁量権の働く管理運営事項であって、これを却下した決定に違法の点は認められない。以上のとおり、控訴人の主張はいずれも採用することのできないものである。

二  したがって、原判決は相当で、本件控訴は理由がない。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤繁 淺生重機 杉山正士)

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