東京高等裁判所 平成7年(行コ)27号 判決 1996年2月28日
控訴人(原告) 朝日放送株式会社
被控訴人(被告) 中央労働委員会
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 差戻前及び差戻後の控訴審並びに上告審の訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め全部控訴人の負担とする。
事実及び理由
第一申立
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が、中労委昭和五三年(不再)第二五号及び同二六号事件について、昭和六一年九月一七日付けでした救済命令を取り消す。
(ただし、右命令主文第一項は判決確定により除かれる。)
3 訴訟費用は被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文第一項同旨。
第二主張
当事者双方の事実に関する主張は、原判決(第一審判決)「事実及び理由」中の第二ないし第四に記載のとおりであるから、これをここに引用する。
第三証拠
原審及び当審(差戻前)における本件記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりであるから、これをここに引用する。
第四当裁判所の判断
一 救済命令の存在(原判決二枚目裏四行目から同三枚目裏一一行目までと同一であるからこれをここに引用する。)は当事者間に争いがない。
そこで、当審においては、上告審から差戻を受けた、本件救済命令中初審命令主文第二項を維持した部分についてこれを取り消すか否かについて判断する。
二 当裁判所の認定した事実は、次のとおり付加訂正するほか、原判決「第三 本件の事実関係」(原判決四枚目表一行目から同二五枚目裏二行目まで)の認定事実と同一であるから、これをここに引用する。
1 原判決二三枚目表八行目の「近くの料亭」を「近くの飲み屋かつみ」に、同一一行目の「レストラン」を「ホテルプラザ二三階スカイレストラン」に、同裏一一行目の「レストラン」を「ホテルプラザ一一階パントリー」にそれぞれ改める。
2 同二四枚目表八行目の「除く。)」の次に「、乙第八四号証(弁論の全趣旨により成立を認める。)及び弁論の全趣旨」を加える。
3 同二四枚目裏八行目の「朝日放送労働組合が」の次に「同月三日から」を、同一〇行目の「組合は」の次に「申し入れが一方的であるとして」をそれぞれ加える。
4 同二五枚目表一〇行目の「第二号証」の次に「、証人荒木信策の証言」を、同裏一行目の「突き出すのに」の次に「(尾崎に対して左端縦向きにあったソファーに上っていたものと推認できる)」をそれぞれ加える。
三 支配介入について
右の点についての判断は、次のとおり付加訂正するほか原判決「第五 当裁判所の判断」中の「二 支配介入について」原判決四三枚目裏四行目から同四五枚目表六行目の説示と同一であるからこれをここに引用する。
1 原判決四三枚目裏九、一〇行目の「きたのであって、」の次に「控訴人は本件組合員に対して労組法七条の「使用者」であると認めるのが相当である(当裁判所は、差戻を受けた裁判所として、破棄理由となった右の点についての上告審の判断に拘束される)。」を加える。
2 同四三枚目裏一一行目末尾の次に改行して次のとおり加える。
「2 控訴人は、照明の集団は昔ながらの職人の関係を保っており、弘光課長の発言は心を許した仲間内の酒席のうえでの個人的発言に過ぎないと主張するけれども、前記認定の同課長の立場、組合員の氏名が公然化した直後から再三執拗に呼び出している等の態様、日ならずして組合員が相次いで組合を脱退している等の事実に照らすときは、控訴人主張のような個人的発言であるとは到底認め難く、控訴人の利益代表者といえないまでもその職制にある者として控訴人の意を体してなされたものと解するのが相当である。
また、前認定の事実によれば、これらの脱退勧奨は、組合員の氏名が公然化した昭和四九年一一月から同五〇年二月ころまで継続して行われた一連の行為として認めることができるから、大阪府地方労働委員会への本件申立日の一年以上前の事実であるとはいえない。」
3 同四四枚目表一行目の「2」を「3」に、同四四枚目裏九行目の「3」を「4」に、同四五枚目表五行目の「4」を「5」にそれぞれ改める。
第五結論
以上によれば、本件命令における、初審命令の主文第二項を維持した部分に控訴人の主張する違法はなく、右部分は適法であるから、その取消請求を棄却した原判決は正当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九六条、九五条、九四条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 丹宗朝子 市川頼明 北澤章功)