東京高等裁判所 平成7年(く)139号 決定 1995年7月25日
少年 Y・K子(昭和50.9.19生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意は、申立人両名が提出した各抗告申立書に記載されたとおりであるが、所論は、要するに、(一)原決定は、非行事実第2のぐ犯を認定したが、その認定した「少年が平成7年5月16日に自己又は他人のために覚せい剤を所持」したことも「犯罪性のある人」と交際したこともないのであって、原決定には重大な事実の誤認がある、(二)(1)右覚せい剤所持の事実については刑事事件として立件されているところ、同一事実を重ねてぐ犯として問うことは憲法39条に規定する二重の危険の法理に反するものである、(2)また犯罪とぐ犯との関係については、少年の行為が犯罪とぐ犯の双方の構成要件に該当する場合には、もっぱら犯罪事件として処理すべきであって、ぐ犯として処理することは許されないのであって、原決定が刑事事件として立件されている事実をぐ犯と認定したことは少年法3条1項3号の解釈適用を誤っているから、原決定には決定に影響を及ぼす法令の違反がある、(三)非行事実第2のぐ犯が成立しない以上、原決定が少年を少年院に送致することとした処分は著しく不当であるから、原決定を取り消し、本件を東京家庭裁判所に差し戻すとの決定を求める、というのである。
記録によれば、本件は、少年が平成6年9月17日ころ、当時の少年の自宅において覚せい剤を注射して使用し(原決定非行事実第1の事実、以下「本件自己使用」ということがある。)、覚せい剤使用歴のある者らと交際し、平成7年5月16日には、自己又は他人のため、自己の化粧ポーチの中に覚せい剤0.112グラム及び注射器1本を所持するなどしており、犯罪性のある人と交際し、自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖があり、その性格、環境に照らし、将来、覚せい剤取締法違反の罪を犯す虞がある(同第2の事実、以下「本件ぐ犯」ということがある。)、という事案であるところ、以下順次所論について検討する。
一 事実誤認の主張について
記録によれば、少年は、本件自己使用事件により原裁判所に送致され、同年11月2日同裁判所調査官の試験観察に付されていたものであるが、本件ぐ犯に関する状況については原決定が(非行事実第2のぐ犯の認定について)の項において詳細に判示するとおりと認められ、
1 少年は、平成7年4月(以下、月日で記すものは平成7年のことである。)ころから薬物濫用歴のあるAと親しく交際し、また、そのころ本件自己使用当時に少年に覚せい剤を提供していたBも少年の部屋に出入りするようになったこと、
2 少年は、5月6日以降は少年の娘(平成5年8月10日生)の保育園への送り迎えもしないようになり、3晩くらい全然眠らない様子で、自室のドアを締め切って母親を部屋に入れようとせず、何時間も歯を爪楊枝で突っついているなどの行動が見られたこと、
3 同月9日、少年の部屋内の布団に血が飛び散っていて、少年の化粧ポーチの中に注射器があったこと、
4 同月16日朝、同ポーチ内に覚せい剤0.112グラムと注射器があり、これを発見した母親が○○警察署に届け出たこと、
5 これに気付いた少年は、家を出て数日間帰宅せず、○○警察署警察官に出頭を約束しながら出頭せず、同月27日午後7時50分ころ自宅において、同月16日の覚せい剤所持の事実で逮捕勾留されたが、6月7日嫌疑不十分として処分を保留して釈放され、同日本件ぐ犯事件により観護措置がとられたことなどの諸点が認められる。
ところで、少年は、右逮捕勾留及び原審審判時、5月16日に発見された覚せい剤と注射器は自分の知らない間に化粧ポーチに入っていたもので、同日朝これに気付きそのままにしておいたが、後にCが入れたことが分かったと供述し、また、6月2日○○警察に出頭したCは、少年と前記Aとが覚せい剤を使用しないことを約束したことを聞き知って、少年への未練から自分が両名を別れさせるために、5月15日午後、少年に隠れて少年の部屋に置いてあった化粧ポーチの中に覚せい剤と注射器を入れた旨の供述をしている、しかし、右の少年及びCの供述はその供述自体不自然であるばかりか、少年が5月16日午前中自宅を訪問した家庭裁判所調査官に右覚せい剤と注射器についてなんら相談せず、その後弟に「やばい。あれは人から預かったもの。逃げなくては」などと言って家を出たことなどに照らしてたやすく信用し難いのであって、客観的には少年が5月16日に自己又は他人のために覚せい剤及び注射器を所持していたこと、A及びBには前歴ばかりではなく本件ぐ犯の時点においても覚せい剤との関わりのある犯罪性があることが認められるのであって、原決定に所論のいう事実の誤認はない。
所論は、原決定のその他の認定事実についても種々主張するが、以上の認定を左右するに足りないもので、いずれも採用するに由ないものである。
二 法令の違反の主張について
原決定は、前記一の経過、特に、少年が5月16日に覚せい剤を所持したという覚せい剤取締法違反事件について検察庁が少年を嫌疑不十分として処分保留のまま釈放したこと及び少年らの供述内容等を踏まえ、少年につき、所持の犯意等の主観面を含め、覚せい剤所持の犯罪成立要件を充足するとまでは認定せず、客観的に少年が覚せい剤及び注射器を所持していたという外形的事実と、覚せい剤関係者との関わりなどからぐ犯事実を認定したものと認められ、このような認定が少年法3条1項3号の解釈適用に違反するものでないことは明らかである。なお、記録及び当審事実調べの結果によれば、少年の行為は犯意等を含め覚せい剤所持罪に該当する疑いもきわめて強く、そうすると、原決定には事実誤認ないし法令適用の誤りがあることになるが、覚せい剤所持罪かそのぐ犯かの誤りは決定に影響を及ぼすものと解されないから、これをもって原決定を取り消す理由とはならないというべきである。
さらに、刑事事件として立件されているからといって、それについての処罰等がなされていない場合にこれと部分的に重なるぐ犯事実について少年審判ができないとする理由はなく、原決定が少年を二重に処罰するものとはいえないから、原決定が憲法39条に違反するとの所論も理由がない。
三 処分の不当について
以上のとおり、原決定が本件ぐ犯を認定したことに事実の誤認等はなく、原決定が(処遇について)の項で適切に判示するとおり、本件覚せい剤使用当時の少年の覚せい剤への著しい依存傾向、試験観察に付せられた少年の心情及び行状が不安定であったこと、覚せい剤の自己使用又は他人使用が疑われる本件ぐ犯の内容、少年の前歴、保護環境、そして治療を必要とする精神状態などを考慮して、少年に対して医療少年院に収容して治療及び矯正教育を受けさせたのち、中等少年院に送致することとした原決定の処分は相当で、これが著しく不当であるとはいえない。論旨は理由がない。
よって、少年法33条1項後段、少年審判規則50条により本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小林充 裁判官 中野保昭 小川正明)
抗告申立書<省略>
〔参考1〕 抗告申立書(付添人弁護士)
抗告申立書
少年 Y・K子
右少年にかかる覚せい剤取締法違反、ぐ犯保護事件(東京家庭裁判所平成6年少第5231号、平成7年少第2361号)につき、左記のとおり抗告の申立をする。
1995年7月13日
右附添人
弁護士 ○○
東京高等裁判所 御中
記
(抗告の趣旨)
原決定を取り消し、本件を東京家庭裁判所に差し戻す。
との決定を求める。
(抗告の理由)
原決定には、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認、処分の著しい不当が存するので、速やかに取り消されるべきである。
一 非行事実第2の認定判断について
1 原決定は、平成7年5月16日、少年が、自己または他人のため、自己の化粧ポーチの中に覚せい剤及び注射器1本を所持していたと認定しているが、決定に影響を及ぼす重大な事実の誤認である。
平成7年5月16日、少年の化粧ポーチに入っていた覚せい剤及び注射器は、少年の前夫Cが、その前日に、少年がまったく知らない間に、少年の化粧ポーチの中に故意に入れておいたものであり、少年が所持していたものではない。
この点、Cは平成7年6月2日付の員面調書において、明確にその旨供述しており、さらにCは、この自分の覚せい剤を少年のポーチに入れて置いたとの事実に基づき、覚せい剤所持の嫌疑で平成7年6月26日頃、○○警察署に逮捕されている。
右の平成7年5月16日に少年の化粧ポーチに覚せい剤が入っていたとの事実に基づき、少年は、覚せい剤所持の嫌疑で逮捕勾留されていたが、右事件の取り調べにあたっては、前記の真実に基づく弁解を一貫して行っており(少年の平成7年6月6日付の検面調書2通参照)、そして、少年は同年6月7日に処分保留で釈放された。少年自身の供述、Cの供述など証拠に照らして、少年が覚せい剤を所持していたとはいえないことは明白である。
少年のこの覚せい剤所持の被疑事件については、担当検察官(東京地方検察庁○○検事)は、前記Cの覚せい剤所持の被疑事件の処分結果をまって処分する旨当附添人(右少年を被疑者とする覚せい剤所持の被疑事件の弁護人でもある)に述べている。以上の経緯に照らせば、おって少年にかかる覚せい剤所持の被疑事件については、嫌疑がないとの処理がなされることは間違いがないものと思われる。
以上のとおりであり、平成7年5月16日に少年が覚せい剤を所持していたという原決定の認定は、決定に影響を及ぼす重大な事実の誤認である。
2 右に述べたとおり、5月16日に少年が覚せい剤を所持していたとの事実については、少年は覚せい剤取締法違反(所持)の嫌疑で逮捕勾留され、捜査を受けている。そして、この被疑事件については少年には嫌疑がないものと処理されるであろうことは前記のとおりである。ところが、本件ぐ犯保護事件において、原決定は非行事実として右事実を認定している。同一事実につき、刑事事件として立件されている以上、これを重ねてぐ犯として問うことは許されない。まず、憲法39条は「同一の犯罪について、重わて刑事上の責任を問われない」旨規定している。いわゆる二重の危険の法理である。本件は、少年事件であるが、同一の事実につき刑事事件として立件されているのであり、かつこの嫌疑が晴れようとしているにもかかわらず、これをぐ犯として保護処分(少年院送致は重大な人権侵害をもたらす不利益処分であり、刑事処分と同視される)を行うことは二重の危険の法理に反する。
さらに、ぐ犯と犯罪の関係についてであるが、少年の行為が犯罪とぐ犯の双方の構成要件に該当する場合、もっぱら犯罪事件として処理すべきであって、原則としてぐ犯として処理することはできないと解されている(「少年法実務講義案」46頁以下参照)。本件では、前記のごとく、5月16日の覚せい剤の所持については、犯罪事件として刑事事件となっており(担当検察官が家裁送致すれば覚せい剤取締法違反保護事件として家裁に係属することになり、同一の事実につき、犯罪とぐ犯の二重に係属することになる)、ぐ犯として処理することはできない。実質的にも本件で少年に覚せい剤所持の事実を認定することは、証拠上犯罪の嫌疑がない事件につき、ぐ犯として処理することになり、不当である。いうまでもなく、ぐ犯とは、少年の行為がぐ犯の基礎となる事実として証拠上明確に認定できるが、これが犯罪構成要件に該当するものでなく、ぐ犯事由に該当するというものであるというもので、犯罪事実を認めるのに証拠が不十分な場合にぐ犯として認定してよいというものではない。
以上の次第で、原決定が5月16日の覚せい剤所持をぐ犯の非行事実として認定したことは、憲法39条に反し、かつ、ぐ犯についての少年法3条1項3号の解釈適用を誤ったものであり、決定に影響を及ぼす法令の違反がある。
3 覚せい剤使用歴のある者との交際、犯罪性のある人との交際
原決定は、AないしBとの交際をもって、犯罪性のある人との交際を認定している。
しかし、少年が交際していたAについては、薬物事犯の前歴はあるものの本件の当時はまじめに生活していたものであり、少年とも互いに薬物に手を出さないようにと誓い合っていたものである。単に前歴があるというだけで犯罪性のある人といえないことはいうまでもないことである。Bについても覚せい剤使用歴があるが、少年が本件の試験観察決定後も同人と多少の交際をしていたことも先輩後輩という間柄にもとづく通常の交際である。少年法3条1項3号ハについては、罪を犯すことの契機となり誘惑となるような、このましくない交際と不健全な場所に出入りすることをいうと解されているが(ポケット注釈少年法56頁)、少年の右AなりBとの交際につき、罪を犯す契機ないし誘惑となるような事情はどこにもない。原決定は、単に前歴があることだけをもって犯罪性のある人と認定しており、これが誤りであるところ、原決定には決定に影響を及ぼす、重大な事実の誤認、同号ハの解釈適用の誤りという法令の違反がある。
4 その他の事実について
<1> 原決定は、少年は5月6日以降、自分の子を保育園に送り迎えしなくなった、3晩くらい眠らない様子で、自室のドアを閉め切って母親を部屋に入れさせず、何時間も歯を爪楊枝で突っついていたなどの行動があったと認定し、これらを少年の弁解を排斥する根拠としているが、誤っている。
まず、少年は、前記Aと会うためなどに、夜出かけていき、帰宅が朝にあり自分の子を保育園に連れていけなかったことは確かにあるが、回数は2、3回であり、かつ、夜出かけて行くときは少年の母親に断り自分の子を託して出かけている。少年のように若くして母親になり、夫と離婚した女性よりすれば、たまに交際している男性と会うために夜家をあけ、子を自分の母親に託するということは無理からぬものがあり、それ自体を非行の徴表とみるべきものではなく、かつ当然ながら覚せい剤使用を疑わせる事実ではまったくない。
3晩くらい寝ていないというのも、少年が夜昼逆転の生活を送っていたこともあったため、夜起きて母親が仕事にいっている昼に寝ていたことがあったというだけのものであり、同様に少年の弁解を排斥する根拠となるような事実ではない。自室に母親を入れさせなかったというのも、少年自身はそのような事実は明確に記憶にはない。あったとしたら、一度少年をたずねてきていた友人が着替えをしていたので、母親に入って欲しくなかったということかもしれないという程度のことである。何時間も爪楊枝で歯を突っついていたというのも、少年の言によれば歯をつつくのは癖であるということであり、いわば髪を触る癖のある者が長時間髪をさわりつづけていることがあるのと同様である。
以上のような点を根拠に少年が覚せい剤を使用していたというのはあまりにも根拠が脆弱であるといわざるをえない。
<2> さらに、布団ないし壁に血が飛んでいたという事実についてであるが、少年自身は血が飛ぶというそのものはまったく見ていないのであり、少年宅を訪ねてきた友人が何らかの事情で血を飛ばしたかもしれないが(血が飛ぶ行為の一つとして覚せい剤の注射というものも可能性の一つではあるが)、いずれにしても血が飛ぶ原因となった行為につき少年は目撃も関与もしていないのであり、少年が覚せい剤の非行を犯していたと認定する根拠にはならない。
<3> 原決定は、5月16日に少年が少年の弟に「やばい。あれは人から預かったもの。逃げなくては。」と口走り、家を出て数日間帰宅しなかったと認定している。しかし、前記弟への言動は、ポーチから覚せい剤がなくなっていることに気付いた少年が、母親が少年が保育園に行っている間に少年の部屋に入って持ち出しをしたかどうかを弟に確認しようとして、弟を問いつめていたときの言動であり、弟が母親が少年の部屋に入ったことを否定するので、それを追求するために「人から預かったものが入っている」などと言って弟を問いつめたものである。原決定の認定は必ずしも少年の言葉どおりではなく、ニュアンスも異なる。「口走った」という表現も原決定の創作である。数日間家を出ていたというのも、覚せい剤に身に覚えのない少年が逮補される前に真実を把握し、身を守ろうとの動機のもとにとった行動である。
以上各事実につき、原決定は少年の弁解を排斥する根拠にしているが、これらは母親の供述なり、調査官の母親の聞き取りなどに基づくもので、伝聞や曖昧な点を多分に含んでおり、かつ、少年の母親は少年が覚せい剤を使用していると思いこんでいる節があり、母親の供述はこの思いこみによって結果的には事実をゆがめることになっている点が多分に見受けられる。
右の次第で、原決定が少年の弁解を排斥する根拠として認定した事実は証拠上明白に認定できる事実ではなく、かつ、実際にも誤った認定になっている。これらの事実認定も決定に影響を及ぼす重大な事実の誤認である。
なお、5月9日に発見された注射器についても、原決定は、少年がCと会っていた際Cが警察官から職務質問をされ、とっさにCからティッシュにくるまれたまま渡され、注射器とは思わなかったが何かまずいものだろうと思い自宅に持ち帰り、自宅でみて注射器と分かり、その後Cに返したとの少年の言い分を何らの根拠を示すこともないまま内容的に著しく不自然であり到底信用できないと一蹴しているが、これも少年が覚せい剤の非行を犯しているの予断による証拠に基づかない判断であり、やはり決定に影響を及ぼす重大な事実の誤認である。
二 処遇について
非行事実第1の事実については、事実に争いはなく、右非行の当時少年が覚せい剤への強い依存傾向を持っていたことは否定しないが、右非行事実第1の事実により逮捕勾留され、審判を受け、そして試験観察となるとの経緯の中で、覚せい剤につき深く反省し、二度と覚せい剤に手をださないと誓った。そして、現に試験観察の経過はまことに良好だったのである。これは、右非行事実第1の事件当時存した少年の要保護性が著しく減少し社会内での処遇が可能になったことを示している。原決定の当時少年を少年院に送致するだけの要保護性は存しなかったものである。
本件で原決定が少年を少年院に送致したのは、非行事実第2の覚せい剤所持を処罰する趣旨によるものに外ならず、前記のとおり、右非行事実第2のぐ犯が成立しない以上、少年を少年院に送致するのは処分の著しい不当に該たる。また、少年の自殺企図的な行動については、確かにDが殺された事件についての刑事裁判を傍聴したことをきっかけに精神状態が乱れ、病院に入院するということになったが、右退院後も少年は病院に通い、薬も服用し、通常の社会生活を送っていたのであり、少年院に送致しなければならない事情にはならない。仮に今後も治療が必要としても、今回の覚せい剤所持の件で逮捕されるまで、通院し薬も飲んでいたのであるから、今後も自身で適切な治療を受けることができる。少年の精神状態の不安定は仮にあるとしても、それのみをもって少年院送致という重大な不利益処分を課することはできないはずである。
また、原決定は、不良交友、生活の乱れを指摘しているが、Aとの交際なり、子供を保育園に送っていかないことが何度かあったというものが、少年院に送致しなければならないほどの要保護性のあらわれでないことは明らかである。
今回の5月16日覚せい剤が発見されたという事件発生までは、基本的には少年は順調に生活していた。そして、右覚せい剤につき少年はまったく関係がないのであるから、少年を少年院送致しなければならない事由はない。よって本件の少年院送致の決定は処分の著しい不当に該たる。
〔参考2〕 原審(東京家 平6(少)5231号 7(少)2361号 平7.6.29決定)<省略>
〔参考3〕 報告書<省略>
〔参考4〕 処遇勧告書<省略>