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東京高等裁判所 平成7年(ネ)699号 判決 1995年9月18日

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

理由

一  当裁判所の判断は、次のとおり補正、付加するほかは、原判決理由一項記載の説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決五枚目裏九行目の「被告会社」の次に「が」を加え、同六枚目表二行目から同八行目までを次のとおり改める。

「そして、被控訴人の控訴人に対する本件売買代金の額については、金五四九〇万二八五八円の限度では当事者間に争いがなく、原本の存在及び成立に争いがない甲第三号証の一ないし三、第九号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第四号証の一ないし六、乙第一号証(乙第一号証は原本の存在をも含む。)、控訴人及び被控訴人の各代表者尋問の結果によれば、本件売買には、右金額に相当する資材に加え、控訴人が口頭で発注した上野原町民プール工事の資材の売買が含まれ、右代金は三八万八八二九円(消費税込み)であることが認められる。」

2  同裏二行目の「しかしながら」から同六行目の「によれば」までを「そして、控訴人主張の支払がなされた経緯についてみるに、前掲甲第四号証の一ないし六、成立(甲第一、二号証については原本の存在も)に争いがない甲第一、第二、第一一号証、弁論の全趣旨により成立の真正(甲第六号証については原本の存在も)の認められる甲第五、第六号証及び被控訴人代表者の尋問の結果によれば」に、同七行目の「するようになった」から同八行目の「増加する状態にあったこと」までを「するようになるにつれ、訴外工務店との取引額が急増したこと、しかし、訴外工務店は控訴人以外からの受注が激減し、控訴人の支払状況が悪化したこともあって資金難に陥り、控訴人から多額の資金援助を受けて営業を継続していたものの、平成四年一二月、控訴人から資金援助を打ち切られるに至り、倒産の危機に瀕したこと」に、同九行目の「一二月五日ころ」を「一二月一五日ころ」にそれぞれ改める。

3  同七枚目表三行目の「原告は」を「被控訴人代表者である山口真一(以下「訴外山口」という。)は」に、同七行目の「原告は」を「訴外山口は」に、同九行目の「右売掛金残高」から同裏一行目の「なければ」までを「右売掛金残高の内五〇〇〇万円余は控訴人からの下請工事に関わる資材の売掛けであったことから、訴外新田に対し、被控訴人の訴外工務店に対する売掛未収金のうち控訴人の発注工事にかかわる約五〇〇〇万円を控訴人において支払ってもらえるのであれば控訴人の前記申入れに応ずる旨、しかし、支払ってもらえないのであれば」に、同三行目の「対応したこと」から同六行目の「本件合意が成立したこと」までを「言明し、数回にわたり交渉を重ねたこと、訴外工務店は同月二五日に破産宣告を受けたが、これを予期していた訴外山口は、右同日の早朝、控訴人事務所を訪ね、重ねて、訴外工務店の被控訴人に対する前記代金債務を支払わなければ資材を引き揚げる旨述べてその支払いを要請したところ、訴外新田は、訴外工務店に発注していた工事の資材等の確保の必要に迫られ、訴外工務店の買掛金債務の内三〇〇〇万円のみを控訴人において支払う旨の本件合意をし、控訴人と被控訴人との間で、本件基本契約を締結し、これに基づき被控訴人は資材の納入を開始したこと」に、同七行目から同八行目までの「支払のためとして」を「支払として」にそれぞれ改め、同九行目の「、右決済」から同八枚目表一行目の「したこと」までを削る。

4  同八枚目表五行目から同六行目にかけての「本件売買代金に対する弁済として」を「本件基本契約に基づき開始する資材売買の前渡金として」に改め、同八行目の「成立に争いがない」から同九行目の「四号証によれば」までを削り、同行から同一〇行目にかけての「本件領収書」の次に「(乙第五号証)」を加え、同行の「原告が」から同裏一行目の「ことが認められ」までを「被控訴人が作成した平成五年二月二三日付け及び同年三月五日付けの請求書(乙第三、第四号証)には、三〇〇〇万円を控除し、売掛金として金三〇〇〇万円を請求しないかような記載があり」に改め、同四行目の「右記載文言は、」の次に「訴外山口が」を加え、同六行目の「判断した原告」から同七行目の「記載されたもの」を「判断して記載したもの」に、同行の「前記請求書も」から同九枚目表一行目までを「控訴人は、平成四年一二月二八日ころ、控訴人が訴外工務店に代わって同工務店の被控訴人に対する資材代金債務を支払ったことを前提とした確認証明書と題する書面を被控訴人に交付していること等の事実、さらに、前記請求書や控訴人関係の得意先元帳の記載方法に関する甲第一二号証の記載や、訴外工務店に対する売掛金債権のうち三〇〇〇万円が入金されたことを前提とした訴外工務店関係の売掛金帳簿や破産債権届出の記載に照らせば、前記証拠をもってしても、控訴人主張の支払が、本件合意に基づき、訴外工務店の被控訴人に対する債務の一部に充当する趣旨でなされたとの前記認定を覆すには足りず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。」にそれぞれ改める。

二  以上によれば、被控訴人の本訴請求は理由があるから認容すべきである。

よって、原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 加茂紀久男 裁判官 鬼頭季郎 裁判官 三村晶子)

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